「武器としての人口減少社会」村上由美子著~Uさんの読書ノート
今回の紹介は、村上由美子著「武器としての人口減少社会」という本(ここ)。
Uさんのメールには、こんな紹介文があった。
「本の紹介「武器としての人口減少社会」村上由美子著
本書の著者は、現在OECDの東京センター長を務めるグローバル人材である事から、OECDの統計資料が豊富に取り込まれている。従って著者の論旨はデータによって裏づけられている。このデータだけでもお買い得である
日本は人口減で未来が無い国のように思われているが、決してそのようなことは無い。というのが本書の論旨である。経済成長と人口は殆ど関係がない。それは明治の初めから今までの150年間を見てみれば明白である。又、人口の伸長率とも、先進国では関係がない。ドイツや北欧の国は人口が減少しているにも関わらず、比較的高い成長を維持している。経済成長率をもたらすのは「労働生産性」である。そして、労働生産性を向上させる最大の要因は「イノベイション」(技術革新とその拡散仕組み、仕事のやり方の革新)と設備投資による「資産蓄積」である。労働生産性の伸びは、ほゞ「一人当たりの所得」の伸びに相当する。先進国の経済成長は主として「一人当たりGDPの成長」によってもたらされる。
日本では、生産性の向上というと「工場でのオペレーションの効率化」の話のように捉えられるが、それ以外の分野への生産性の関心はまだ低い。現在3人でやっている仕事を、労働時間を増やさず、2人でやるにはどうすればいいのかを考え実行する事です
特にホワイトカラー部門での生産性向上は重要である。A・I時代になって、真っ先に淘汰されるのが、ルーチン・ワークなどに携わっているホワイト・カラーだからである。又、労働の多様化についても、ワーキングマザーだけでなく両親の介護をしなければならない男性社員も増えていくからである。生産性を向上させ「総付加価値」を増加させるにはどうしたらいのかを真剣に考え実行しいかなければならない。その為の「知恵」を例えば、外資系企業に学ぶことや、社内研修などの投資、ヒトへの投資が不可欠と思うが各位はどう思われるであろうか?」
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この論について、コメントするには荷が重い。だから、この抄録を読みながら、頭に浮かんだことをメモしてみる。
日本の労働人口の減少に対しては、女性活用、共働きの社会、というのが、やはり日本が目指すべき方向ではないか。もちろん安心して共働きできる、保育所の充実などは、前提。
既に日本では、定年まで安心して働ける社会では無くなった。どんな会社も、定年まで安泰、という状況ではなくなった。日本を代表する企業でも、いつ何時倒産するか分からない。つまりは、それを前提に、家庭を維持する方法を労働者側が準備しておく必要がある。それには、まずはリスク回避から「共働き」だろう。
話は飛ぶが、今朝(2017/01/16)のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」で、「驚き 死にたくなければ“女医を選べ”の理由とは」という話をしていた。
「米国の医師の学会誌に掲載されたハーバード公衆衛生大学院の津川友介研究員の、(問診が主になる内科に限って言うと)「女性医師の方が男性医師に比べて患者さんが亡くなる確率が低い」という論文が反響を呼んでいるという。
「USA TODAY」の見出しは「寿命がくる前に死にたくないって?それなら女医をつかまえろ!」。「ウォールストリートジャーナル」(2016/12/19)は「女医は治療を受けた患者にとって有益だ」、「ワシントンポスト」(2016/12/19)は「女性の方が良い医者だと建久結果が語る」。
これは米国の内科医5万人が治療した患者150万人のデータを解析した結果、「女性医師の方が男性医師より死亡率が低かった」という。
ドラマ「ドクターX」の監修も務めた医師・医療ジャーナリスト・森田豊氏は、「男性には男性ホルモンが活発に分泌されている。これは非常に責任感があって、そして前向きに考えてリスクを背負うという性格にするホルモン。一般的に女性医師は治療に対する方針、ガイドラインをよく守る傾向がある。そしてちょっとでも困ったら別の専門家に相談する。こういった女性医師の特有な性格とか特徴が、女性医師の方が優れているという結果につながったんじゃないかと思います」と話していた。
津川さんの論文は、65歳以上の高齢者で、肺炎、心疾患などの患者150万人を調査した結果、入院から30日以内の死亡率が男性医師は11.5%、女性医師は11.1%で0.4%の差があった。この0.4%は「統計学的に偶然では説明出来ない数値」と津川氏は言う。この数字は、内科に限って言うと、アメリカでは3万2000人に相当する。」
話を戻そう。つまり、女性の方が有能だという世界も多いと言うこと。
それにしても日本は、まだまだ働ける人を生き殺しにしてる社会のように思えてならない。
自分の出身の企業では、60歳を過ぎるとフル勤務で月給は10万円。それがイヤなら辞めろ、と言っていたという。70歳位までは、体力気力ともに、まだまだ現役で働ける。労働人口の補填には、女性以外でも、まだまだ方法はある。
そして「デューク大学のデビットソン氏は2011年、「現在の小学一年生が大人になるころには、彼らの65%が今存在していない新しい仕事就く」と予測しています。」という言葉が頭に残った。これからの時代、いかにその時代に即していけるか、という柔軟性がより求めらていくようだ。
こんな難しいデータは別にして、少子高齢化の日本で、女性力の活用などについて考えてしまった抄録であった。
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