アレクサンドロフ・アンサンブルの死を悼む~「ポーリュシカ・ポーレ」
ロシア民謡で馴染みの「アレクサンドロフ・アンサンブル」のほぼ全員が飛行機事故で亡くなったという。
「92人搭乗のロシア軍機が黒海に墜落、乗っていた「赤軍合唱団」とは?
ロシア南部ソチからシリアに向かっていたロシア軍所属のTu-154(ツポレフ154)型旅客機が、離陸から20分後の12月25日午前5時40分(日本時間同11時40分)に消息を絶った。ロシアの通信社スプートニクなどは、同機が黒海に墜落したと伝えた。
スプートニクは、ロシア国防省・コナシェンコフ報道官からの情報として「事故機には、乗客84名と乗員8名が搭乗していた」と伝えた。
ロシアの国有通信社RIAノーボスチによると、搭乗客の多くはロシア軍所属の演奏集団「アレクサンドロフ・アンサンブル」のメンバーで、複数のジャーナリストも同乗していたという。新年を祝うコンサートのため、ロシアがシリア空爆の拠点とするシリア西部ラタキアの空軍基地に向かっていた。
ロシア国営タス通信によると、ソチ沿岸から1.5キロの黒海の沖合で飛行機の残骸らしきものが見つかったという。RIAノーボスチによると、ソチ沿岸から6キロの地点で1人の遺体を発見したという。現在、当局はヘリコプターや艦船で救助活動を実施している。
■通称「赤軍合唱団」とも…「アレクサンドロフ・アンサンブル」とは
アレクサンドロフ・アンサンブルは、ロシア軍所属の楽団。旧ソ連時代の1928年、アレクサンドル・アレクサンドロフ少将が結成した演奏集団が原型。「カチューシャ」「カリンカ」などのロシア民謡を始め、軍歌や革命歌、オペラなどレパートリーは多岐にわたる。国内外で公演実績があり、世界的な知名度も高い。
「赤軍合唱団」の一つとして知られ、日本には冷戦時代の1976年5月に初来日。東京・大阪・静岡などで公演を開いた。当時の朝日新聞は「軍服姿の男声合唱とバラライカなど民族楽器の演奏、それにスピーディな踊りをみせる異色の演奏集団」と紹介した。」(2016/12/25付「The Huffington Post」ここより)
「「ロシアの誇り」軍合唱団のほぼ全員が航空機事故死
12月25日、ソチ沖で起きた航空機事故で、ロシア軍合唱団のメンバーほぼ全員が死亡した。航空機には合唱団のソリスト3人を除くメンバー65人が搭乗していた。
「スプートニク」が、ロシア軍合唱団の歴史を振り返る。 ロシア軍合唱団は約90年の歴史の中で、ソ連およびロシアの最も輝かしいシンボルの一つとなった。 合唱団の初舞台は、1928年10月に「赤軍中央会館」で行われた。当時合唱団の名称は、「M.V.フルンゼ記念赤軍中央会館赤軍の歌アンサンブル」だった。
アンサンブルの創始者は、モスクワ音楽院の教授で指揮者、そして作曲家のアレクサンドル・ヴァシリエヴィチ・アレクサンドロフ氏。当時アンサンブルのメンバーは、歌い手8人、踊り手2人、バヤン奏者1人、語り手1人だけだった。だがメンバーは次第に増え、1935年には135人、1937年には274人となった。
1941年夏、アンサンブルはベラルーシ駅から前線へ向かった。その時にはロシアで有名な歌「聖なる戦い」が響き渡った。
1943年、アレクサンドロフ氏は、ソ連国家を作曲した。この曲は後にロシア連邦の国家にもなった。
1946年にアレクサンドロフ氏が死去した後、同氏の息子のボリス・アレクサンドロフ氏がアンサンブルの指導者となった。そしてボリス・アレクサンドロフ氏がアンサンブルの団長職を退いた後、8人の指導者がアンサンブルを率いた。最後の指導者は2016年5月にアンサンブルに加わったヴァレーリー・ハリロフ氏。だが同氏は12月25日、航空機事故で帰らぬ人となった。
