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2017年4月19日 (水)

「東芝はノモンハン事件そっくり」

最近は、若者と同じく、家の中でもスマホを持ち歩っている。画面は小さいのだが、クイックに情報を得るには便利。前にも書いたが、その中でも「Yahoo!ニュース」というアプリを良く見ている。このアプリが便利なのは、「テーマ」というカテゴリがあり、「テーマを探す」に興味のある文言を登録しておくと、それに関したニュースだけを拾ってきて表示してくれる。
自分がいま「フォロー中」の言葉は、「東芝」と「森友学園への国有地売却問題」の二つ。
森友問題は、最近はニュースが無く、面白くない。それに対して東芝問題は、止まるところを知らず、益々蟻地獄に落ちて行っている。
そんな東芝に関するニュースの中で、次の記事に、妙に納得した。

「『失敗の本質』共著者が指摘 「東芝はノモンハン事件そっくり」〈AERA〉
 沈まぬはずの“電機の巨艦”が1兆円超の巨額損失の渦に飲み込まれようとしている。原因は原発事業の失敗だ。成長期や昭和のニッポンを力強く牽引し、明日は今日より豊かな生活をもたらした名門企業で、一体何が起こったのか。そのとき社員や関係者は何を見て、どう感じたのか。そして何が元凶だったのか。AERA 2017年4月17日号では「苦境の東芝」を大特集。関係者証言やジャーナリストの分析で全貌に迫った。
 日本軍の組織的欠陥を解き明かし、発刊から30年を経て読み継がれる名著『失敗の本質』。共著者の一人は、東芝という組織の中に、日本軍と驚くほどの類似性を読み取る。
*  *  *
 ビジネスパーソンが「座右の書」として挙げることの多い『失敗の本質──日本軍の組織論的研究』(中公文庫)。人気の秘密は、先の大戦を戦略と組織の視点から分析している点にある。同書はノモンハン事件、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄という各作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗と捉え直し、日本型組織に共通する欠陥を浮き彫りにした。1984年、同書を世に問うた執筆者6人は、
「現代の組織にとっての教訓、あるいは反面教師として活用することが最も大きなねらい」
 と記した。それから30年あまり。日本を代表する企業、東芝が消滅の危機に瀕している。

失敗の責任者が昇格
「東芝は日本軍の組織的な欠陥を克服することなく、相当程度に継承してしまった」
170419toshiba1  そう残念がるのは、同書の共同執筆者で経営学者の寺本義也さん(74)だ。現在もハリウッド大学院大学で教授として教壇に立つ。同教授によれば、東芝と日本軍は失敗の経緯や組織の特性まで共通点が多い。特に注目すべきは39年のノモンハン事件と、東芝による2006年のウェスチングハウス(WH)買収の類似性だという。
 ノモンハン事件とは、当時の満州国の西北部で起きたモンゴルとの国境線をめぐる紛争。衝突を拡大しない方針をとっていた東京の参謀本部に対し、満州を管轄していた関東軍が独断でモンゴルの後ろ盾だったソ連軍と激突し、大敗北を喫した。寺本教授は言う。
170419toshiba2 「東芝の本社を、ノモンハン事件当時の参謀本部だとすれば、WHは関東軍です。大事な情報を本部に上げずに現地で独走した点、極めて甘い戦況判断のもとで戦線を拡大した点、結果的にそれが組織全体の道を誤らせた点も全く同じです」
 さらに、失敗の責任者が追及されるどころか昇格した構図が「あまりにも似ていて驚いた」という。ノモンハン事件で無謀な作戦を仕切ったのは、関東軍の服部卓四郎中佐と辻政信少佐。この二人は事件のあと、東京の参謀本部の作戦課長及び班長に昇進し、ガダルカナルをはじめとする負け戦でも主導的立場にあった。一方東芝では、WHの買収を推し進めた志賀重範氏と、志賀氏が招聘したダニー・ロデリックWH元社長が、16年3月期に大幅な損失を出したにもかかわらず、志賀氏は東芝本社の会長に、ロデリック氏は東芝エネルギーシステムソリューションの社長に昇格していた。
「このコンビのもとでのWHの暴走が、東芝本体の危機につながったわけで、まさに第2のノモンハン事件と言っても過言ではない」(寺本教授)

