八王子「合唱の集い」(2016年)を聞く
今日は、文化の日。ジンクス通りの晴天。それで、八王子いちょうホールで開かれた「第66回(平成28年度)八王子市民文化祭」の「合唱の集い」に行ってきた。
先日、「日野市民合唱祭」(ここ)に行ってみたが、カミさんが、地元の八王子の合唱団も平等に?聞く必要があるというので、行ってみた。しかも、最初から聞くべきというので、10時 過ぎから午後4時半まで、6時間の長丁場だったが、ほぼ全団体の演奏を聞いた。
今日は、それを素人が予断無く、素直に聞いた感想である。(日野の時に、衣装で惑わされたので、今日は目をつぶって音楽だけを聞いた。)
まず全体的な印象だが、ピアノの威力が大きく、少人数の団体の演奏はピアノの音に負けている。どの団体も同じだが、ピアノ伴奏と合唱のバランスが難しい。自分はどちらかと言うと、ピアノ伴奏の無い合唱の方が好き。
演奏の技量は、非常にばらついている。“一糸乱れず”から“とにかく楽しもう”まで・・・
演奏者を男女別に人数をメモしてみたら、その合計は、女性700名に対して、男性118名だった(児童合唱の2つは含まず)。この人数が八王子の合唱人口??
内訳は、混声合唱11団体、女声合唱27団体、男声合唱3団体、児童合唱2団体の計43団体。
混声合唱は、男声が1~2名の団体もある。とにかく合唱は女性の天下。衣装も皆素晴らしい。
その中で、印象に残った演奏を出演順に紹介すると、まず5番目の「混声合唱団 やまなみ」が良かった。男声12名、女声13名とバランスが取れたメンバー。良く訓練された歌声が実にバランス良い。
この辺りまで聞いてみて、いわゆるボイストレーニングが、合唱では大切なんだろうな、と思った。たぶん理想は、各パートが一人で歌っているようになれば良いのかも・・・。一人でも突出した声を出す人がいると、全体のバランスは崩れる。その点では、団員募集の時に発声の入団テストが必要なのかも・・・
13番目の「竹の里 シルバーコーラス」にはビックリ。男性3名、女性8名なのだが、まず舞台に椅子が並べられ、何人もシルバーカートを押しながらの登場。しかも皆白い帽子をかぶっている。平均年齢は90歳近い?
もちろん声も小さいので、リボンや鈴で脇を固める。上手下手を超えた「特別出演」!?歌が元気を運ぶことを実感した。
18番目の「混声合唱団 かたくり」も素晴らしかった。最初の第一声を聞いただけで、良く訓練されていることが分かった。男声6名、女声13名で規模は小さいが、どんな混声合唱曲もこなせる技量があるように思えた。たぶんベテラン揃いなのだろう。
19番目の「女声コーラス ならはら」も素晴らしかった。女声20名の全体のバランスがよく、まとまった歌唱は聞いていて安心。
この団体とは関係無いが、全体的に合唱の編曲について、色々思った。自分が古いのかも知れないが、全体的に合唱編曲で感心した歌がなかった。つまり、どちらかと言うと、あまりに現代的な合唱編曲のように思えた。良く聞き慣れた唱歌も歌われたが、編曲がどうも頂けない。
そして、全体的に、旋律が弱い。つまりソプラノが弱いので、伴奏の他のパートに負けて、旋律が聞き取れない合唱が多かった。ピアノ曲でもギター曲でも、旋律は他の音とは区別されてはっきり聞こえるのが普通。昔からだが、合唱ではなぜ旋律の明確化がされないのか・・・
おっと話が脱線した。元に戻そう。29番目の「女声合唱 いろえんぴつ」も良かった。女声19 名の演奏だが、良く訓練されたハーモニーが美しい。特に、弱音の和音は素晴らしかった。
ここまで書いて、ふと指揮者が同じことに気付いた。プログラムを見ると、上に書いた「混声合唱団 やまなみ」、「混声合唱団 かたくり」や、この「女声合唱 いろえんぴつ」も、指揮者は松田有子さんで、同じ。その他の2つも指揮しており、今日の参加団体だけで5つを指揮している。
つまりは、この指導者の力量が素晴らしいということかも・・・。
前にも書いたが、合唱は指導者によって大きく化ける。自分は、八王子の合唱については何も知らないが、かなり有名な方なのだろう。
そして、35番目に登場した「男声合唱団 コーロ・ボンゴレ」。男声合唱団は3つ参加していたが、この団体が一番ハーモニーが良かった。人数は10名と少ないが、その声は統一感があり、突出した声もなく、安心してそのハーモニーを聞いた。テナーの高域がきつそうだったが、やっとホンモノの男声合唱を聞いた。女声の牙城の合唱の世界で、一服の清涼剤!?
前にも書いたが、自分は男声合唱が一番好き。ワーンというハモった時の快感は格別。それを今日初めて味わわせてくれた。まさにオトナの合唱だった。
そして39番目の「みなみ野キッズシンガーズ」も良かった。小学校入学前?から中学?までの、たくさんの児童が、一緒になって歌っている。その指導は大変だと思うが、その訓練の成果がいかんなく発揮された演奏だった。
この演奏が終わった途端、ごそっと多くの客が客席から退席されたので、キッズの親御さんがたくさん聞いていたのだろう。
そしてトリは43番目「八王子市民合唱団」。男声13名、女声35名による今回参加中48名という最大の人数。一番少ない団体は7名だったので、その演奏の厚みはさすが・・・
Netで検索すると、1993年に苫小牧市と一緒に「第九」を歌ってからの発足らしい。この20数年という歴史は、他の団体に比べてどうかは分からない。しかし、歌声は伝統を感じさせる演奏だった。
もちろん他の団体も上手だったが、編曲も含めて、自分の好みで紹介した。
しかし、日野市と違って、学校の合唱団が出なかったのは残念。学校の合唱団は一般的にレベルが高い。それを聞きたかった・・・。
曲名では、「365日の紙飛行機」が人気があるらしく、2団体が取り上げていた。日野の時も聞いた。そして繰り返すが、ピアノ伴奏無しの合唱が少なかったのは残念。ピュアな合唱をよりたくさん聞きたかった。
ともあれ、6時間、じっくりと八王子の合唱の実力を聞いてしまった。そして、予想以上に女性の天下であることを知った。先に聞いた日野の「第47回」の27団体に対して、八王子は「第66回」の43団体。
どこも、合唱熱がいかに盛んなのかを、再認識した。
自分は歌う方には行きそうにないが、皆さん、お疲れさまでした。
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