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2017年7月22日 (土)

研ナオコと中島みゆきの「雨が空を捨てる日は」

先日「研ナオコと中島みゆきの「海鳴り」」(ここ)を取り上げたが、その時に改めて知ったもうひとつの曲が「雨が空を捨てる日は」という歌。

<研ナオコの「雨が空を捨てる日は」>


「雨が空を捨てる日は」
  作詞・作曲:中島みゆき

雨が空を 捨てる日は
忘れた昔が 戸を叩く
忘れられない やさしさで
車が着いたと 夢を告げる
 空は風色 溜息模様
 人待ち顔の 店じまい
雨が空を 見限って
あたしの心に のりかえる

雨が空を 捨てる日は
なおしあきらめる 首飾り
ひとつふたつと つなげても
必ずおわりが みあたらない
 空は風色 溜息模様
 人待ち顔の 店じまい
雨が空を 見限って
あたしの心に 降りしきる

 空は風色 溜息模様
 人待ち顔の 店じまい
雨が空を 見限って
あたしの心に 降りしきる

詩的センスの無い自分には、この詩は理解出来ない。何となく雰囲気は分かるが、情景が目に浮かばない。だから、いつもの通りに曲だけを聞く・・・

この作品は、研ナオコに提供された歌で、1976年6月25日に「LA-LA-LA」のB面として発売されたという。そして中島みゆきとしては、1976年10月25日に発表された2作目のオリジナル・アルバム「みんな去ってしまった」の1曲目に収録された。
よって、もう40年も昔の作品だが、自分は今ごろ“発掘”している。
作者の歌でも聞いてみよう。

<中島みゆきの「雨が空を捨てる日は」>

ここに、昔買った「中島みゆき全歌集1975-1986」(朝日文庫)という文庫本がある。その巻頭に、中島みゆきのこんな一文がある。

詞を書かせるもの
 これらの詞は、すでに私のものではない。
 何故ならばその一語一語は、読まれた途端にその持つ意味がすでに読み手の解釈する、解釈できる、解釈したい心……etcへととって代わられるのだから。
「語」は、コミュニケーションの手段でありつつ、それ自体が人類の共通項でもなければ審判でもない。したがって、これらの詞はすでに私のものではない。
 ――という言い方もできる。ところが同じ理由によって次のような言い方もできてしまう。
 したがって、これらの詞は、ついに私一人のものでしかない……と。
 はたまた、次のような言い方も。
 したがって、これらの詞は、私のものでさえもない……。
 言葉は、危険な玩具であり、あてにならない暗号だ。
 その信憑性のなさへの疑心が私に詞を書かせ、
 その信憑性のなさへの信心が私に詞を書かせ、
 そうこうするうちに詞はやがて私を、己れ自身に対する信憑性の淵へと誘い込んでゆく。
 人を斬るための言葉はたやすい。己れを守るための言葉もたやすい。
 黙っていても愛し合える自信がないから、もう少しだけ、私はまだ詞を書くつもりでいる。

 私に言葉を教えてくれた父と母と、そして師たちへ。
 感謝を込めて。
                              中島みゆき
  一九八六年十月
」(中島みゆき全歌集1975-1986(朝日文庫)より)

この一文を読んでみても、自分の語学力では、とうてい中島みゆきの世界には入れないと、改めて思う。(つまり、自分にとって難文で、心に入ってこない・・・)
やはり中島みゆきは、曲だけを楽しむことにしようか・・・

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コメント

エムズの片割れ様
貴重なる発掘ですね。
紹介、ありがとうございます。
確かに 中島ワールドの 真骨頂的な詩ですね。あめが空を捨てて 私の心に乗り換える?
今日はそんな日です。 未明からの雨はやむ気配がありません(お隣の秋田で被害が大きいとの報道に胸が痛みます)

中島みゆきワールドを最初に知ったのは
時代 次に  タクシードライバーでした。

投げやりなようで  繊細な心を思わせる
中島みゆきワールドのファンです。

今話題の昼ドラ 「やすらぎの郷」で
老いて世間から忘れられた 女優の役
有馬稲子が歌う「ファイト」に涙が込み上げました。中島みゆきの歌は  傷つきやす青春の歌のようでありながら  老境の自分にも
沁みてきます。

投稿: りんご | 2017年7月23日 (日) 07:34

この歌も心に染みた歌です。
以下のように受けとってます。それが、このメロディに乗って、すっと心に入って来ました。

「忘れた昔」が、
「忘れられないやさしさ」で、
(私をここから連れ出す)「車」が着いたと、「戸を叩く」
でも、それは「忘れた」夢、忘れた昔だったはず。なのに、雨が降りそうな空を見ていると思い出してしまう。
もう少し待ったら、誰かが、何かが来るかもしれない。でも、時間だ。店を閉めよう。
そうやって、今日はあきらめて終わる。
「風色の空」って、どんな色? わからないが、涼やかで、気持ちよさそうで、きれいだ。
「ため息模様」って、雲はどんな形をしているの?わからないが、 
涼やかで、気持ちよさそうで、きれいな空を見上げていると、ため息がでる。 
もう少し待ったら、誰かが、何かが来るかもしれない。でも、時間だ。ため息を一つ、して店を閉める。
そうやって、今日をあきらめて、終わる。心が泣いていることがわかる。

「見果てぬ夢」を見続けている人間は、いろいろ居ます。
「ラ・マンチャの男」は、「見果てぬ夢を見続ける」ことを力強く、歌い上げます(この歌も大好きです)が、
「雨が空をすてる日」は、また別様に、「夢をあきらめながら見続けること」を、描いたと思います。
この状況自体はとても不細工で情けない状況ですが、きれいに描いてくれたと。

追伸 りんご様
そうですか。有馬稲子が「ファイト」をうたったのですか。見たかった、聞きたかったです。

【エムズの片割れより】
素晴らしい“解釈”をありがとうございました。
なるほど・・・。みゆきワールドが少し解けました・・・・
それにしても、Tamakistさんの詩心はスゴイですね~~
恐れ入りました。
どんな難解な歌詞も、その解釈力で、楽しめますね!
羨ましい~~!

投稿: Tamakist | 2017年7月23日 (日) 10:20

エムズの片割れ様
この場をお借り致します。
Tamakist 様
なかなか深い読みですね。
ところで Tamakist というハンドルネームの由来に興味が湧きました。
石を投げればサユリストに当たるほど(ある年代以上)世の殿方は小百合さんに憧れているが
、知的でダンディな児玉清さんと一緒に本の紹介番組に出ていらした~雰囲気美人の 緒川たまきさんを連想したのですが~?
他の女優とは一線を画した魅力があるのは確かです。
おっと肝心のファイト
倉本聰のオリジナル脚本
「やすらぎの郷」は久々の観賞に値するドラマです。劇中で一世を風靡した シャンソン歌手役~女優は間違い~それが有馬稲子。
スマホのアプリ TVerでみています。
昼の12時半は中途半端な時間で
外出の途次が多く アプリを活用しております。その他 U_NEXT
で配信中とあるが  私にはよくわかりません。

投稿: りんご | 2017年7月23日 (日) 20:55

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