「増える相続放棄 30年で4倍」
だいぶん前の記事だが、読売新聞にこんな記事があった。
「増える相続放棄 30年で4倍…親の死後に借金判明・田舎の実家いらない
亡くなった親族の財産や借金の相続を拒否する相続放棄が年々増加している。2015年は18万9381件に上り、4万6227件だった1985年の4倍超に達した。地方から都市部への人口流出や、親族関係の希薄化が背景にあると指摘されており、全国の空き家問題にも深刻な影響を及ぼしている。
■突然の請求
<未払い金について催告させていただきます>。昨年2月、都内の50歳代男性宅に1通の封書が届いた。15年に亡くなった父親が残したクレジットカードの未払い金60万円の催告書で、「相続人」として男性の名前が記されていた。
男性は父親と疎遠になって久しく、「遺産」の存在を初めて知った。催告書に記されていた弁護士に連絡すると、「少額でも返済すれば、新たに別の負債が見つかったら、その返済義務も生じる」と説明された。男性は昨年5月、家庭裁判所に相続放棄を申し立て、受理された。
司法統計によると、全国の家庭裁判所で受理された相続放棄は08年以降、7年連続で増加している。典型例が、男性のように親の死後に借金の存在を知るケースだ。相続に詳しい平岡将人弁護士は「地方にある実家と疎遠になると、親族の預金額や不動産価値がはっきりしないことが多い。相続の際には下調べを徹底し、相続人全員で話し合うことも重要だ」と話す。
■土地建物も放棄
一方、最近増えているとみられるのが、離れて住む親が亡くなった時、空き家になる家や土地の相続を放棄するケースだ。
地方では不動産価格が下落し、売り物にならない不動産が少なくない。相続案件を数多く手がける弁護士や司法書士によると、住まない土地や建物を相続して固定資産税を払い続けるより、相続放棄で手放そうと考える人が増えているという。亡くなった人に子供がいない場合、兄弟やおい、めいが相続を嫌がるケースも多い。
相続人全員が土地・建物の相続を放棄すると、登記上の所有者は亡くなった人のままでも、実質的に所有者がいない状態になる。民法に基づき、相続を放棄しても、土地や建物を管理する義務は残されるが、老朽化したまま放置される空き家は後を絶たない。
■税金で撤去も
総務省によると、13年10月時点で国内の空き家は820万戸。総住宅数に占める割合は13・5%に上り、いずれも過去最高を記録した。野村総研は、少子化による人口減や相続放棄で、33年には空き家が2167万戸、割合も30・4%へ上昇すると予測する。
15年に施行された空家対策特別措置法では、所有者が不明で倒壊の恐れがある建物を市町村が強制撤去できるようになった。昨年10月1日までに11市町で12件の住宅が撤去され、このうち、6件を相続放棄物件が占めた。
撤去の費用約80万~240万円は、各自治体が立て替えた。6件のうち2件では、自治体が選任を申し立てた相続財産管理人に撤去後の土地を売却してもらい、費用を回収する見通しだが、残りの4件は回収の見込みが立っていない。
空き家問題に詳しい富士通総研の米山秀隆・主席研究員は「空き家の撤去は本来、所有者側が責任を持つべきだが、相続放棄で放置されれば、最後は行政が尻ぬぐいするしかない。固定資産税に撤去費用を上乗せして徴収するなど、公費負担を防ぐ仕組みが必要だろう」と提言している。
◆相続放棄 相続人が受け継ぐべき権利や義務のすべてを放棄することで、その存在を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し出る。相続財産が債務超過のケースで、相続人が過大な債務を負うのを避けるのが目的。プラスの財産も放棄できるため、兄弟が均等に相続することで農業資産や経営資産が分散するのを防ぐためにも利用されてきた。」(2017/01/26付「読売新聞」夕刊P13より)
相続放棄については、前に「全員が遺産放棄~誰が精算?」(ここ)という記事で取り上げた。
やはり、地方の実家の土地や家を中心に増え続けているらしい。
確かに、離れている所の不動産を貰っても、よほどの都会でもない限り、利用価値は無い。そもそも売れもしない。
我が家でも、1年半ほど前に、地方の実家を処分した(ここ)。
