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2016年9月24日 (土)

「売れ残った食品はどこに行く?」~食品ロス問題

先日、朝日新聞でこんな記事を読んだ。
「(フォーラム)食べ物を捨てる:4 一歩前へ
弁当→飼料→卵や肉に
 スーパーやコンビニエンスストアで売れ残った食品はどこに行くのでしょうか?
 コンビニ大手のローソン。昼下がりに東京都内の店舗で、商品を棚から撤去していました。同社によると、消費期限の3時間前をめどに下げます。持ち帰って食べるまでの時間を見込んでいるのだそうです。ローソンで出る売れ残り食品は1店舗1日あたり7.8キロ(2015年度)。全国で年3万6千トンになります。
 消費期限が迫った商品を値引きする店もありますが、「24時間営業では、スーパーのように閉店前に売り切ることができず、値引きシールを貼る負担も重い」(同社)。売れ残りをゼロにするのは難しそうです。
160924syokuhinloss  千葉県市川市の食品リサイクル会社、農業技術マーケティング(伊藤秀幸社長)には、都内や千葉県内のローソン約450店舗で売れ残った弁当やおにぎり、サンドイッチがトラックで次々と運ばれてきます。消費期限前や切れたばかりのものです。「未利用資源で廃棄物ではありません」と野呂重之副社長は言います。
 基本的には手つかずの食品ですが、たまに缶や割り箸などが混じるので手で除きます。ほかはベルトで分別機に運ばれて、プラスチック容器とミンチ状になった食品残渣(ざんさ)に分けられます。残渣を乾燥機に入れると、さらさらの粒に。ふるいにかけて細かいプラスチックなどを取り除きます。飼料メーカーが配合して、養鶏用の飼料が出来上がります。
 飼料は千葉県内の養鶏場で使われます。卵は「エコで育った千葉のたまご」という名前で、千葉県と茨城県の一部のローソンで売られます。
 ローソンは全国約1万3千店の2割で売れ残り食品のリサイクルに取り組み、年8千トンが再生利用されているそうです。ただ、地域によってはリサイクル業者が少ないので、全国に広げるのは難しいといいます。
 スーパーやコンビニの食品ロスなどを利用して野菜や食肉を生産し、排出した店舗などで販売することを、「リサイクルループ(輪)」と呼びます。食品リサイクル法でループと認定されたのは、これまでに54事業あります。
 コンビニ大手のファミリーマートの都内など500店舗から出る食品残渣は液体飼料になり、その飼料で育てられた豚が、同社の弁当のおかずになります。スターバックスコーヒージャパンのコーヒーの豆かすは飼料や肥料にされ、とれた牛乳や野菜は店の乳製品やサンドイッチになります。イオン、ユニーなどのスーパーも、食品ロスを飼料化したり肥料化したりし、これを用いて生産された豚肉や野菜を自分たちの店で販売しています。
 食品リサイクル実施率は製造業95%、卸売業57%、小売業46%、外食産業24%と、加工が進んで私たちのテーブルに近くなるほど低くなっていきます。(今村尚徳、編集委員・石井徹)

◇「食品ロスが減っても飢餓に苦しむ人の食料が増えるわけではない」という声を聞きます。でも、国連食糧農業機関(FAO)は、食品ロスが世界的な食料の減少や価格の高騰につながることを懸念しています。満足に食べられない人は国内にもいます。
 食品ロスの削減に反対する人はいません。そういう問題こそ個人の心がけや善意だけでは解決しないように感じます。米国や韓国にはフードバンクの活用を促進する法律があり、フランスは食べられる食品を捨てることを法律で禁じました。私たちにはどんな社会経済システムの変革が可能なのか、消費者を含めて突き詰める必要がありそうです。 (石井徹)」(
2016/09/18付「朝日新聞」p9より)

コンビニなどで売れ残った弁当などは、ゴミ箱に棄てられ、それがホームレスの人の貴重な食糧になっていると、何かで見た。しかし、地域によっては、リサイクルが行われているらしい。しかしローソンでは2割ほど。小売業では46%、外食産業では24%だという。

