「怒りには限界があるが、優しさには限界がない」~妻の若年性アルツの介護~陽信孝さんの話
先日、NHKラジオ深夜便「『短歌に託した妻への介護日記』宮司 陽信孝さん」(2017/05/04放送ここ)を聞いた。
ラジオ深夜便の解説にはこうある。
「4度のがん手術を経験した宮司の陽信孝(みなみ・のぶたか)さん。闘病生活を献身的に 支えていた妻・八重子さんがアルツハイマー病を発症、今度は陽さんが市の教育長として多忙な中、妻の介護にあたることになります。八重子さんが65歳で亡くなるまで4000日にわたった介護の日々や家族愛などを、介護日記に残した短歌を交えてお話いただきます。」(ここより)
少し聞いてみよう。
<NHKラジオ深夜便「『短歌に託した妻への介護日記』宮司 陽信孝さん>
氏は介護の日々を短歌に残し、その本が「八重子のハミング」として出版されているという。
その本の解説にはこうある。
「思いもよらなかった夫婦の同時発病。夫は胃がんが発見され摘出手術。その直後、妻にアルツハイマー病の兆候が見え始めた―。その後、夫は三度のがん手術から生還する一方で、妻の症状には改善の兆しが見られなかった。自らも迫り来る死の影に怯むことなく闘病、そして献身的に妻の介護を重ねる日々…。“三十一文字のラブレター”短歌約八十首を詠み、綴った、四千日余に及んだ老老介護の軌跡。「現代の智恵子抄」とも評された話題の単行本、待望の文庫化。2002年末に他界した愛妻を偲んだ「終章」を補記。」
話によると、氏が52歳のときに胃がんが発見され、そのショックで、当時54歳の妻が若年性アルツハイマー病を発症。普通は8年と言われているが、11年生きて65歳で他界したという。
全体に貫かれているのが、「優しさ」。赤ん坊へ戻っていく妻への、限りない優しさ・・・。
この介護を通じて学んだことが「生きることは逃げないこと」「怒りには限界があるが、優しさには限界がない」だという。
そして何が大変だったというと「優しさを通し続けること」・・・
妻を亡くした話としては、前に歌人・河野裕子氏と夫である永田和宏氏の話(ここ)、及び、作家・城山三郎氏の話を取り上げたことがある(ここ)。
どちらもガンで妻を亡くしたが、どの話も心に残る・・・
しかし家族皆で支える陽家の介護は、とてもマネ出来ない。当時小学校4年生だったお孫さんの作文がそれを語っている。
「バーバはアルツハイマー病です。どういう病気かと言うと段々赤ちゃんに戻ってゆく病気です。もう1歳以下の知能です。一日のほとんどは廊下で一人で遊んでいます。ほとんど分からなくなっています。バーバの薬は優しさ、とおじいちゃんに聞きました。だからバーバに叩かれたり、大切な物を壊されたりしても、だれもバーバを叱る事はありません。私たちはバーバの手を引いて歩いたり、ご飯を食べさせてあげたりします。昔の曲を流すとバーバが笑ってくれるので嬉しくなります。私の家にはヒーババとバーバがいてくれるお陰で、優しさがあります。ヒーババとバーバがいてくれてとても嬉しいです。」
この5月から、映画「八重子のハミング」が全国公開されているという(ここ)。
調べたら、近くの映画館でも上映されるらしいので行ってみようかと思っている。
カミさんに「オレもカミさんがガンになったら、そのショックで若年性アルツハイマー病になるかも・・・」と言ったら、「図々しい!若年性ではなくて、立派なアルツハイマー病でしょ!」
後日、映画を見て、「優しさ」について、考えてみたい。言うまでもなく、自分には“別世界”のことなので・・・
●メモ:カウント~1030万
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