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2016年9月14日 (水)

「改憲派から護憲派へ3点質問」

今朝の朝日新聞にこんな記事があった。
「(声 どう思いますか)8月11日付掲載の投稿「改憲派から護憲派へ3点質問」
 ■(声)改憲派から護憲派へ3点質問
 無職(愛知県 83)
 参院選の結果、憲法改正の議論が本格化しそうです。しかし、これまでの議論は改憲派と護憲派の意見がかみ合わないまま推移し、今日に至っているのではないでしょうか。
 この状況を改めるには、両派の間で質問と回答を重ねる議論が必要と考えます。「声」欄でやりとりができれば、多くの人に憲法について考えてもらえるのではないでしょうか。
 そこでまず、改憲派の私から護憲派のみなさんに質問させていただきます。
 (1)戦争放棄や戦力の不保持が9条に定められているが、それだけで日本は戦争を仕掛けられたり戦争に巻き込まれたりしないという根拠はあるか。
 (2)改憲派の「日本が第2次大戦後、戦争をせずにこられたのは、日米安保体制や自衛隊の存在のおかげ」という意見をどう思うか。この考えを否定されるなら、日本が平和を維持できた理由をどう考えているか。
 (3)日本の近隣には核武装を進める北朝鮮や、南シナ海や東シナ海で覇権をうかがう中国がいる。こうした国々の覇権主義的な行動を止めるには、対話のほか、抑止力として一定の軍事力も必要ではないのか。
 この3点について、ぜひ護憲派の方々のご意見を伺いたい。 (2016年8月11日付「朝日新聞」(声)より)
     ◇
安全保障、柔軟に議論する契機に
 大学生(熊本県 22)

 両派の間で議論が必要とのご投稿に大いに賛成です。私の回答は次の通りです。
 (1)戦争を仕掛けられないという根拠は、憲法の理念に基づいた具体的な外交や安全保障政策を通じて作り上げていくものです。
 (2)国際関係は様々な要素で動き、平和が続いた理由を安易に絞り込むことはできません。日米安保と自衛隊がなければ戦争に巻き込まれていたのではないかと考えるのであれば、9条がなければ日本がベトナム戦争や朝鮮戦争に巻き込まれ、日本の若者も血を流していたのではないかという可能性も考えるのがフェアでしょう。
 (3)軍事力による抑止に依存することは軍拡競争をもたらし、地域の緊張を高めます。日本が「戦力」を整備することは、かえって紛争の危険を高めることになりかねません。
 軍隊を持つか否かという硬直した二者択一にとどまらず、9条改正の議論を安全保障を柔軟に構想する議論に発展させたいものです。それが日本の民主主義に貢献すると思います。

戦争体験者の思いが平和支えた
 会社役員(長野県 39)

 私の考えは、こうです。
 (1)絶対的な根拠はありません。しかし、武力による威嚇や行使を初めから放棄し、交戦権を否認している国に対し、先制攻撃を仕掛けてくる国があるのでしょうか? 実行すれば、攻撃した国は国際社会から孤立することになります。そのリスクを考えると、攻撃を仕掛ける可能性は少ないと言えると思います。
 (2)日米安保体制や自衛隊に加えて、9条に基づく平和主義、そして何より、戦争を経験した方々の平和への思いゆえ、平和が維持できたと考えます。戦争が始まれば命が失われ、すべてが破壊される。その悲惨さを知る世代の思いです。
 (3)自衛のための軍備は必要と考えます。私は憲法の中で基本的人権が最も大事だと考えますが、それを守るためにも。ただ、どの程度の軍備なら自衛のための範囲内と言えるのか、といった部分を議論する必要があるでしょう。
 世代の違う投稿者さんと、是非語り合いたいですね。

憲法を積極的に使いこなそう
 派遣社員(大阪府 51)

