「子ども食堂、全国で300カ所超す」~朝日がトップで報道
今朝(2016/07/02)の朝日新聞の1面トップ記事は、子ども食堂だった。この記事は、せっかく朝日新聞がトップ記事で取り上げてくれたので、ぜひピン(blog)で留めて残しておきたい。
「子ども食堂、300カ所超す 貧困・孤食、広がる地域の支援
家で十分な食事が取れない地域の子どもらに無料か安価で食事を提供する「子ども食堂」=キーワード=や同様の取り組みをする場所が、5月末時点で少なくとも全国に319カ所あることが朝日新聞社の調査でわかった。今年に入って開設が急増。6月以降の開設も相次いでおり、今後さらに増える見通しだ。
「きょうは何?」「グラタンだよ」。6月の平日午後5時半、小学生の男の子たちがビルの一室に駆けこんできた。大津市で昨年末に始まった子ども食堂。週1回、ボランティアが手作りの食事を出す。「おいしいっ」。15人ほどが食卓を囲む。一気にたいらげるとテーブルを台にして卓球に興じた。
こうした子ども食堂が、全国で急増している。
各地の子ども食堂のネットワークや団体などの情報をもとに朝日新聞が1カ所ずつ聞き取った。困窮家庭の学習支援の場や夜を独りで過ごすことが多い子どもの居場所などで、食事を共にする活動も数に含めた。 調査の結果、都道府県別で最も多かったのは東京で50。滋賀29、神奈川、京都、大阪が22、沖縄17と続いた。全ての都道府県に最低でも1カ所はあった。
2013年までに開設したのは21カ所だったが、この年に子どもの貧困対策法が成立。6人に1人という子どもの貧困率が14年に公表され、支援の機運が高まった。調理や食材提供、遊び相手など活動が身近で参加しやすいことを背景に、開設数は14年13カ所、15年100カ所、今年5月末までに185カ所と急増した。
開催頻度は月1回が139カ所で4割を占めた。月2、3回が71カ所、週1が57カ所。週5日以上も15カ所あった。時間帯は平日夜が目立つ。
子どもの料金は、「お手伝い」などの条件付きを含め無料が175カ所で55%を占めた。有料の場合は50~500円で、100~300円のところが多い。大人は子どもより高く設定されているところが多かった。
運営はNPO法人や民間団体、住民有志、個人など。費用は、寄付や持ち出し、公的補助や民間企業の助成金などで賄われている。開催場所は公民館や児童館などの公的施設のほか、事務所、空き店舗、民家、医療機関の交流スペース、寺などが使われていた。
厚生労働省によると、食品衛生管理に関しては「ケースに応じ、各地の保健所が営業許可の必要性などを判断する」という。(中塚久美子、河合真美江、丑田滋)
◆キーワード
<子ども食堂> 民間発の取り組み。貧困家庭や孤食の子どもに食事を提供し、安心して過ごせる場所として始まった。「子ども食堂」という名前が使われ始めたのは2012年。最近は、対象を限定しない食堂が増えている。食堂という形を取らず、自宅以外で過ごす居場所で食事を出しているところもある。
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「食」の支え合い、各地で手探り 「子ども食堂」急増
全国で開設が相次ぐ子ども食堂。朝日新聞の調査では、活動資金をどう確保するか、困っている子に足を運んでもらうにはどうすればいいかを課題に挙げるところが多かった。貧困対策というイメージから抵抗感を持たれるケースもあり、各地で模索が続いている。
■「困窮者向け」印象強く
「ハラ減った~。早く~」。6月の土曜正午、沖縄県中部の公共施設。われ先に飛び込む小学生らの声が響いた。
3月から週3回開かれている無料の子ども食堂。この日は約50人が集まった。メニューはそうめん。ボランティアの女性数人が錦糸(きんし)卵やキュウリをのせ、つゆをかけていく。「朝ご飯食べてない」と、待ちきれず先に手をつける子もいた。
配膳を手伝い、最後に食べ始めた中学3年の女子生徒(14)は母子家庭で、5人きょうだいの末っ子。兄姉は仕事やバイトで帰りが遅く、女子生徒が炊事、洗濯、掃除を担う。公民館で週2回開かれる無料塾にも通い、そこで夕食もとる。 「家に食べるものがない時もあるからうれしい。大きな家族ができた感じ」