前に「“目から鱗”の、素晴らしい超ローカルスーパー「一期家一笑」」(ここ)という記事を書いた。ここでは、売れ残りを減らす事で価格を下げている。
カミさんのお気に入りの近くの「角上魚類」(ここ)。ここでは、夕方、売れ残りそうな魚は、総菜に回し、その日のうちに売り切って、毎日の魚の新鮮さを保つらしい。

たまの(火)に行く、近くのイオンモール多摩平の森(ここ)。2年ほど前にオープンしたが、当初は客が少なく、特に巨大な食品売り場では、「あんなに在庫して売れ残ったものはどうするんだろう・・・」と、心配?したもの。最近は結構人が入っているものの、売れ残りはたくさん出るだろう。
どの店も、在庫を切らせる訳にはいかず、かと言って、売り切る事も難しい。結果、売れ残り食品は出る。
フードバンクのような活動もあるが、消費期限のある食品はなかなか難しい。

一方、フランスでは法律で売れ残り食品の廃棄を禁止したそうだ。
売れ残り食品の廃棄を禁止する法律、フランスが全会一致で可決
膨大な食品の廃棄量に頭を悩ませるフランスで、大手スーパーマーケットがまだ食べられる食品を廃棄処分することを禁じる法律が制定された。
この法案は、5月21日にフランスの国民議会で全会一致で可決された。一連の法律によって、店舗の面積が400平方メートルを超えるスーパーマーケットは賞味期限切れなどで販売できなくなった食品を処分することができなくなる。
売れ残った食品は慈善団体に寄付するか、家畜の飼料や肥料に転用しなければならなくなり、法律に従っていることを証明するため、スーパーマーケットは慈善団体と契約を結ぶことも義務付けられる。・・・・(2015年05月25日)」(
ここより)

フランス、スーパーでの食料廃棄を法律で禁止
昨年5月フランスでスーパーマーケットの賞味期限切れ食品の廃棄が法的に禁止されたが、今月5日から実施されることになった。廃棄されるはずだった食品はフードバンク(品質に問題がない食品を生活困窮者などに配給するシステム)などの援助機関に回され、必要とする人々に配られる。これによって、毎年数百万人に無料の食事を提供できるようになるという。
また、延べ床面積400平方メートルを超える店舗には、売れ残り食品の受け入れを行っている慈善団体との契約を2016年7月までに結ぶことが義務付けられ、これを行わなければ、最高7万5000ユーロ(約975万円)の罰金が科されることになった。人の食用に適さなくなった売れ残り食品については、家畜の餌や堆肥として転用しなければならない。こうした法律は世界初となる。
フランスでは、毎年約2200万トンの食料が廃棄されており、そのうち本来食べられるのに廃棄されている「食品ロス」は約710万トン。67%が一般家庭、15%がレストラン、11%が小売店で廃棄される。
この法律は署名サイトChange.org上のキャンペーンを受けて制定されたもので、約21万人分の署名が集まった。これに尽力した活動家達は、こうした措置がEUレベルで取られるように、同じ署名活動を欧州全土で立ち上げようとしている。
・・・
日本は米国、フランスに次ぐ世界有数の食料廃棄国である(調査機関によって多少前後するが農林水産省の調べによると)。こうした現状に対し、日本でもフードバンクや形の悪い食材を安く提供する取り組みも行われているが、フードバンクの知名度は低く(2009年のアンケート調査だと7割以上が「知らなかった」)、今後さらなる政府による啓蒙や今回のような法律制定、個人の取り組みが期待される。・・・」(
2016/02/08 ここより)

ここ)によると、この法律も一人の市議の活動が実を結んだという。

「こども食堂」(ここ)の活動のように、日本でも、貧困の家庭や子どもがたくさんいる。
連日、マスコミは豊洲新市場の盛り土問題でお祭り騒ぎだが、それによって受ける影響(被害)と、先のフランスの市議によるこのような地道な活動と、それによるフランス社会の大きな改善。
同じ「食」に関する問題としても、もっともっと目を凝らさなければいけない問題は、他に山のようにあると思うのだが・・・

●メモ:カウント~940万

160924tsukiji <付録>「ボケて(bokete)」より

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