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2017年5月27日 (土)

血液型性格診断の登場~昭和2年

だいぶん前だが、血液型の性格診断の記事があった。
「(あのとき・それから)1927年 血液型性格診断の登場 「そうかも」根拠ないけど浸透
 (昭和2年)

 「あなたB型でしょう」などと記者もよく言われるが、血液型で性格がわかるという考え方は、実は日本や韓国などごく一部の国でしか通用しない。世界で初めてこれを提唱したのは、古川竹二という日本の教育学者だった。
 1927(昭和2)年、東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大)教授の古川は「血液型による気質の研究」という論文を発表する。心理学の論文で、決して現在のような「占い」ではなかった。古川は教え子や友人にアンケートをとり、A型は引っ込み思案、B型は陽気、など気質が類型化できるとした。
170527seikaku  国内で血液型研究の第一人者だった古畑種基博士が当初は支持したこともあり、古川説は大きな反響を呼んだ。軍は血液型で兵の適性を判断することまで真剣に検討した。
 だが古川の研究はサンプル数が300人ほどと十分ではないし、気質や性格を自己申告させる手法も厳密さを欠いた。他の研究者の追試では明らかな相関が確認できなかったこともあり、やがて古川説は学問的には忘れられた。
 いったんは古川説が広まった背景の一つは、ABO式の血液型自体が20世紀初頭に発見されたばかりで、未開拓な分野だったことだろう。
 東京朝日新聞でも、古川の研究は「學問的にも實際的にも極めて重大なもの」だから、「一日も早く學的断案に到達する事を期待してゐる」(1928年(昭和3年)7月4日付)とした投書が掲載されている。今は未解明でも「科学の進歩で、いずれは関係が明らかになる」。そう考える人は、現代でも少なくないようだ。
     *
 文教大学教授(宇宙物理学)の長島雅裕さん(46)は、教員志望の学生たちを指導するうちに、血液型性格診断が今も意外に浸透していることに気づいた。
 長島さんは「血液型と性格に、日常生活ではっきりわかるほどの関係がないのは明らかです」と言い切る。古川の論文から90年、血液型と性格の関係を検証した研究はいくつもあるが、明らかな相関は見つかっていない。各血液型の特徴とされる性格を入れ替えて教え、そう知らせずに「自分に当てはまるか」と聞いた実験では8割以上の人が「そう思う」と答えた。つまり思いこみでしかないということだ。
 ではなぜ、「思いこみ」が生まれてしまうのだろう。
 「学生たちは『正しい』とはどういうことかをあまり考えていない。どこかで血液型性格診断をすり込まれるとそれが当たり前になり、疑って吟味するという発想がない」
     *
 堅いことを言わなくても……と思うかもしれない。だが見過せないのは、血液型性格診断が、科学ではないのに科学のフリをする「ニセ科学(疑似科学)」の典型例だからだという。姓名判断や星占いに科学的根拠があると信じる人は少ないだろうが、血液型性格診断は「科学的」な雰囲気をまとっている。
 科学なら実験や観測によって誰にでも検証が可能だが、ニセ科学にはそうした厳密さは求められない。根拠をはっきり示さないまま、なんとなく信頼性が高いように見せかける。オカルト商法や詐欺商法の道具にされると、場合によっては適切な医療を妨げて人命にも関わる。
 「水にありがとうと声をかけるときれいな結晶ができる」など、学校の授業に入り込んでいるニセ科学も多い。「科学的に考えることは、学校の先生でも訓練しないと身につきません」と長島さん。
 専門的な論文を素人が理解するのは難しいが、「聞いたことをうのみにせず、本当に正しいのか立ち止まって考えてみることは誰にでもできます」。ニセ科学にだまされないための方法論は、日々のニュースを聞くときにも役立ちそうだ。(樋口大二)

 ■決めつけて差別するのはダメ 大阪大学教授(物理学)・菊池誠さん(58)
 血液型性格診断が問題なのは、まず差別にあたるからです。本人の努力でどうすることもできない属性で区別するのは、差別ですよね。血液型で性格を決めつけることは「ブラッドタイプ・ハラスメント」と呼ばれ、入社試験の面接や配属先を決めるのに使われるという事例もあり、問題です。
 血液型性格判断は心理学で明白に否定されているにもかかわらず、あたかも科学的根拠があるかのように主張される「ニセ科学」です。ただ、間違えてはいけないのは、仮に血液型による性格の違いが科学的に事実と確かめられたとしても、やはりそれを理由に差別してはならないということです。
 科学が差別に利用された歴史的事例はたくさんあります。かつては黒人が人種的に劣っていることを証明しようとした研究がありました。血液型の研究も、ドイツでアーリア人の優位性を説くために使われました。これらは「科学の誤用」です。
 広島・長崎や水俣病などでも差別がありました。東電原発事故でも福島県出身者に対して、同じような差別が起きている。こうした差別の背景の一部に「一見科学的だが、誤った知識」があります。知識だけで差別は解消されないとしても、科学者はあらゆる機会に正しい知識を伝えるべきでしょう。

