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2017年6月17日 (土)

良い音への投資限度は?~STAX「SRM-T8000」を聞く

先日、いつも自宅で聞いている「SRM-007tA」と、今回発売される「SRM-T8000」を、SR-009でじっくりと聞き比べる機会に恵まれた。
自分の駄耳で聞いた結果は、「値段がな~~」だった。今日はその時に感じたメモである。

自分が今聞いているのは、STAX(スタックス)の「SR-009」というヘッドホンと、「SRM-007tA」というアンプの組合せ。
それが先日、STAXが3年の開発期間を費やし、満を持してフラッグシップモデルのアンプ「SRM-T8000」を発売した(2017/06/16)。定価で64万円だという。フラッグシップと言うからには、そして38万円のSR-009とのバランスからすると、「そんなものだろうな」という値段設定。
さて、このモデルを自分としてどう捉えよう・・・

昔、SR-009を買う前、STAXの試聴室でアンプを取っ替え引っ替えして聞き比べたことがあったが(ここ)、その差が、自分の駄耳ではほとんど分からなかった。聞いたのが安価なイヤホン形、という事情もあったのだろう。
先日、「SRM-007tA」と、今回発売される「SRM-T8000」を、SR-009で聞き比べる機会があったが、予想通り、その差は簡単には分からなかった。ツイッターで、誰かが「サ音が気になる」と書いていたので、アナウンサーの声を聴いてみると、なるほどT8000はサ音が強く聞こえる。高域の特性が伸びているせいかも知れない・・・。
実は自分は「サ音」が妙に気になる性分(ここ)。それで、FM放送の録再には、STAXさんに前に教えて貰ったライントランスを使っているが(HAP-Z1ESはダイレクト)、T8000のサ音をどう評価するか?確かにアナウンサーでは強く感じられるが、音楽では気にならない。それは良かった。

ボーカルを聞く。T8000から007にSR-009を繋ぎ替えると、ふと思い浮かんだ言葉が「骸骨」。つまり、T8000で歌っている歌手が、007ではやせ細った人に変わる気がした。これは何か?
他の音源でも、T8000から007に繋ぎ替えると、「何か物足りない」という感じ。これは何か?
音は、なかなか表現が難しい。ワインの味の表現に似ている。
しかし、T8000に比べて007は「何か物足りない」という感じは、最後まで何を聞いても同じだった。つまりは、T8000の方が何かが良いのだろう。それは“認めざるを得ない”。

T8000の自分なりの聞き比べに、なぜそんな回りくどい表現をするのか?
それは価格なのである。ユーザーからすると、「価格の差」対「音の差」がすべて。
メーカーがどこにどうお金をかけようが、そんなことは知らん。インシュレーターにお金をかけて、それが音質にどれだけ影響するのか、それも知らん。
とにかく、再生される「音」と値段とのバランスなのだ。自分の好みの音に対してどうか?だけ・・・。

新製品のT8000が、価格コムで今日(2017/06/17)現在578,340円。一方、今自分が愛用している007tAが同じく125,532円だという。その差、4.6倍。絶対金額にして、45万円の差。それだけの差が、T8000の音にあるか?ということになる。つまり、自分にとって、その差のためにこれだけの投資をする価値(意味)があるか?ということになる。

もちろん、その音の差は、聞く人の好みによって大きく変わる・・・。メーカーが目指した音の差(改善)が、ユーザーにとって高く評価される場合もあるし、自分の好みと違う、と評価される場合もある。好みの世界はかくも難しい。誰もが納得する統一的な「どうだ!」という数値的な評価項目が無いのだろう。
前にSTAXの試聴室に行った時に聞いた話を思い出すと(ここ)、例えば高域特性。たぶん新型は、先の「サ音」に現れたように、高域の特性(変調度)が大きく改善されていると想像する。もちろんその他の点も・・・。しかし、それが「ユーザーにどうか?」なので難しい。

もう一度繰り返す。T8000の方が音が良いのは認める。しかしその差が“自分にとって”45万円に値するか??

この解は難しい。お金が幾らでもある人は、少しでも良い音になれば・・・と、投資するだろう。しかし、自分のように年金生活者にとってみると、この差45万円は大きい。
45万円あれば、最新の4Kの大型液晶テレビも買えるし、新車のグレードも上がる。それらの点を下して(却下して)までも、T8000に45万円投資するだけの価値があるかどうか・・・

そもそもオーディオの世界なんて微妙なもの。「良い音」なんて個人の好みの問題であり、自己満足の世界。そして、最高級レベルになると、何百万もかけても、その音の改善は微々たるもの。
あるいはその話と同じことかも知れない。非常に完成された「SRM-007tA」から見ると、それ以上に音を改善するには、45万円位はかけないと良くならない。その良くなった結果がT8000のこの音・・・ということなのだろう。

片耳難聴の自分にとってみると、改めて「SRM-007tA」は非常に完成された“自分にとっての名機”なのだと思った。
T8000のこの音の差が、自分にとって45万円に値するか?という解のない堂々巡りの禅問答に陥ってしまった、今回のT8000の試聴であった。

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コメント

いっそのこと割安価格のトランジスタアンプに行かれてみては?727は真空管に近付けた改良と言う。トランジスタらしさであれば717とのこと。323も313も悪く無いと言う。貸出試聴なら違いが判るかもわからないが、出向いて試聴では脳が妨害工作してくれるので微妙な差を理解し難い。私にはダブル真空管があらゆる面でシングルを超えているとも思えないし、222とて悪く無いと思う。しかしT2は聴いてみたい。

【エムズの片割れより】
STAXの設計部長さんは、前に固体の727Aが好きだと言っていましたが、自分的には007tAの方が好き。
音の良し悪しは、思い込み。方式に関係無く、良いと思えば、それで良い・・・

投稿: さて | 2018年7月 9日 (月) 13:02

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