願望は戦略ではない
『失敗の本質』のノモンハン事件の総括を読むと、東芝の姿が二重写しに見えてくる。
「情報機関の欠陥と過度の精神主義により、敵を知らず、己を知らず、大敵を侮っていた。また統帥上も中央と現地の意思疎通が円滑を欠き、意見が対立すると、つねに積極策を主張する幕僚が向こう意気荒く慎重論を押し切り、上司もこれを許したことが失敗の原因であった」
 寺本教授は、日本軍と東芝は組織としての三つの共通した欠陥を抱えていたと分析する。一つ目は「戦略のあいまいさ」だ。『失敗の本質』ではこんな指摘がある。
「本来、明確な統一的目的なくして作戦はないはずである。ところが日本軍ではこうしたありうべからざることがしばしば起こった」
 東芝のような大組織にとって、事業の方向づけと資源の配分を決める「戦略」は何よりも重要だ。しかし、一般には2千億円程度とみなされていたWHを約6千億円もの高値で買収したのはなぜなのか。寺本教授はその戦略の意図があいまいだという。
「当時の西田厚聰社長は、原子力企業で世界ナンバーワンになると考えていたのでしょうが、それは『願望』であって戦略ではない。願望はいくら積み上げても、戦略にはならない」

逐次投入の戦い方
 また重要な戦略であればあるほど、最悪の事態を想定したリスクマネジメントが必要だが、それも不十分だったと指摘する。東日本大震災は予測できないにせよ、最悪の事故が起きた場合に事業を継続できるか突き詰める必要があったはずだという。
 15年にWHがアメリカの原発建設会社を買収した判断も、根拠のない楽観主義と、経営学でいうところの「サンクコスト(埋没原価)・バイアス」によるものだと同教授は見る。サンクコストとはすでに使ってしまった費用のことで、途中で事業をやめても戻ってこない。しかし人間は失ってしまったものに価値を感じる傾向にあるため「あれだけ投資したのだからもったいない」とさらに投資を続けてしまうことを言う。
「ここまで兵力を投入したのだから撤退はできない、と逐次投入を続けた日本軍の戦い方と同じです」(同教授)
 もう一つ、組織そのものの欠陥として、日本軍と東芝に共通するのは「行き過ぎた縦割り」だ。『失敗の本質』では、「戦争において、近代的な大規模作戦を実施するには、陸・海・空の兵力を統合し、一貫性、整合性を確保しなければならないが、日本軍の統合能力は、米軍には遠く及ばなかった」と指摘している。東芝の場合、事業が多岐にわたるため、ある程度の縦割りは必要だが、「ガチガチの縦割り」(同教授)が他の部署に口を挟めない空気をつくった。
「原子力事業部がWH買収を進めようとした時、他の部門では疑問視する人もいながら消極的賛成に回ってしまった。組織論的に言うと、分業を進めれば進めるほど、統合が必要になるが、東芝は統合力に欠け、『総合電機』ならぬ『集合電機』になってしまった」(同教授)