地元の不動産屋が買ってくれたのだが、現在もそのままの状態で、再開発どころか、廃屋の解体もされていないらしい。
今更ながら、買って貰えて運が良かった。あの社長さんが、窮地に追い込まれていなければ良いが・・・
家とならんで、お墓も同じだ。地方の実家に近い、お寺のお墓の管理も、離れていると大変だ。不動産のように、簡単に処分も出来ないし、自分の家の近くにお骨を移すだけでも大変。自治体への手続きも面倒だが、お寺への離壇料も、大変な額になると聞く。そんな事を考えると、お墓は、管理料だけは仕方がないと諦めて、管理料だけ払い続けて、お墓はそのままにしておく、というのが最も現実的な解のようだ。
話は変わるが、最近、ルーツ探しを始めた。実は、母方のルーツが良く分かっていない。長崎生まれで、大阪に住んでいたという話は聞いていたが、戸籍上確認が出来ていなかった。お袋は、母親が幼少の時に亡くなり、姉が先に結婚したこともあって、ガンの父親を長崎で看取って、それから、姉を頼って静岡の焼津に移った。そして結婚する時に、「両親がいないのでは可愛そう」と、いったん姉の夫の実家の養女に入ってから結婚した。
よって、戸籍から追っていくと、養女になった家の戸籍から移ったことになっており、その前の長崎が分からなかった。
そのうち、ルーツをたどってみるか、と思っていたが、実は、戸籍に書かれている文字が達筆なため、元の戸籍の住所が読めなかった。それが、一番新しく取った戸籍に、活字で住所が書き写されている事が分かり、長崎の原戸籍が分かった。それで長崎に原戸籍を請求してみた。すると、電話があり、2通の原戸籍が見付かったとのこと。追加で750円の小為替を送って、2通を手に入れた。
そこに、大阪の戸籍住所が書かれていたので、今度は、大阪に原戸籍を請求してみた。すると、同じく大阪から電話があり、大阪で戸籍を移しており、2通の原戸籍が見付かったとのこと。長崎と同じく、また追加の小為替を送って、現在はその到着を待っているところ。電話で聞くと、その前は、また長崎だという。
どうも、長崎→大阪→大阪→長崎→焼津→(結婚)という変遷・・・。何でこんなに戸籍を移したのか分からない。
親父がまだ生きている時に、家系図を作った事は前に書いた(ここなど)。
それに比べ、お袋の方の調査は足りていなかった。最晩年に、大阪での暮らしなどを聞いたが、デジタル的には聞き取れていなかった。もう間に合わないが、ちゃんと戸籍を取って、それに基づいて、ルーツを聞いておけば良かった。
カミさんに言わせると、今さら全く意味が無いという。過去よりも前だという。まあ、それはそうだ。
話が二転三転して申し訳ないが、先日米TVドラマの「er救急救命室」を見ていたら、40歳前後で発病する遺伝性の病気にかかった男の話があった(シーズン6)。「俺はまだ46だぜ。それでも死ぬのか・・・」「(医師)今の医学では治りません。お父さんが20代で自殺したのも、それが原因かも?子供には言うべき」「下に、娘が婚約者と来ているが、言わない。言ってどうなるんだ」「真実を伝えるべき。それでこれからの人生の選択が出来る」「結婚を止めろと言うのか。出産を止めろというのか。知らない方が幸せだ」・・・・
たまたま我が家は「ハゲ」くらいしか遺伝は無いが、糖尿病などは遺伝の影響が大きいと聞く。
実家、家系、遺伝、血・・・・。我々も老年期になると、どうも考える事が、こんな話題が多くなってしまう。
新聞の記事を読んでは、色々ネガティブな事を考えてしまう老人ではある。
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コメント
我々兄妹も相続放棄しました、父親の18歳からの戸籍が要る(他に子供が居ないかどうか)しかも「関東大震災」で書類はないだろうと。その調査費用が遺産額を上回る可能性があるという事でした。何しろ田舎でそれも父親の仕事の関係上物納で手に入れたものですからもう買い手はおろか・・・放棄は兄妹全員一致、何時もはバラバラ意見ですがこんなときに一致するのも笑ってしまいました。
【エムズの片割れより】
「終活」という言葉が流行っていますが、我々も、後世に迷惑を掛けないため、元気な内に処理出来ることはしておかないと・・・と思うこの頃です。
投稿: 名前?忘れた | 2017年2月23日 (木) 00:42