ラジオドラマ 山田太一 原作「異人たちとの夏」
昨夜、寝付かれないので、いつもFMチューナーからHDDレコーダー(NAC-HD1)に予約録音している、NHK FMの「FMシアター」を聞いた。番組としては非常に珍しく、2週に亘る前編と後編に分かれた、計100分の山田太一原作「異人たちとの夏」(ここ)だった。
これが怖く、夜中にトイレに起きた時に、幽霊が居るのでは?とビクビクしてしまった。寝る前に、幽霊の話は御法度だ。
このドラマの、まさに象徴であるプッチーニのアリア「私のお父さん」が流れてくる場面を少し聞いてみよう。
<FMシアター 山田太一 原作「異人たちとの夏」より(前編)>
<FMシアター 山田太一 原作「異人たちとの夏」より(後編)>
この番組について、NHKの紹介サイトにはこうある。
「妻子と別れた人気シナリオライター(国広富之)が体験した、ひと夏の超常現象。亡くなったはずの両親(松田洋治 雛形あきこ)が突然現れ、あやしげな年若い恋人(鶴田真由)が彼を翻弄する……。それは一筋の希望なのか、叶わぬ望みなのか、彼は人生の苦悩から救われるのか?
異人たちとの奇妙なふれあいの中で、生きることの切なさと温かさを描く。これは、現代だからこそ必要なファンタジィーであり、山田太一の描く究極の「家族愛」の物語です。」(NHKのここより)
この「異人たちとの夏」は、1988年の大林宣彦監督の映画があまりにも印象が深い(ここ)。風間杜夫、片岡鶴太郎、秋吉久美子、名取裕子、永島敏行という出演者の、誰もが光っていた。
自分は、特に片岡鶴太郎のべらんめい調のセリフが心地良かった。そして、最後の「私のお父さん」の歌をバックに、名取裕子の昇天する名場面・・・。これは怖かった。
この映画のように、ほとんどの場面を覚えている映画も、自分にとっては珍しい。
このドラマに、父親とキャッチボールをする場面がある。その場面を聞きながら、自分も同じような場面を思い出した。
小学校高学年の頃だったか、中学時代だったか、非常に折り合いが悪く、一切口をきかなかった親父とキャッチボールをしたのである。それがいつも「野球を教えてやる」との口実で、兄貴と自分が駆り出された。後で、親父が会社の草野球のピッチャーで投げている写真を見たことがあり、それが自分の草野球に向けての“練習”だったことが分かった。
そう、我が家では、子どもと遊ぶキャッチボールは無かったのである。ナ~ンダ・・・・
このドラマでは、両親は30代で亡くなった為、姿はその年齢で止まっている。誰も、亡くなった時の姿が心に残る。だからウチの両親も、歳を取った姿で自分の心に残っている。
しかし、そのキャッチボールの場面を思い出すときは、なぜかすぐにゲンコツを見舞う若い親父の姿が浮かぶ。不思議なものだ・・・
話は飛ぶが、先日、やはりNHKの「ドキュメント72時間」で「海が見える老人ホーム」(ここ)という番組を見た。
「油壺エデンの園」(ここ)という500人近い人が暮らす、高級老人ホームでの取材。全室個室の各部屋は、まさにマンションの集合体。病室もお墓もある。結婚しなかった女性が、3500万円の一時金を捻出して入居したと言っていた。HPを見ると、一時金は2000万円から75000万円も必要だとか・・・
活用すれば、素晴らしい施設だが、でもほとんどの人は、孫に「おばあちゃん、まだ生きてるの?」と言われる立場・・・。
両親と子どもとの関係・・・。つい自分と対比して聞いてしまった怖いお話であった。
お盆も近い。もし番組の全部をお聞きになる方は、寝る前は避けた方がよろしいかも・・・!?
何せ幽霊の話なので・・・
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