2013年に子どもの貧困対策法が成立。関心の高まりを背景に昨年から子ども食堂が急増した。「夏休みには給食がなくなり、やせる子もいる」と長期休みを意識する声が目立ち、開設を急いだ食堂もあった。
一方、「貧困の子が行く場所」という認識が、ハードルになるケースもある。
東日本の山間部で今春、公民館で子ども食堂を開きたいと地区の区長に依頼にいった民間団体のメンバーは、問い詰められた。「なぜ、うちでやるのか。困窮者が集まる地域と思われる。どんな趣旨で開くのか」。他の地域で開いたときの新聞記事を後日持っていき、誰でも交流できる場と説明。「どんな子も楽しめるなら」と許可された。団体側は「きちんと説明できる態勢にしてから申し込むべきだった」と振り返る。
九州でも昨年、公民館で開こうとして「貧困の子どもはいない」と区長に拒まれたケースがあった。主催者が何度も足を運び、「全ての人の居場所になり、地域が活性化する」と説得して開設できたという。
あえて「子ども食堂」と名付けないところもある。
■クラウドファンディングの利用も
食堂の継続には安定した財源の確保が欠かせない。
子ども食堂の多い滋賀県。開設を後押ししているのが、県社会福祉協議会などでつくる「滋賀の縁(えにし)創造実践センター」だ。モデル事業で昨年度から、食堂を運営する団体などに初年度20万円、その後2年間は10万円ずつ助成している。
5月現在で26団体が対象。今年度は県がこの事業を支援するため1212万円を計上した。センターは「小学校区に最低一つ、300カ所に増やしたい」。
助成対象の一つ、大津市の「しらゆり子ども食堂」は一口5千円の協賛金も募る。運営する歯科医の山元浩美さん(55)は自己資金で鍋や食器を購入。昨年12月から、経営するデイサービスサロンで週1回食堂を開く。小中学生15人ほどが来る。材料費は月5万円ほど。子どもは無料で大人は600円払ってもらうが、「助成終了後も活動を続けるには資金集めの仕組みが必要」と山元さんは話す。
歯科医師会やロータリークラブで協賛を呼びかけ、半年で30万円集まった。応じてくれた個人や団体名を、百貨店にも置く山元さん発行の健康情報紙やフェイスブックに載せた。
ネットで資金を集めるクラウドファンディング(CF)の利用も目立つ。
埼玉県川口市の「川口こども食堂」はCFで48万円を得た。食材は寄付でまかなえるが、公民館の使用料やチラシ代、絵本やおもちゃなどを保管する倉庫代がかさみ、約50人の食事代(子ども50円、大人250円)を集めても月2千円余り足りないためだ。
CFで目標の1・2倍を集めたが、佐藤匡史(まさし)代表(43)は「CFのお金が尽きたら“閉店”というわけにいかない」と、オリジナルの文房具などを販売し、運営の足しにする計画だ。
食材の寄付や会場の無償提供など現金によらない支援も資金繰りを助ける。
食材の寄付は各地であり、「野菜はほとんど農家からもらっている」ところも。那覇市ではスーパーの丸大長田店が近くの食堂の希望する食材を無償で提供している。琉球銀行は15団体に毎月1万円分の商品券や食材を贈っている。
■本当に必要な子、どうしたら来る
相模原市南区の元飲食店を使った「相南ハッピーこども食堂」。6月23日夕、十数人の親子で満員となった。訪れたのは、つわりで調理が難しく娘を連れてきた女性、妻が妊娠中で息子2人と来た男性ら。運営する富岡美智子さん(52)は利用を喜びつつ、「貧困や孤食などの子に来てもらえるかが課題」と話す。
支援を必要とする子にどうすれば来てもらえるか――。誰でも利用できる形式の食堂に共通した悩みだ。
「冬休み中、毎日開いたが、来てほしいと思っていた子は1回しか来なかった」(兵庫)、「ママ仲間が誘い合って来る。コミュニティーになっていいが、しんどい親子にも来てほしい」(東京)、「困っている親子に限定するとかえって来づらい」(埼玉)。
情報を届けるため、子どもの実情を知る学校や地域とつながる動きもある。
沖縄県うるま市の「スマイルカフェ」は、「誰でも無料で一緒にごはんを食べることができます」と書いた名刺大のカードを小学校長や民生委員、ケースワーカー、市に配り、気になる家庭に渡してもらっている。これまで数人の子がカードを持って来たという。
