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2016年9月 1日 (木)

反戦を言い続けた101歳のジャーナリスト「むのたけじ」さん

NHKのEテレの「ETV特集」は毎週録画している。先日放送された「アンコール「むのたけじ 100歳の不屈」」(2016/08/27放送:再放送2016/09/03 am0:0~(金)深夜)も、何となく見た。しかし、何故か消すのをためらっていた。
この番組は、2015年 10月10日に放送されたもので、むのたけじさん(本名:武野武治)が8月21日に亡くなられたので、追悼番組としてアンコール放送されたものだった。

NHKのサイトにはこう解説がある。
「先日亡くなったジャーナリストむのたけじ。戦時中に「大本営発表のウソを書いた」責任を160901muno とって敗戦と同時に朝日新聞を辞職。その後は故郷の秋田で地方紙「たいまつ」を30年にわたって発行した。百歳を迎えても、気力は衰えない。「必ず戦争を絶滅させる。今の若者たちと話すと、新しい日本人が出てきたという希望を感じる」。これまでの歩みと百歳の日常を描き、この国の未来を考えるヒューマンドキュメントのアンコール放送。」(ここより)

むのたけじ 100歳の不屈 伝説のジャーナリスト 次世代への遺言
ことし100歳を迎えたジャーナリスト、むのたけじ。戦前・戦中は朝日新聞の記者だったが、「大本営発表のウソを書き続けた責任」をとって敗戦と同時に退職。戦後は、故郷の秋田で地方紙「たいまつ」を30年にわたって自力で発
行した。記者として戦前・戦後の日本社会を取材し続け、膨大な記事と発言を残してきた伝説のジャーナリストである。「戦争を絶滅させる」。その言葉や生き方は、読者のみならずジャーナリストをめざす若者にも影響を与えてきた。95歳を過ぎた頃から特に年少者や若者への関心があふれだしたという。「今の若者たちと話していると、新しいタイプの日本人が出てきたと感じる。絶望の中に必ず希望はある。戦争のない世の中を見るまでは死ねない」。100歳になった今も食欲は旺盛、講演や取材をこなし気力は衰えない。戦後70年のいま、伝説のジャーナリストの足跡とそのこん身のメッセージを通じてこの国の未来を考える“熱血”ヒューマンドキュメント。」(ここより)

むのたけじ100歳の不屈 投稿者 tvpickup

それが、今朝(2016/09/01)の「羽鳥慎一モーニングショー」の「そもそも総研」で「そもそも101歳の現役ジャーナリストは生涯を通して何を伝えたかったのか?」というテーマで、この「のむのたけじ氏」のことが取り上げられていた。8月22日の新聞各紙に追悼記事が載っていたようだが、自分は見逃した。(そもそも自分はのむ氏を知らなかった・・・)
しかし、この番組がすこぶる分かり易かった。
音声だけだが、抜粋でのむ氏の言葉を聞いてみよう。

<「羽鳥慎一モーニングショー」より「のむたけじ氏」>

印象強い言葉があったので、メモしてみた。

「戦争を始めてしまったら止めようがない、ということを力説したいのです。」
「相手を殺さなければこっちが殺される。(自分が)生きたければ、相手を殺さなきゃいかん。これが戦場の心理で、自分のバランスを保って、死なないように生きるように頑張ろうと、その感覚で続くのは3日くらいです。その次はどうなるか。悪いことだけれど“なるようになりやがれ”と本能です。本能に戻っちゃう。」
「(ジャワ島で)逃げて行った連合軍の兵隊がインドネシアの農村集落を襲って、女たちを何十人何百人、ベッドの上に縛り付けて強姦していった。そのベッドの袂(たもと)でたくさんの女たちが泣いている。そこに男が倒れている。たぶん妻が強姦されるために引っ張られていくのを助けようとしたんでしょう。無残な姿。それが“普通”だってこと。戦場では。この話はしたことがないから、いつかのための記録のためにしゃべっておきますが、“軍国美談”とか“戦いにも人情の花が咲く”とか言うような人がいるけれど、それはあだ花であって戦争というものは誰がどう言ってみたって絶対に許されない人類の一番悪い罪悪だと私は断定します。なぜこんな悪い手段を使って、幸福な世の中をつくるためにやるんだ、と言えるのか。」
「この70年間には日本人で戦死者は1人も出ないわけだ。戦争やらないから。外国人の誰も戦死させなかった。この70年というのは本当に日本の歴史の中では珍しい穏やかな状態なのです。それが続いてきて今ここになって、国会では集団的自衛権だとか何とか言って、もうあれを聞くと全く戦争の前夜です。私らの世代が知っているあの嫌な軍国日本へ帰ろうとするのか、そこが分からないです。」

「むのさんが最後まで「とにかく伝えたい」、ジャーナリストとして伝えたい事は何だったのでしょうか?」
「(次男談)戦争に参加するというか、組み込まれる危険性を非常に心配しておりました。」
「“戦争をやるぞ”という感じで戦争やるんじゃないんだって。なんとなく静かに、それでいて戦争やろうと思う人たちは、常にきちんと計画を作っているんだって。」
「今の日本人に対して言っておきたいこと、言いたい事はなんですか?」
「私は日本人に言いたい事は、“人様に頼むのはやめよう”と。我々の悩みは我々たち自身で考えて、お偉い人が来て、世の中を良くしてくれる事は、過去にもなかったように、今後そういうことは、未来永劫にあり得ないと。だから今、戦争になったらどうなるといったら、戦争になって一番苦しむ者たちが、じゃあどうすると(考える)。俺ら皆で家の中で語り合えばいいわけで、そうすると道が開かれてくる。それを言いたい。」

100歳でも、大きな声で講演をしていたむのさん。むのさんを突き動かしていたのは、戦争への危惧。誰もが、戦争前夜を感じている。
世界で、日本の立場が弱くなるので、自衛隊を世界に派遣。それで戦死者が出ても仕方がない。日本の政治家のメンツのために、戦争に巻き込まれても仕方ない。そんな方向に進んでいて、我々国民はそれを止められていない。
改めて考える。世界における日本国のメンツのために、戦争に巻き込まれて良いのか?メントと国民の命と、どちらが大切なのか?
戦後70年を経て、戦争の恐ろしさを忘れようとしている。
むのさんは言う。「人様に頼むのはやめよう」!
我々が、今何が出来るのか?何をすべきなのか? 改めて考えてみたい。

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