 私は、憲法に修正が必要な部分はあるが、憲法9条の改変は不要だと考えています。以下、ご投稿にお答えします。
 (1)9条の存在だけで戦争回避はできません。9条の理念を国際社会に広め、その理念が実現するよう積極的に働きかけるべきです。
 (2)「日本が平和を維持できたのは9条のおかげ」とも考えられます。9条がなければ日本はすでに米国の戦争に巻き込まれ、派兵していたのでは。自衛隊や米軍基地と9条の共存は矛盾するとの意見もありますが、平和の理念と軍事力の共存は、国際社会全体が抱える矛盾でもあります。
 (3)軍事力で戦争を避けられるという論理に根拠はあるのでしょうか。抑止力に頼れば、必ず軍拡競争になります。「一定の軍事力」は先々、「無限の軍事力」になるのではないでしょうか。軍事力で国際問題が解決した例はなく、複雑な問題には多様なアプローチが必要で、日本は欧米とは違う手法を取ることが可能です。憲法をもっと積極的に使いこなすべきです。

9条改変なら北東アジア流動化
 アルバイト(神奈川県 65)

 ご投稿は、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の東シナ海・南シナ海をめぐる動きが日本にとって危機的状況に入ったとみての声だろう。
 歴代政府は日米安保や自衛隊を個別的自衛権の範囲内と解釈してきた。国民は9条の戦争放棄・平和主義を支持しており、個別的自衛権の範囲内ならばと自衛隊などを認めてきたと思う。
 しかし、安倍内閣は「日米同盟強化」を名目に集団的自衛権の行使を認め、安保関連法を強行採決した。こうした中、中国や北朝鮮の不穏な動きは沈静化するどころか、むしろ活発化している。
 ここで日本が中国・北朝鮮脅威論に応えるべく9条を改変すれば、中国・北朝鮮に軍拡の口実を与え、各国の世論も揺さぶられ、北東アジア情勢は流動化しかねない。同盟強化が逆に「安全保障のパラドックス」として作用してしまう。
 私たちは、9条が侵略や植民地支配への反省の上にできた重みを、思い起こすべきだ。日中・日朝の正常な関係は、加害国日本がきちんと歴史に向き合っているとの信頼があってこそ成り立つ。」(
2016/09/14付「朝日新聞」p16より)

この8月の投稿は、自分もよく覚えており、直ぐには反論も出来ず、考えてしまった。

話は飛ぶが、今日のNHKニュースではこんなニュースを流していた。
北朝鮮の核実験めぐり 米と北朝鮮が激しい応酬
北朝鮮による核実験に対して国際的な非難が高まる中、スイスのジュネーブで開かれた軍縮会議では、アメリカが北朝鮮による核保有を断じて認めないとしたのに対し、北朝鮮はあくまでも核開発を推し進めると反論し、双方が激しい応酬を繰り広げました。
ジュネーブで13日に開かれた軍縮会議では、北朝鮮が先週、5回目の核実験を行ったことについて、アメリカや日本など30か国以上が相次いで非難する声明を発表しました。
このうち日本の佐野利男軍縮大使は、「世界の平和と安全を脅かす許されざる行為だ」と述べ、国際社会の制止を無視して核実験を繰り返す北朝鮮を厳しく非難しました。また、アメリカの代表も、「国連安保理決議に違反し続ける北朝鮮を、核保有国として認めるつもりはない」と述べ、北朝鮮による核兵器の開発や保有を断じて認めないと強調しました。
これに対して北朝鮮の代表は、「アメリカこそがわが国に核開発を強いている。アメリカの挑発が続くかぎり今後も核開発を続ける」と強く反論し、双方が激しい応酬を繰り広げました。
北朝鮮による核実験をめぐっては、13日にニューヨークで開幕する国連総会でも主要な議題となるものと見られ、北朝鮮に対する追加制裁に向けて各国の首脳がどこまで結束を示せるのかや、これに北朝鮮側がどう応じるのかが注目されます。」(
2016/09/14  4時49分ここより)