 ■血液型性格診断の歴史
1901年 ウィーン大学のラントシュタイナーがABO式血液型を発見
 16年 長野県の医師・原来復が日本で初めて血液型調査を実施
 27年 古川竹二が論文「血液型による気質の研究」を発表(第1次血液型性格診断ブーム起こる)
 32年 古川の著書「血液型と気質」刊行
 33年 日本法医学会総会で「血液型で気質断定は早計」と論争
 37年 古畑種基東大教授が古川説を否定
 73年 能見正比古著「血液型人間学」がヒット(第2次血液型性格診断ブーム)
2004年 放送倫理・番組向上機構(BPO)が各放送局に対して「血液型によって人間の性格が規定されるという見方を助長することのないよう」要望 」(
2017/04/26付「朝日新聞」夕刊p4ここより)

自分はかなり信じていたが、上の記事で「明らかな相関は見つかっていない」「思いこみでしかない」と正面切って言われると、面白くない。
自分などいまだに信じている!?
確かに科学ではないが、自分にとっては“占い”だ。

さだまさしの歌に「恋愛症候群~その発病及び傾向と対策に関する一考察」というのがある(ここ)。その歌詞に、こんな一節がある。

「開き直らねば何もできず ただ暗く爪をかみ
目が点になって ため息ばかりの A型
他人のことなど考えられずに 大切な花畑
平気で踏み荒らしてヒンシュクをかう B型

今日と明日では 自分同志で意見が分かれて
熱し易く冷め易い AB型
その内なんとかなるんじゃないかと思っている内に
自分だけ忘れ去られている O型」

この歌は、1985年の発表だという。この頃はまだまだ「性格診断」は健在だったのだ。

話は変わるが、入社したときから、もう47年になるが、いまだに続いている同期会の名簿には、本人とカミさんの血液型が記してあり、それがまだ書いたままになっている。
上の記事を読むと、1973年から「第2次血液型性格診断ブーム」というから、時期的には合っている。その頃作った名簿なので、当時皆でワイワイやっていたのだ。
自分も当時、随分凝った。結婚を考えるときにも、皆で参考にしたもの・・・??
上の1937(昭和12)年2月23日付の東京朝日新聞の記事にも、結婚の相性について書いてある。その記事には、A+A、B+B、O+Oの相性は書いていない。

実は我が家はB+Bなのである。同期会の名簿にはB+Bの組合せは、我が家だけ。
カミさんに言わせると、この組合せはあまり相性は良くなく、結構珍しい組合せなんだとか・・・
それでも、半世紀別れもせずに“持って”いる。
まあそれから言っても、あまり信用出来ないのかも知れない。
今の若い人は、この「血液型性格診断」をどの位知っているのだろう?もはや死語になっているのだろうか?
単なる占いだが、消え去るには惜しい・・・。
何とも、昔を懐かしんで読んだ「血液型性格診断」の記事ではある。

170527negai <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

私の若いころ血液型性格診断が流行って本を買って読んだことがあります。でも、疑い深い性格なので信じることは出来ませんでした。
今も全く信じていません。何故なら我が家は夫婦、息子2人、全員AB型なのですが、性格はかなり違っています。輸血が必要な時は助かると思っているだけです。大体人間の性格が4種類しかないということがおかしいと思っています。他人が信じるのは良いのですが、私に強制する人がいると喧嘩になります。AB型の典型的な性格だという人がいますが、夫は何でもすぐ信じます。性格が違うので毎日喧嘩になります。いずれ、脳科学が進んで性格の違いなどがなぜ起こるのか解明されると思います。そうなると面白さが無くなってつまらない世の中になるのかも知れませんね。色んな人がいて平衡を保ち、何とか人類が生き延びているのでしょう。もし、戦争好きの人間の血液型が分かれば私は血液型を信じます。

【エムズの片割れより】
アベ君はB型だそうで・・・。東條英機くんもB型・・・
B型は戦争好きなようで・・・
すると自分もB型なので、戦争が好きなのかな・・・!?

投稿: 白萩 | 2017年5月28日 (日) 21:54

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