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2016年12月31日 (土)

2016年を新聞の川柳で振り返る

さて2016年もあと数時間。
この歳になると、いつものようにどうでも良いが、せっかくなので、今年を「朝日川柳」と「よみうり時事川柳」で振り返ってみよう。

平成落首考 2016年後半 西木空人
 「ああテロかあああそこかと聞く鈍麻」の句が掲載されたのは7月1日でした。あれから半年。「新聞にテロの字載らぬ日を探す」。テロ鈍麻の度合いは高進しているに違いない。
 鈍麻は、日本語のありようの点でも顕著です。「ではあれは押しくらまんじゅうだったのか」。10月、安倍晋三首相は「我が党においては結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」と国会で言い切りました。歴史的事実に明らかに反しますが、マスメディアからの批判に、首相の側はどこ吹く風だった。
 「この一年問題ないで耳にタコ」。菅義偉官房長官得意の切り捨て御免フレーズですね。むろん「問題があるときに言う『問題ない』」が、この言い回しの根幹。ですが報道を見るかぎり、記者会見などでこれといった反論は出ないようです。
 あらためて掲載句をたどりながら、この半年を振り返ります。
     × × ×
 「斜め前 右手上げれば うりふたつ」「よみがえる『兵隊さんのお陰です』」。9月、臨時国会での所信表明演説の途中、首相は、領土や領海、領空の警備に当たる海上保安庁、警察、自衛隊の人たちに「今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけた。自民党の議員たちは、一斉に起立して拍手。
 「おかしいと思いつつ立つ進次郎」「起立せぬ議員いずれは非国民」。事前に、この箇所で拍手を、との指示を受けた議員もいれば、小泉進次郎氏のように「あれはない。ちょっとおかしいと思いますよ」と振り返りつつ、驚いて立ち上がった議員もいました。
 安倍政権の政治戦術の巧妙さに、あらためて気づかされます。何か批判しようとしても、すでに場面は次に移っている。
 「ストレスの溜(た)まらぬ頭 首相持ち」「得意げに野党揶揄(やゆ)してこと済ませ」
 トランプ米次期大統領のツイッターを使った型破り・無法な連続発言が世界を振り回していますが、「安倍慣れで違和感がないトランプ流」。発想法は存外似ているのではあるまいか。
 「何となく気が合いそうに見え怖し」「この二人強き昔を恋しがり」
     × × ×
 「スポーツ紙取っていたかと錯覚し」「リオが無い時は何していたんだろう」
 暑い夏でした。
 「よく見たらマリオじゃなくてワリオじゃん」「あの土管次はどの地に出るのやら」。リオ五輪閉会式での光景です。同じ頃「別行動花を捧げて祈る妻」。昭恵夫人の姿が真珠湾にありました。首相の真珠湾訪問につなげる意図があったのかどうかは知りません。
 酷暑の夏でした。「四年後の真夏にあれをやると言う」。ホント大丈夫でしょうか。
 小池百合子新東京都知事の登場で、様相は変わります。豊洲新市場と東京五輪・パラリンピックの会場問題ですね。
 「会場のための五輪のように見え」「決めたこと今更何をと常套句(じょうとうく)」。森喜朗・大会組織委会長は、何かとゴシップのタネになります。現在進行形です。
 「ファーストでなけりゃ駄目かねアスリート」「醒(さ)めました五輪やめたい人多し」
     × × ×
 12月。「文句など言うな土人の分際で」。オスプレイの事故をめぐり、在沖米軍トップはテーブルを叩(たた)いて激高しました。
 「土人」は沖縄に応援に行った大阪府警機動隊員が発した言葉。10月のことでした。「一言で『差別発言』と言えぬほど」
 この言葉、選者のパソコンでは「不快用語」と自動的に注が出ます。しかし「政府挙げ『土人』呼ばわり正当化」。鶴保庸介・沖縄北方相が「差別と断定できない」と言い放ちましたが、政府は鶴保氏の訂正や謝罪は不要とする答弁書を閣議決定しました。
 米軍の発表では、オスプレイは「不時着」です。「不時着と墜落の差を考える」「本当は制御不能で海に墜(お)ち」。それが常識的説明と川柳子は解します。
     × × ×
 日本語が、政治の世界で、「数」を後ろ盾にした腕力によって、いいように操られている。その風潮が世の中に拡大している。「言葉」で生きている川柳作者にとって、大いなる気がかりです。
 「『数』こそが今年の漢字と思い知る」
 (「朝日川柳」選者)」(
2016/12/29付「朝日新聞」p12より)