食堂になっている児童館の山城康代館長(54)は子育て支援のNPO法人代表を12年務め、自治会や民生委員とのつきあいが深い。「情報を届けるには、地域の事情を知る人たちに頼むことだと思った。何度も足を運ぶのも大事」と話す。
学校の場合、「教育委員会を通してほしい」などと言われ、チラシを置くだけでも難しいケースがある。
兵庫県尼崎市の小学校では、近くに「そのっこ夕やけ食堂」ができた今春、チラシを貼った職員室前で、教頭が「こんなの始まったよ」と子どもたちに紹介。今もチラシを校内に置く。食堂は市やPTA、スクールソーシャルワーカー、市社会福祉協議会、NPOなどでつくる連絡会が始めた。当時の教頭は「登下校の見守りや行事への参加など普段から付き合いと信頼があったので」と話す。(河合真美江、中塚久美子、丑田滋)
■学校と連携を
桃山学院大の金沢ますみ准教授(スクールソーシャルワーク論)の話 国の貧困対策とは別に、地域でできることとして子ども食堂のような場が始まった。つながりが薄れ、気になる子に声をかけにくい社会になっている。どの子も安心して過ごせる場が必要だと多くの人が感じ、活動が広がったのではないか。
地域にどんな子がいるのかを知り、何を目指すのかを共有することが大切だ。大人の気持ちより、子どもが必要とすることを探してほしい。鍵になるのは学校との連携。事前に活動を丁寧に説明すれば、理解を得やすくなる。無理のない範囲で続けることが、子どもの安心・安全を支える。
■各党、奨学金拡充など公約
子ども食堂に対し、政府は間接的に支援する。政府が中心になって昨年秋に立ち上げた「子供の未来応援基金」は、民間から寄付を募り、資金を必要とする団体への橋渡し役をする。寄付金は6億円を超え、6月末、同基金は支援する団体の公募を始めた。500万円を上限に事業費を助成する仕組みで、子ども食堂を運営するNPO法人などは支援先の有力な候補だ。 子どもの貧困対策は大きな政策課題となっている。
国民一人一人の可処分所得を計算し、ちょうど真ん中の人の所得の半分に満たない18歳未満の割合を表す子どもの貧困率は2003年から上昇し続けている。最新となる厚生労働省による12年の統計では過去最悪の16・3%。18歳未満の6人に1人が「貧困」とされ、十分な食事や教育を受けられていない可能性が高い。とりわけ子どもの貧困率が5割を超すひとり親世帯への支援は喫緊の課題だ。
ひとり親の子ども向けに学習支援と食事の提供などをする自治体に対し、政府が最大で900万円を補助する事業は今秋から始まる。政府は「可能な限り早期に年間延べ50万人分の居場所をつくる」という数値目標を掲げている。
また、低所得のひとり親に支給される児童扶養手当は、今年12月支給分から第2子以降の支給額が最大で倍増する。ただ、手当の支給は高校を卒業するまでのため、返済する必要がない「給付型奨学金」の創設などが各党の参院選の公約に並ぶ。
安倍晋三首相は先月22日のNHK番組で「子どもたちが経済事情で進学をあきらめなければならないということがあってはならない」と強調。民進党の岡田克也代表は先月29日の街頭演説で子どもの貧困問題を取りあげ、「自民党政治が間違っているからこうなっている。暴走を止めて、一人一人が安心して生活できる日本を一緒につくっていこう」と訴えた。(伊藤舞虹)」(2016/07/02付「朝日新聞」p1~2より)
日本の子どもの6人に1人が貧困だという現状。その状況に光を当てるのはマスコミの責務では? 上のように、朝日新聞が今日のトップ記事で取り上げたが、全国紙はどの位、この貧困の連鎖、特に子ども食堂に光を当てているのか、乱暴だがGOOGLEでググってみた。すると、記事の数で朝日新聞が断トツ、続いてその2割減で毎日新聞、産経新聞と読売新聞は、朝日、毎日の二十分の一だった。地方紙では、西日本新聞など多く取り上げている新聞もあるが、マスコミ各紙の取り上げ方は色々・・・
これを機に、マスコミがこの問題について、大いに取り上げてくれることを期待。
まずは我々国民が“現状を知る”ことが第一。それからどう対処していくか・・・
桝添たたきなどよりも、よっぽど有益では?
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