「共謀罪」の強行採決
とうとう「平成の治安維持法と呼ばれる「共謀罪法」が15日朝の参院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決、成立した。投票総数235票のうち、賛成は165票、反対は70票だった。来月にも施行される。」(ここより)
日刊ゲンダイのメルマガに「共謀罪強行採決へ 野蛮な暗黒政治を止める方法はあるのか」(ここ)という記事があり、読んでいると、「東京新聞」の山口二郎のコラムの引用があった。
面白そうなのでNetでググってみると、こんな記事が見付かった。
「本音のコラム「文明か野蛮か」 山口二郎
この一週間の国会審議を見て、日本の議会政治の崩壊は最終段階に入ったと痛感した。1960年安保の時、中国文学者、竹内好は民主か独裁かという戦いだと喝破した。岸信介の孫が議会政治を壊そうとしている今、私は文明か野蛮かの戦いだと訴えたい。
衆参両院の決算委員会における安倍首相の答弁は何なのだ。聞かれたことには答えずに無駄話で時間をつぶし、自分はヤジを飛ばしながら、野党にはヤジを飛ばすなと言う。質問が終わるとつまらない質問だったと聞こえよがしに喚(わめ)く。小学校の学級会でも、子どもはもっとまじめに話し合いに取り組む。首相は政治家以前の、人間としての基本的な礼儀作法ができていないと非難するしかない。道徳教育が大好きな首相に問いたい。あなたは家で一体どんなしつけを受けてきたのだと。
野蛮人の支配する王国では、公私の区別がなく、国の財産は権力者の私物であり、権力はえこひいきのために行使するのが当たり前で、役人は権力者に隷属する使用人であった。これはまさに安倍政権が支配する日本の現状である。あったことをなかったことにするのが野蛮国である。
ようやく権力者の下僕ではなく、法に従う文明人でありたいという公務員の声が政府内部で上がっている。われわれも文明人でありたいなら、黙っていてはならないのである。 (法政大教授)」(2017/06/11付「東京新聞」より)
「本音のコラム「国がほろぶ時」 山口二郎
加計学園問題について、前文科事務次官の証言が飛び出したが、この発言の信憑性(しんぴょうせい)を損ねようとする政府の悪あがきは目に余る。
前次官が在職中、怪しげな風俗店に行っていたと読売新聞が報じた。それがどうした。法に触れなければ余暇に何をしようが勝手だろう。首相の提灯(ちょうちん)持ちを演じていたジャーナリストが悪質な性犯罪を実行し、逮捕状まで出ていたが警視庁幹部が握りつぶしたと週刊誌が報じた件は何の追及もなしか。権力者に近しい者の犯罪はもみ消され、権力者に逆らう者は根拠のない攻撃を受ける。
確かに日本には複数政党制や自由な報道機関がある。しかし、最大部数の新聞が政府の謀略に加担し、公共放送は政府の言い分を最優先で伝える。倣慢(ごうまん)な権力者は議会を軽蔑し、野党の質問には最初から答えない。もはや日本は、かつて中南米やアフリカに存在したような専制国家になり下がったと言ってもよい。
獣医学部新設は岩盤規制の打敵だと政府の行為を擁護する声もある。それは大きな勘違いである。大学新設は政治が決めてもよい事柄だが、どの大学が新学部を運営する能力を持つかは、行政が公平に判断する事柄である。権力者がそれをゆがめたのが加計疑惑の本質である。
権力者の我儘(わがまま)に政治家や役人がひれ伏すような国は早晩ほろびる。(法政大教授)」(2017/05/28付「東京新聞」p27より)
際どい表現だが「権力者の我儘に政治家や役人がひれ伏すような国は早晩ほろびる。」という言い方が、あながち場違いではない現実におののく・・・。
今朝の朝日新聞に、青木理さんと落合恵子さんの言葉が載っていた。
「尋常じゃない進め方 ジャーナリスト・青木理さん(50)
277もの犯罪を計画段階から取り締まる「共謀罪」は、日本の刑事司法の転換点になる。これだけ重要な法案なのに、法務委員会の議論を打ち切るという異例の手続きで成立させるのは信じがたい。
