最近の政局を憂う・・・青木理さんの指摘
最近の政局は、あまりにも目を覆いたくなる状況。それが日本だけでなく世界的に昔の世界に戻ろうとしているようだ。
最近、青木理さんの発言に注目している。今朝の新聞にこんな記事があった。
「(問う「共謀罪」 言論人から)自由が死滅する、それでいいのか
■ジャーナリスト・青木理さん(50)
政治や社会の矛盾に声を上げる人が疑われる社会は健全か。
◇
公安警察を長く取材してきた。警察官の立場から「共謀罪」を見てみよう。
「共謀罪ができればテロを防止できる」と政府が言う。真面目な警察官であれば何を考えるか。犯罪が起きる前だから、供述が立証の柱になる。それだけに頼っては冤罪(えんざい)だらけになる。もっと物証が欲しい。
「通信傍受を縦横無尽に使いたい。司法取引も」と考えるだろう。テロリストが重要な話し合いをメールや電話だけで済ませるとは思えない。「密室盗聴もさせてほしい」となる。真面目に捜査しようと思うほど、「もっと武器を」となる。
日常的に、捜査当局が「こいつは罪を犯す可能性がある」と見なす個人や団体を監視しなければならなくなる。事前に取り締まろうとすれば、そうせざるを得ないからだ。
2010年に、警視庁公安部の内部資料と見られる情報が流出した。イスラム教徒というだけであらゆる情報を吸い上げ、24時間態勢で監視、尾行して家族の交友関係まで調査していた。公安の手法を、ある警察幹部は「点が線になり、線が面になる」と説明してくれた。
治安組織とは古今東西、社会体制の左右問わずそういうものだ。アメリカの国家安全保障局(NSA)は、同時多発テロ後のわずか10年ほどで世界中の電話や通信を盗聴するような化け物に育ってしまった。
共謀罪ができれば、公安警察的な捜査が際限なく広がる。安全安心を究極的に追い求めれば、自由やプライバシーは死滅する。それでいいのか。(聞き手・後藤遼太)」(2017/05/15付「朝日新聞」p34より)
まさに「それでいいのか?」である。
こんな法律が通ってしまうと、当然、警察官が増員となろう。自分たちを監視するために、自分たちの税金が遣われてしまう・・・。
「それでいいのか?」・・・
同じく朝日新聞に、こんな記事もあった。
「(政治断簡)おごる首相がつかんだ「コツ」 世論調査部長・前田直人
大型連休のさなか、安倍晋三首相がぶちあげた憲法改正提案には正直、驚いた。目標は2020年の施行。9条の戦争放棄や戦力不保持の条項を残したまま、自衛隊の存在を明記するという。
現行9条に自衛隊を加える「加憲」の考え方はかねて、公明や民進にもある。そうか。ついに民進も含む合意形成へ腰をすえる大戦略に転換か――と思ったのだが、どうやら早合点だったようだ。
連休明けの8日の衆院予算委員会の集中審議は、首相と民進の大ゲンカ。質問に立った民進の長妻昭氏に感想を聞くと、おかんむりだった。
「もはや皇帝気取り。常軌を逸していますよ。何でも『俺が言えばできるんだ』と過信しているんでしょうね」
*
怒りの発端は、首相の「自民党総裁としての考え方は、相当詳しく読売新聞に書いてある。ぜひ熟読して頂いてもいい」という答弁である。
「憲法改正20年施行目標 首相インタビュー」との見出しが躍った5月3日付の読売新聞の詳報ぐらい、すでに熟読している。首相は、首相と党総裁の立場を使い分けて、国会での具体的な説明を求める長妻氏の問いにまともに答えようとしなかった。
9日の参院予算委でも民進の蓮舫代表の追及に「この場で自民党総裁として一政党の考えを披瀝(ひれき)すべきではない」と言ったかと思えば、「我々自民党は結果を出してきた」と党を代表してアピール。一方で、いつも政権に協力的な維新には丁寧に話した。
荒廃する国会。長年、安倍氏と対決してきた長妻氏によれば、「最近、首相は変なコツをつかんだ」そうだ。
いわく、(1)質問に答えずにはぐらかす(2)ヤジに反応する(3)ヤジに対して長々と反論をして時間をかせぐ(4)「だから民進の支持率は上がらない」という民進批判に切り替える、という流れで追及から逃げ切る「コツ」。これでは議論が深まるはずもない。
「それが日に日に増長して、天まで届くような状況になってきた。『何を言っても、支持率は絶対に下がらないんだ』という迷信のような確信があるのでしょう。それは、我々の責任です」