北朝鮮 爆撃機の韓国派遣で米に反発
北朝鮮による5回目の核実験を受けて、アメリカ軍は13日、B1爆撃機を韓国に派遣し、ソウル近郊の空軍基地の上空で韓国空軍の戦闘機とともに低空飛行する様子を公開しました。
これに対し、北朝鮮は14日、国営の朝鮮中央通信を通じて「アメリカが核戦略爆撃機を緊急出撃させる軍事的挑発を敢行した」としたうえで、爆撃機について「核の先制攻撃に利用する殺人装備だ」と主張しました。そして、「アメリカの挑発によって朝鮮半島情勢は刻一刻と爆発の局面へと突き進んでいる」として、圧力を強めるアメリカに反発しました。そのうえで、「いかなる挑発も一撃に撃退できる軍事的対応手段を備えたわが軍隊はアメリカの軍事的動きを鋭意注視している」と強調しました。
アメリカ軍は今回、核実験を受けて派遣したB1爆撃機について、「核兵器を搭載できない」として核戦力による威嚇には当たらないという認識を示すとともに、「同盟国を守るため必要な措置を取る」と述べるなど、引き続き断固たる姿勢で臨むと強調しています。
これに対し、北朝鮮は、「アメリカの核の脅しに対抗するためだ」として、核・ミサイル開発を正当化する主張を強調していくと見られ、今後、さらなる反発が予想されます。」(
2016/09/14 16時30分ここより)

北朝鮮の「アメリカによる脅威がなければ朝鮮半島に核問題はなかった。」「アメリカの挑発によって朝鮮半島情勢は刻一刻と爆発の局面へと突き進んでいる」という発言。
アメリカと北朝鮮の応酬は、上の「軍事力による抑止に依存することは軍拡競争をもたらし、地域の緊張を高めます。日本が「戦力」を整備することは、かえって紛争の危険を高めることになりかねません。」という意見に合っている。

アメリカが圧力を与えれば、与えるほど、反発する。
しかし、圧力を与えなければ解決するかというと、そう甘くもない。たぶん、北朝鮮の核開発は、言を左右にして止まる事はないのだろう。
さてその時に、日本はどうするか・・・・

来週もこの続きがあるそうなので、また読んで考えたい。

(関連記事)
「改憲派から護憲派へ3点質問」~その2 

160914ishi <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

私はこういう話題になるとベトナム戦争を思い出します。核以外のありとあらゆる地球上に害のある化学兵器、(枯葉剤など)や地雷を使い人間が人間でなくなるような戦をして、結局、アメリカは負けました。アメリカが絶対という神話は消えると思ったのですが、未だにこの神話は信じられているのですね。誰のための何のための戦だったのでしょうか。今だったら日本も派兵をしなくてはならなかったでしょう。戦が終わらないと戦争が無意味なものだということがわからないのですね。戦争をする本当の意味を国民が知ることが一番大事な事のように思います。本当のことをいうと私はベトナム戦争がなぜ起こったのかよくわかっていません。

投稿: 白萩 | 2016年9月16日 (金) 16:35

前のコメントを書いてからベトナム戦争がなぜ起こり終結するまでの概要を大雑把に調べてみました。アメリカが負けた理由もわかりました。日本がこの戦争に派兵しなくて済んだのは幸運でした。でも、沖縄のおかれた今の日本の状態も普通ではありませんね。
どうすれば日本が2度と戦争に巻き込まれないですむのか、来週の記事を読んで勉強したいと思います。

【エムズの片割れより】
先日、こんな文を読みました。
「欧州で第二次大戦が勃発した当初、ドイツの周辺国は選択を迫られた。ドイツ側に付くか否か、それとも中立を守るか、である。このうち、中立を守ろうとしたオランダやベルギー、ノルウェーなどの西欧・北欧諸国はドイツ軍によって軒並み中立を踏み潰され、占領下に置かれた。他の西欧諸国のうち、中立を堅持できたのはスイスとスウェーデン、ポルトガルだけである(スペインは枢軸側についた中立だったが、東部戦線に義勇兵を派遣している)。
 しかしドイツ軍は戦時中、ひそかにスイスとスウェーデンへの侵攻計画も立案していた。中立という概念が、大国の都合から見ればいかに脆いかを示すエピソードといえる。」(「徹底図解 第二次世界大戦」P82より)

幾ら中立を宣言しても、侵略は起きるので、スイス同様、専守防衛は仕方がない。
しかし、アメリカに言われて、ハイハイと簡単に世界に戦争に行くという道だけは、閉ざさないといけない。

投稿: 白萩 | 2016年9月16日 (金) 21:34

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