森友問題、加計問題と、最近の政権の物事の進め方はちょっと尋常じゃない。あるものを「無い」と言ったり、都合の悪い書類を「怪文書」扱いしたり、国会で改憲案について問われると「読売新聞を熟読して」と言ったり。異論や反論、疑問を数の力で押し切るやり方が目に余るが、今回はその究極形だ。
歯止めがあいまいな「共謀罪」は警察の強力な武器になる。これで終わらず、通信傍受などの捜査手法の拡大が必ず待っている。市民社会やメディアは権力が暴走した時の怖さに鈍くなっている。表現の自由やプライバシーが危機にさらされる警戒感を持ち続けなければいけない。
数の力による暴挙 作家・落合恵子さん(72)
数の力による暴挙でしかない。政府は「丁寧に説明する」と言いながら、責任を果たしていない。「中間報告」でいきなり採決を図ろうとするのは国民をないがしろにしたやり方だ。
国会を延長すれば、森友学園や加計学園の問題でも追及が続く。できるだけ早く採決に持ち込みたいと考えたのだろう。民主主義が崖っぷちに立たされたこの状況を、与党議員も受け止めるべきだ。
十数年前、共謀罪法案が議論されたときも反対した。今まさに成立しようとしているのに、反対の声が伝わりにくくなっている。「自分には関係ない」と思っている人が多い。だから、政権も採決を強行できるのだろう。
特定秘密保護法、安全保障法制なども数の力によって成立した。では、誰がその力を与えたのか。私たちはその問いに、向きあっていかなければならない。」(2017/06/15付「朝日新聞」p34より)
落合さんが言っているように「特定秘密保護法、安全保障法制なども数の力によって成立した。では、誰がその力を与えたのか。私たちはその問いに、向きあっていかなければならない。」
そうなのだ。その力を与えたのは我々国民。
「国民は、何をしても時間が経てば直ぐ忘れるバカ」を前提に、高止まりの内閣支持率を誇っている安倍政権。すべては国民の為せる業(わざ)。
さて、その“バカな国民”が、ここまでコケにされて、少しは目覚めるであろうか?
その結果は、まずは都議選に現れる“はず”・・・。
少しは国民が目覚めた結果を期待したいものだが・・・。
<付録>「まんがイラスト ぼうごなつこのページ」(ここ)より
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コメント
かけつけ警護で自衛隊員は命の危険にさらされ、共謀罪で国民は集まって話をしていると検挙される。日本は昭和十年代のようになっている。
【エムズの片割れより】
笑い事でなく、将来の世代に対して、申し訳ない。
警察の権力が大きくなって、何も言えない社会。まさかこんな逆行が現実に起こるとは!
投稿: nobby | 2017年6月15日 (木) 22:44
ボロボロと「ございます大臣」の悪行が出てきますね。汗水たらして働いた僅かな給料から取り立てたお金を仲良しお友達とゴルフしながらばらまく、いったい何様のつもりなのでしょうか。普通の国民では考えられないことをしていますね。自民党の議員のなかからも、正義と良心を持っている人が出ないのでしょうか。不思議な世界です。笑えるほどの嘘の言い訳をいつまで私たちは聞かなければいけないのでしょうか。
【エムズの片割れより】
ニュースを聞く事自体が苦痛になってきました。自民党の面々で、品のある顔が一つでもあるか・・・?。どの顔も、ひどい物です。
顔は人間を表します。
投稿: 白萩 | 2017年6月16日 (金) 14:42
共謀罪の不当な審議とその「成立」には激しい怒りを覚えます。
共謀罪は現代の治安維持法 といわれますがその治安維持法は「その当時適法的に制定された]と安倍政権下の官僚、政治家の口から聞くとき「共謀罪がどのように使われようとしているのか本当に怖くなりますし 怒りはさらに大きくなります。
治安維持法によって逮捕され 獄死していった多喜二、尹 東柱その他多くの人々の死を決して忘れない。
【エムズの片割れより】
“テロ等準備罪”という名前にコロリと騙されている国民も、責任重大。
結果としてやりたい放題の政治家に任せている国民も、自業自得なのでしょうか?
投稿: todo | 2017年6月16日 (金) 19:38