<川柳 うたた寝帳> 編集委員 片山 一弘
 年末恒例の今年の漢字は「金」だそうだが、よみうり時事川柳の今年の漢字を選ぶなら、3文字を単位にしたい。最有力候補は「大統領」だ。
 ◇リオ五輪予選で落ちた大統領(5月16日、三好康雄)
 ◇ヒロシマのオバマ地球が耳すまし(5月25日、二宮茂男)
 ◇ほめるけど誰も真似せぬホセ・ムヒカ(5月30日、西村雅志)
 ◇プーチンに食い逃げされそ北方丼(11月26日、野々宮光昌)
 やめさせられた人。もうすぐやめる人。やめた後で日本に知られた人。永遠にやりそうな人。さまざまな大統領が本欄をにぎわした。中でも主役級は、もうすぐ米大統領になる、この人。
 ◇リーマン級それはトランプ大統領(6月11日、前田悟)
 ◇本番は隠れトランプ幅利かす(11月10日、溜息吐息)
 ◇トランプ氏期待はずれを期待する(11月16日、ひさ子)
 党の指名候補争いの段階から話題を振りまき、当選後も物議を醸し続けるトランプ氏。「期待はずれ」への期待は、望み薄のようだ。
 そして、隣の国のトップには韓流ドラマのような出来事が。
 ◇友が留守ひとりで書いた謝罪文(11月7日、前澤孝侑)
 ◇終身の不逮捕特権欲しい国(11月20日、関根悟)
 海を挟んだ東西の隣国、どちらも大統領に懸念を抱えながら新しい年を迎えることになる。
      * *
 筆者が選ぶ「今年の漢字」3文字版、対抗馬はこちらだ。
 ◇違法でなくかつ適切な知事辞任(6月18日、濃紫菫咲)
 ◇出ろ出ない出るわ出るなの都知事選(7月10日、鮭仔)
 ◇伏魔殿当事者だった知事が言い(9月20日、安忠男)
 ◇小池流家元慕う四千人(10月27日、岩立安巨)
 任期途中の都知事に不祥事が続発。突然の辞任で新都知事が誕生。さらに築地市場移転問題で3代前の都知事までもが引っ張り出される羽目に。都民じゃない人からの投句も多かった。
 ◇その日だけ都民になりたいことがある(7月18日、むすす)
      * *
 というわけで2016年は、大統領と都知事にまつわる句ばかり選び続けてきた(しかも当分続くこと間違いなし)。
 ニュースの主役が政治のリーダーばかりというのは、世の中があまり平穏ではない証拠。川柳のネタに事欠かないのはありがたいとはいえ、できれば来年は、リーダーがあまり目立たない年になることを望んでいる。」(
2016/12/31付「読売新聞」p8より)

時事川柳なので、政界のことが多いのは仕方がないが、それ以外に色々な出来事があった。でもそれらの事を書くのは止めた。思い出すのは、どれも悪い事件ばかり。思い出して、気分が滅入ることはあっても、心が晴れることはない。忘れるに限る!?

毎年同じ事を書くが、ホントウに年月の経つのが早い。あっと言う間に1年が過ぎて行く。
でも家族の皆は、特に大事件もなく、トシを取っただけなので、有り難い。

止めるに止められなくなっている初詣のお札。毎年、年末に申し込んでおいて、年始に取りに行くのだが、最近はもっぱら「家内安全」という超定番。
まあそれだけ平和だと言うこと・・・
しかし、今回は唯一変化したことがあった。何とカミさんが初めてお札を申し込んだのだ。
しかも、「心願成就」だってさ・・・
何を“心願”しているのかは言わない。こっちも怖くて聞きたくもない・・・
でも、最大の悩みは「メガネ」だそうなので、こちとら何も気にしていない。

「事件が起こらないこと」が最大の幸せ。
今年1年を振り返って、大きな悪い事件は無かったので、とりあえずホットしている年末ではある。

161231kazegusuri <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

「昨年の賽銭返せと初詣」(良いことなかったなーと)
「罰当たりどこかで聞こえる神の声」(賽銭ケチったくせにと)
 神様なんているものかと思いながら賽銭を投げ入れていたせいかもと反省した今年の初詣でした。

【エムズの片割れより】
恐れ入りました~。

投稿: 白萩 | 2017年1月 2日 (月) 21:28

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