トイレ個室のマナー
今日の「読売新聞」の夕刊に、こんな記事があった。
「[個室のマナー]個性表れるトイレ使用…松任谷正隆 音楽プロデューサー
いつだったか、どこかのホテルでのことだ。寝坊したせいで慌ててチェックアウトをして、自分の部屋で用を済ませてこなかったことを少しだけ後悔しながらロビー横のトイレの個室に入った。
トイレの個室は誰も入ることの出来ない僕だけの城だ。この瞬間だけは僕は本当に1人になれる。とはいえ共同のトイレだから荷物を床に置く気にはなれない。仕方なしにドアに付いているフックのようなものにバッグを引っかけ、携帯電話を取り出し、ゆっくりと用を足そうかとズボンを下ろして深呼吸をする。
携帯のニュースでも見るか、と思っていたところに、バタバタと慌ただしい足音を立てて隣人が入ってきた。この感じからしてかなり切迫している様子だ。案の定、ものすごい勢いでドアが閉まったと思ったらものすごい勢いでガチャリと鍵がかかり、それと同時にベルトを外すカチャカチャという音とともにドスンと座る音がする。
まあ、そのあとのことは擬音化するのにはばかられるので省略するが、僕がはたと思ったのは最後の紙を使うときの音だ。カタカタカタ、どころじゃない。まるでおもちゃの機関銃のようにすごい連続音がする。つまり隣人はものすごい勢いで、ものすごい量の紙を一気に引っ張り出していると思われるのだ。
耳を澄ませていると、一気に引っ張り出した紙をくしゃくしゃと丸めて使っているらしい。それがおよそ2回。たった2回の動きでも、きっと2メートルは使っているだろうな、と思う間もなくバタンとドアの音がして再びバタバタと足音が遠ざかっていく。
昔の山賊みたいな顔を想像した。と同時に紙の使い方って親からいつ教わったのだろう、という疑問が生じた。僕の場合は切り目に沿って6回。きちんと折りながら引き出すから、決してあのような音はしない。カタ、カタ、カタと小さく6回。すでに折りたたまれているから当然クシャクシャという音もしない。
これ、親から教わったものでないことは確かだ。そして紙の使い方なんて、誰とも話題にしてこなかったことに気付いた。リサーチしてみると、まあそのスタイルの千差万別なこと。見事にその人なりのオリジナリティーというかキャラクターが滲にじみ出ている。
隣人から漂う匂いを嗅ぐのは御免被りたいけれど、公共の場所は様々なことを学べる場所でもある。そういえば、このあいだの個室では、やはり隣人が入ってきて、ドアが閉まり、ズボンを下ろす音の次にいきなり温水洗浄便座の音が聞えた。誰かが誘い水としての使い方をするのだよ、と言っていたことを思いだした。待て。そんな使い方をしたらノズルが……。
僕の周りの女子たちはたいてい公共の温水洗浄便座は使わないそうである。
まつとうや・まさたか 今の近況と言えばレコーディングだ。最終段階でロサンゼルスに来ている。ここまでは過去最高の出来だと思っているが、ここで一気に奈落の底に落ちる可能性もある。一瞬たりとも気が抜けない時間が続いている。なんて言いながらこの日は寝坊した。」(2016/09/13付「読売新聞」夕刊p2より)
まったく同じ経験をした事がある。このカタカタだが、人によってもの凄い使い方をしている。まるで一人で全部の紙を使ってしまいそうな音を聞いた事がある。
自分は、なぜか4つ折りがクセ。カタカタと出した紙を、半分に折って、それをまた半分に折って使う。だから紙の量は最少。まあそれを何回か使うので、あまり自慢も出来ないが・・・
しかし、この最後の部分はショック。
「ズボンを下ろす音の次にいきなり温水洗浄便座の音が聞えた。誰かが誘い水としての使い方をするのだよ、と言っていたことを思いだした。待て。そんな使い方をしたらノズルが……。」
ウチの温水便座も、最初にチョロチョロとノズルを洗う音が聞こえる。この意味が分からなかったが、そういうことか・・・。でもそんな使い方をしたら壊れてしまうのでは?
でも、ノー天気は自分でさえ、「たいてい公共の温水洗浄便座は使わないそうである」ことになりかねない。
タダのもの(トイレットペーパー)の使い方は、人間の品性を表す。それに洗浄の使い方も、後の人のことを考えていない。せめてこれらは、品性を持って使いたいもの。
話は変わるが、我が家では、1階のトイレは(ほぼ)カミさん専用。2階のトイレは、自室のある自分専用。しかし、夜中はさすがに二人で使う。
その2階のトイレだが、巻紙の消費が結構早いのである。自分の使い方は、先に書いた通り“みみっちい”。それでも直ぐに巻きが細くなる。自分以外に使うのはあと一人しか居ない。
さすがに我が家の中には、カタカタ人間はいないと思うのだが・・・。でもカタカタという音を良く聞く。
品位を保ったトイレの使い方は、なかなか難しいものである。
ちなみに、先の記事、松任谷由実の亭主だそうな。ヘエ~・・・
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