過度な精神主義依存
 三つ目の共通の敗因は「ガバナンスの欠如」。結果として、おざなりの形式主義と過度の精神主義がまかり通った。社外取締役制度を導入したものの、機能を果たさず、15年には「チャレンジ」の名の下での過大な目標達成の強要が明らかになった。
「過度な精神主義に依存するのは組織の末期的症状。日本軍も敗北を重ねるごとにどんどん精神主義が強くなった。どんな作戦も最後は『敢闘精神で頑張れ』と。担当者が物資の補給が不十分だと訴えても上官は『それは君の敢闘精神が欠如しているからだ』と叫んで終わり。論理的な議論が封じられた」
「戦略があいまい」「硬直化した縦割り組織」「ガバナンス不全」。これらは東芝だけの問題ではない──。ソニー出身の経営学者で、戦略論を専門とする長内厚・早稲田大学大学院経営管理研究科教授の指摘も重い。
「日本企業の多くは技術力だけで差別化をはかり、かつてはそれで競争に勝てた。そのため、技術的な成果を出した人が、経営とは何か、戦略とは何かを学ばないまま、社長や取締役になっている。しかし、全体を俯瞰できる統合力と戦略が問われる時代には、それでは適応できない」
 長内教授には、大艦巨砲主義の時代の成功体験に縛られ、飛行機を主力にした制空権がモノをいう時代になっても戦艦大和や武蔵で戦おうとして負けた日本軍の姿が重なって見えるという。
 前出の寺本教授は取材の最後にこう警鐘を鳴らした。
「日本の企業の喫緊の課題は、本当の意味での『経営者』を育成する仕組みづくりです。日本軍の失敗、そして東芝の失敗から日本社会は教訓をつかみとらなければいけない」(編集部・石臥薫子)」(「
AERA」2017年4月17日号ここより)

東芝の凋落については、各メディアが面白おかしく論評している。上の記事も同じだが、それでもこの見方は、何か説得力がある。

170419toshiba3 昨夜(2017/04/18)は、建業法の「特定建設業」の許可を維持するために、エネルギーや社会インフラ事業など主要4事業をも分社化して2万人移籍、東芝本体は持ち株会社へ、と報道されたが、今日は日テレが「本体に人事・経理・総務など管理部門を残し1000人規模の人員削減を検討している」と報道した。(今見たら、サイトがエラーになるので、誤報かも知れない)

NAND事業の売却についても、連日色々な動きが報道され、株価もマネーゲームのように日々上下を繰り返している。
140年の歴史を持ち19万人の大企業が、たかだか2~3人の“サラリーマン社長”の選出を間違えると、こうなってしまう。
かつての山一証券と同じく、安心出来る会社などというものは無い。このことを、世のサラリーマンは、よくよく肝に念じなければいけない。

さて、もう一つの森友学園問題の尻つぼみは、「やっぱり~!」という感か?
何か新しい爆弾でも出てくれば、テレビのワイドショーが視聴率稼ぎに取り上げるのだろうが、このまま終わってはあまりに無念。アベ君の言いたい放題で終わってしまうとは・・・
そう言えば、さっき「森友学園の問題をめぐり、安倍晋三首相夫人の昭恵氏と夫人付職員だった経済産業省の谷査恵子氏に国家公務員法違反の疑いがあるとして、政治経済誌『日本タイムズ』発行人の川上道大氏は4月18日、検事総長と大阪地検特捜部宛てに告発状を送った。」というニュースが流れたが、地検もお役所。期待は出来ないだろう。
明るいニュースの無い世の中である。

170419jyana <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

東芝問題も森友問題もエムズ様の解説のお陰できちんと筋道が分かったような気がします。大体、日本の国民が戦争であれだけの被害をこうむってひどい目にあったのに、あの戦争を煽動した人がケロッとして戦後、総理になったこと自体が私には納得できないのです。その人に安倍さんの顔が重なります。日本をまた壊していくのでしょうか。森友問題も徹底的に調べて言い訳は通用しないことを司法は国民に示してほしいと願っています。

【エムズの片割れより】
あべくんがトランプ大統領から、『あの役立たずの女性防衛相を早く交代させてくれ』と言われたか・・・・
今日のテレビに映っていた金田法相の国会答弁も、相変わらずひどいですね。日本の恥を世界に発信し続けている政府。
すべては「1強」が為せる業(わざ)・・・
共謀罪も含め、政府の暴走を止められない日本は困ったものです。

投稿: 白萩 | 2017年4月19日 (水) 20:04

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