アンサンブルは定期的にロシア軍の軍管区や部隊を訪れてコンサートを開き、戦地にもよく赴いた。また日本を含む70カ国以上でコンサートを開いた。
モスクワ市文化局のアレクサンドル・キボフスキー局長は、アンサンブルを失ったことを深く嘆き悲しみ、「この悲劇の穴をどうやって埋めたらいいのかを考えるとぞっとする」とし、「まだ損失の規模を把握するのは難しい。アンサンブルはただの団体ではなく、私たちの誇りだった。西側のコメンテータたちはアンサンブルをだてに『クレムリンの歌う武器』と呼んでいたわけではなかった」と述べた。」(2016/12/26付「Sputnik」ここより)
いわゆる「チーム」が移動する時には、メンバーは半分ずつ、別の飛行機に乗ると、前に聞いたことがあった。それは何かあった時に、「チーム」を維持するため・・・。
それは野球などのスポーツや、音楽の楽団も同じ。
しかし、今回の事故で「アレクサンドロフ・アンサンブル」という音楽チームは壊滅してしまった。
この楽団の名称は色々あって分かりづらい。
wikiによると「「赤軍合唱団 (Red Army Choir)」の呼称はあくまで旧赤軍・旧ソビエト連邦軍・現ロシア連邦軍・ロシア内務省国内軍といった、ロシアの軍隊・準軍事組織等に属する合唱団の総称・通称である。」
「アレクサンドロフ・アンサンブルは激動の戦前、大祖国戦争(独ソ戦)を通し、戦後のソ連軍、現在のロシア連邦軍時代と伝統を受け継ぎ存続し、同国において数多く存在するアンサンブルの中でも最古参として、また随一のステータスや力量を持つ「赤軍合唱団」の代名詞的存在である。」
追悼の意味も含めて、「ポーリュシカ・ポーレ」を聞いてみよう。
<アレクサンドロフ・アンサンブルの「ポーリュシカ・ポーレ」>
何事も、いつ何があるか分からない。
よって、「何かある」前提ですべては考えておかねば・・・
これは何にでも通じる。
このことを善く善く肝に銘じなければ、と思った。
それにしても、悼まし事故である。
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コメント
稀な出来事はポアソン分布に従うと言われます。航空機事故もその範疇でしょうが、最近多い様に思います。中にはテロ等の人為的原因もあるでしょうが。先日テレビでこの事故に対する専門家の解説がありましたが、ロシア製航空機は事故率が高い、との話でした。乗るならやはりボーイング、エアバスでしょうか。合掌。
【エムズの片割れより】
やはり乗るなら米欧製でしょうね。もっとも、アメリカのローカルは、飛行機が古く、怖いですが・・・
投稿: 博多祇園山笠 | 2016年12月26日 (月) 23:23
ロシアがシリアで行っている むごたらしい空爆を知ったうえで今回の事故を見ると悲惨だとは思っても 素直に追悼できない気がします。ロシア兵の戦意高揚に駆り出された上での事故ではありますが。
事故原因はまだ明らかにされていないと思いますが事故現場は昨年ロシア軍機がトルコ軍機に撃墜された近くと思います。 少し後に その近くを通ってイスタンブールへ行ったときに何となく気持ちの悪い気分を感じたことを今思い出します。戦争には兵士だけでなく様々な人々が 駆り出されます。
【エムズの片割れより】
まあ日本で言えば、陸上自衛隊中央音楽隊ですからね。
音楽のレベルではなく、政治のレベルで捉えると、音楽もつまらなくなります。
自分はつい、政治抜きで、音楽だけ楽しんでしまいます・・・
投稿: todo | 2016年12月30日 (金) 20:34