*
民進たたきで悦に入る首相を「増長」させているのは、安定した内閣支持率らしい。首相は4月の国会審議でもNHKの世論調査を引いて、「内閣支持率は53%。自民、民進の支持率はご承知の通り」と民進を皮肉った。
慢心、ここにきわまれり。
世論調査の役割は、権力者に信任を与えて増長させることではない。さまざまな政治・政策課題に対する「声なき声」を浮き彫りにし、政治の足らざるを補うためのヒントを読み取ることにある。それは本来、民主主義を豊かにするためのツールのはずだ。
なのに首相は森友学園問題の真相解明や原発政策の見直しを求める多くの世論からは目をそむけ、好都合な数字のみにおごり、弱る野党をあざ笑う。「安倍1強」がきわまり、まるで独裁者のような首相のふるまいをみるにつけ、やせ細る民主主義への危機感が、ひたすら募る。」(2017/05/15付「朝日新聞」p4より)
それにしても日本のメディアは、嘆かわしい。日本一の発行部数を“誇る”、天下の「読売新聞」が政権の広報誌に成り下がってしまっている。
自分の犯罪摘発から逃れるために?FBIのトップを更迭したトランプ大統領にも、全力で立ち向かっている米メディアとは大違い。情けない。
それにしても、上の記事のように、国のトップが、自分の名誉欲のためにのみ動く様は、あまりにも下品。
今日発表があった、日本郵政の豪企業の買収失敗の4000億円のロス、東芝のWH買収失敗の1兆円のロス。これらは自分の名誉欲のために会社を踏み台にした結果。
昔の“めざしの土光さん”が懐かしい・・・。もう日本にはこんな高潔な人は居ないのだろう
しかし、会社のトップは、平社員は何ともしようがないが、国のトップは国民一人ひとりの選挙による積み重ね。
“首相を「増長」させているのは、安定した内閣支持率”・・・
日本国民は、真に政府が目指す「監視社会」「戦争をする国」を希求しているのだろうか?
もし、「ヘエー!知らなかった!」と政権の傍若無人を国民が放置しているのだとすれば、国民は自分たちの無関心さが引き起こした「監視社会」「戦争をする国」を、甘受するしかあるまい。
それが現実になって、初めて「知らなかった・・・」と気付いても、それは“国民が自ら招いた結果”なのだから、自分たちでその責任を取るしかあるまい。
| 0
コメント
何だか国会がおかしくなってきていますね。野党の質問に答える総理の答弁がしどろもどろで
おかしくなってきているのを、後ろに座っている麻生さんが目をつむってニヤニヤしながら聞いている顔が「どうしようもない総理だ」と言っているように見えます。こんな国会で良いのでしょうか。議員がお互いに「バカだ」と思っているように見えます。国会議事堂が泣いています!!各大臣の答弁はバラック小屋がお似合いになってきています。
【エムズの片割れより】
政治の世界は、「ウソ」が堂々とまかり通る世界なのですね。それが発覚しても、堂々と開き直る。
我々庶民からは、うかがい知れない世界のようです。
投稿: 白萩 | 2017年5月15日 (月) 22:41
今日の国会の状況を見ても何かおかしい。安倍政権への国民の支持率が高いばかりではないような気がします。自民党の議員がどうして総理の独裁を許しているのか、それが問題のような気がします。議員たちが国民の声を聞かず、あの問題の多い総理の発言に寄り添うのはなぜか。国民の税金をいとも簡単に動かしてお知り合いのゴルフ仲間に融通をする不思議、平家物語の「祇園精舎」を連想しませんか。
「諫めをも思い入れず、天下の乱れんことをも悟らずして、民間の憂ふるところを知らざりしかば・・・」自民党の議員全体が奢れる平家の様に見えます。徹底的に金の動きを調べる機関は日本にはないのでしょうか。支持率だけの問題ではないような気がしてきました。
国民の権利が剥奪されないように願うばかりです。
【エムズの片割れより】
結局、小選挙区制を中選挙区に戻さないとダメでは・・・
官邸が、選挙の公認権や、官僚の人事を握っているので、誰も逆らえない・・
品の無い国民を小バカにした首相の顔や、唇を曲げてエヘラエヘラする麻生相の顔を見るのが苦痛です。
もう、スキャンダルで何でも良いので、今の政治を何とか終わらせないと・・・
投稿: 白萩 | 2017年5月19日 (金) 22:20