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2017年2月15日 (水)

東芝19万人の社員が全員、米原発建設に400万円を寄付させられた話

昨今のマスコミをにぎわせている東芝の米原発建設に伴う損失の話ほど、腹立たしい話は無い。
東芝のHP(ここ)によると、従業員数は、連結で187,809人、単独で36,601人だという。よって、今回の米原子力損失が7,125億円というから、単純に割り算をすると、連結で一人3,793,748円、単独で19,466,681円になる。
つまり、今回の事件で、東芝の正社員数で計算すると、1人当たり2,000万円、連結の社員数で計算すると、1人当たり380万円の献金あるいは寄付したことになる。あまりの額に、呆然となる。なぜ日本の企業の社員が、これほど多額の“アメリカの原発の建設費”を払わなければいけないのか・・・

今回の事件を聞いて、1997年の山一証券の廃業事件を思い出す(ここ)。当時の野澤社長の、「7500人の社員と家族のことを思えば、私は耐えられません。」「みんな私たち(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませんから!  どうか1人でも多くの再就職先が見つかるように応援してやってください。優秀な社員がたくさんいます。お願いします。私達が悪いんです。・・・」という声がダブって聞こえる。

そう言えばオリンパスの事件もあった。ごく少数の経営者の判断によって、100年以上の歴史のある会社が、いとも簡単に倒産の危険にさらされる。にわかには信じられない。

東芝の今回の事件の発端は、西田社長にあると言われている。「西田を素直に社長にしておけば・・・」と・・・
Netでググると、こんな記事が見付かる。
東芝不正会計の源は、西田厚聰社長にあり(後)
・・・・・・
 実は、1997年3月期まで800億円もの営業利益を叩き出していた東芝のパソコン部門は、西田氏がパソコン事業部長に就いた90年代後半以降、利益はつるべ落としに降下していった。2002年3月期は赤字に陥り、03年3月期の第1四半期は大幅赤字に転落。証券アナリストからは、「東芝のパソコン事業は構造的に収益力を落としているのではないか」と批判的にみるものも少なくなかった。当時、米コンパックを吸収合併したヒューレット・パッカードが北米市場で低価格品攻勢を強め、東芝は一気に守勢に回り、売れ残りの在庫の山を抱えたのだ。
 04年1月、専務に昇格していた西田氏は、突如、パソコン事業の立て直しを命じられ、PC&ネットワークス社に舞い戻り、陣頭指揮をとることに。このとき西室会長、岡村社長は、それぞれ通例の交代時期である任期4年を迎えていたが、あわよくば経団連会長を目論んでいた西室氏が1年留任を画策。異例のことだが、まだ1月の時点で、取締役会は株主総会で選任される社長候補を岡村氏と選んだ。通例3月末に決めることをこの時期にしたというのは、経団連の会長は、現職の企業経営者である社長か会長と定めていることと関係がある。西室氏は相談役になったら、経団連会長にはなれないのだ。
 会長、社長が留任するといえども、それはわずか1年に過ぎず、「その次は西田が就くというのは当時の取締役はみなそう思っていた」(元副社長)。いわば社長が内定していた段階で、パソコン事業再建が託されていた西田氏が、立て直しの秘策に使ったのが、ODMメーカーへの事実上の押し込み販売「バイセル取引」。この取引を進言したのが、資材部門一筋で歩んできた田中久雄氏だった。
 やがて台湾メーカーを使った不正会計は雪だるま式に膨れ、ついには四半期決算期末には売上高よりも利益のほうが大きいという異常事態に。昨年夏、東芝の第三者調査委員会が不十分な調査ながらも暴いたことによって、東芝の不正会計が組織的に行われたものと判明していくが、その源流にあるのが、パソコン部門のバイセル取引だった。そのときの恩義がある田中氏のことを西田氏は引き立ててゆき、自身と対立した佐々木則夫社長(後に副会長)の後任に起用。資材部門という傍流からの社長起用は異例のことと騒がれたが、それにはこうした事情がある。
 もう1人、田中氏と親しい、同じく資材部門出身の石川隆彦氏が東芝国際調達台湾社の総経理として赴任したが、石川氏はすでに台湾着任15年を数える。3~5年で交代するのが一般的な東芝にあっては、極めて異常な長期在任。やはり裏の事情を知るが故、動かすに動かせないのではあるまいか――。(了)【ジャーナリスト・天喜輿望】」(
ここより)

つまり、西室会長、岡村社長は「パソコン事業を立て直せば社長にしてやる」と、西田氏に踏み絵を強いた訳だ。しかし、たった1年で立て直せる訳がない。しかし西田氏は社長になるために、がむしゃらに数字を作った。それが全てのスタート。そして西田氏はWHの買収に突き進んでいく・・・。よって、「あの時、素直に西田を社長にしておけば良かった・・・・」のだ。

話を戻そう。山一証券事件と同じく、何も知らない国内の東芝社員はちゃんと仕事をしている。業績も上向いて、やっと明るさが出て来た。そこに、信じられない金額が降ってきた・・・
世の中では、WH(ウエスチングハウス)を東芝が御しきれなかった結果、と評している。ロスの金額が、東芝が知ったのは、買収後1年経ってから・・・と言う。そう、東芝本体が知らされてのはそうかも知れないが、世界の超一流メーカーのWHが知らなかったということは有り得ない。
ゼロで2015年末に買収した米国の原発4基の建設工事を担当するCB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)が、7000億円もの負の資産があるのを、プロのWHが見逃すはずがない。つまりは、アメリカの7000億円のどうしようもなくなったロスを、誰かが日本に負担させようと謀ったのではなかと、疑ってしまう。

このような責任は、誰がどう取るのだろう?オーナー会社なら、そのオーナーが私財を投げ打って責任を取るだろうが、サラリーマン経営者の場合、今回の志賀重範会長が辞任したように、そんな責任の取り方しか無いのだろうか?
会社を辞めれば、それで責任が取れる? 18万人もの社員に、1人当たり380万円ものお金を負担させた責任がそれだけ???

ここで肝に銘じなければいけないのは、“サラリーマン、いつ何時、何が起こるか分からない”ということ。自分たちが一生懸命仕事をして業績を挙げても、一握りの経営者の欲望ひとつで、全てが瓦解する可能性があるということ。100数十年の歴史のある会社でさえ・・・
繰り返すが、18万人の社員が380万円である。東芝本体の4万人の社員であれば2千万円である。
NHKニュースで、「スカイツリーが10個建つ金額」と言っていたが、それがたった1~2ヶ月の間に、降ってきた東芝社員の心中は、あまりに悲惨・・・

歴代の責任のある経営者は、全員破産して、牢獄につながれる位のことにならないと、社員は“やってられない”。
今後の展開は分からないが、ニュースで聞く度に、“怒り”を感じる東芝の事件ではある。

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