「在日米軍の価値は25兆円?」の話と、田原総一朗氏の講演会「私が見た日本の転機」
先日の朝日新聞にこんな記事があった。
「(ニュースQ3)トランプ氏が増額要求、「思いやり予算」渦中
「もっと払わないなら、米軍を撤退させる」。米大統領選で共和党の候補者となったドナルド・トランプ氏の発言で、在日米軍のために日本が負担している「思いやり予算」が注目されている。もっと払うべきなのか。それとも、払いすぎなのか?
■近年は2千億円弱
米海軍最大の原子力空母(全長333メートル)が使える岸壁、軍関係者向けの広い住宅、ゴルフ場……。昨年完成したドキュメンタリー映画「ザ・思いやり」は、国内の各地で思いやり予算の使われ方を追った。 日本在住の米国人監督、リラン・バクレーさん(51)は、「ほとんどの日本人は自分たちの税金が米軍の何に使われているか知らない。そんな状態で日本が負担し続けるのはおかしい」と話す。
1960年に結ばれた日米地位協定では、在日米軍にかかる費用は日米で分担すると定められている。当初は、日本が基地提供とその土地所有者への賃借料を、米国側が米兵や基地で働く日本人の給料などを負担してきた。
だが、70年代の石油ショックの後、インフレや円高の影響で、米国側は追加負担を求めるように。これに対し、当時の金丸信防衛庁長官は「思いやりの立場で地位協定の範囲内で、できる限りの努力を払いたい」。この発言が「思いやり予算」の起源とされる。
そして日本は78年度の予算で、従来の基地の土地賃借料などとは別に、日本人従業員の給料として62億円を計上。これが初の「思いやり予算」となった。99年度に2756億円のピークに達した後は減り、近年は2千億円弱で横ばいだ。78年度以降の合計は約6兆6千億円にのぼる。
■自主防衛コストは
仮に同盟を解消し、自主防衛で在日米軍と同様の抑止力を保とうとすると、どのくらいのコストがかかるのだろうか。
防衛大学校の武田康裕教授と武藤功教授が12年時点のデータをもとに試算すると、空母や戦闘機などを調達する「直接経費」に、米軍が去ることによる日本国債や株の下落といった「間接経費」などを加えた24兆319億~25兆5319億円が、総費用になるという。一方、日米同盟の年間維持費は1兆7658億円。同盟を解消すれば、米国の先進技術や軍事情報も手に入らない。武田教授は「いまの何倍の費用をかけても、自主防衛で現状の水準を満たすのは難しい。同盟は日米双方にとって価値がある」と指摘する。
■「駐留は米の利益」
ただ在日米軍をめぐっては、米兵がらみの事件や航空機の騒音の問題などがあり、地元の反発は根強い。面積で在日米軍専用施設の74%が集中する沖縄では、5月に地元女性が遺体で見つかる事件が発生し、米軍属の男が殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪で起訴された。
駐留米軍をめぐるトランプ氏の発言を受け、「どうぞ出て行ってください」とツイッターでつぶやいたのは孫崎享(まごさきうける)・元外務省国際情報局長だ。孫崎さんは「在日米軍の目的は日本の防衛だけではない」と強調し、一例として日本を拠点とする米海軍第7艦隊を挙げる。対中戦略などで重要な西太平洋からインド洋までの海域で、この艦隊が存在感を示せるのは、日本に大規模な部隊を配置できているからこそ――というわけだ。
こう言い切る。「駐留は一義的には米国の利益のため。撤収して困るのは米国だ」(其山史晃、福井悠介)」(2016/07/21付「朝日新聞」p37より)
トランプ氏が言っている「米国が防衛する国々に相応の負担を払うよう求める」。もし断ると、米軍の撤退もあるという。
イギリスのEU離脱などをみると、高を括っているわけにはいかない。トランプ大統領も有り得るかも・・・
そして、もし米軍撤退となると、同じ抑止力を持つ軍隊を整備すると25兆円かかるのだそうだ。
もちろん、今の米軍と同じ軍備を備える必要があるかどうかは議論の余地はある。しかし、中国の南シナ海の「牛の舌」や、北朝鮮のミサイル開発などを見ると、米軍が去った後、今の自衛隊で大丈夫かどうかは分からない。
そもそも、憲法は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と謳っているが、先の両国に通じるのかどうか・・・
上の話とは関係無いが、先日、NHKラジオ第2で、田原総一朗氏の文化講演会「私が見た日本の転機」(2016/07/17放送)を聞いた。この講演は、集団的自衛権に至る日本の政治の歴史、経緯を順番に話しており、頭の整理に好都合だった。そのうち、安倍さんの所だけを抜いたのが下の音源。
<田原総一朗氏の文化講演会「私が見た日本の転機」より>
ここでも田原さんが「アメリカのご機嫌取りのための集団的自衛権」と言っていたが、今の首相は、国民を見ないで、自分の立場だけで政治をしている。こんな独裁者を許しているのが我々日本国民・・・。
まあそれはそれとして、このトランプ“騒動”を機に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」ことが、近隣諸国の無法によって、もう無理になってきた今、日本国民はこれからどう行動するのか、改めて考える時期になってきたのかもしれない。
| 0
コメント
ここ数日のテレビニュースを観てつくづく、日本はアメリカの属国ではなく、奴隷国かと悲しくなりました。沖縄のヘリパット移設地の強制工事の映像です。江戸時代の悪代官が貧しい農民をいじめている情景とそっくりです。
もういい加減に沖縄から基地をなくし、平和で静かな暮らしをさせてやれないのでしょうか。
アメリカの国民はこの状況を知っているので、しょうか。成す術もなく、テレビニュースを観ています。軍隊や軍人が偉いと思っているアメリカが自由と民主主義国なんて到底いえません。安倍さんが裁判にかけるとは日本の国を売っていることだと私は思います。今朝の新聞はポケモンがトップニュースでした。どうかしていませんか。アメリカも日本も!!
【エムズの片割れより】
トランプ大統領候補や、ドイツのテロの話を聞くと、日本だけでなく、世界がおかしな方向へと向かっています。
小さい声で「ウチの孫は女の子で良かった」なんて、ささやいています。
投稿: 白萩 | 2016年7月24日 (日) 12:50
そうです、エムズ様、世界の人口の3分の2が女性になれば戦争は減ります。女の子を沢山生みましょう。
今、田原総一朗の講演、聞きました。難しい言葉を使わないのでよくわかりました。何事にも裏があって密約があって、国民には知らさず国が勝手な方向に動いていく怖さを感じました。
そういえば戦後のレッドパージの時、徳田球一を吉田茂がかくまっていたと何かで読みました。頑固者の吉田茂が一番リベラルだったのかも知れません。庶民はただ流されて暮らしていくだけ、この間の選挙の結果でよくわかりました。でも、次の世代の女性たちに希望を持っています。
【エムズの片割れより】
昨日、カミさんが図書館で予約していて、やっと回ってきた「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」の絵本を読みました。
人間の業なのでしょうが、「欲」というバケ物・・・。南シナ海などがそうですが、「命」を投げ打っても欲しい物があるとは思えませんが、そう思うのは、ムカヒさんが言うように、少数なのかも・・・。
投稿: 白萩 | 2016年7月24日 (日) 22:03
歴史嫌いだった私も最近少しずつですが、明治以後の日本の歴史の真実を知り始めています。なんせ学校では何も教えてくれなかったんですから。今読んでるケント・ギルバートさんの「まだGHQの洗脳に縛られている日本人」という本は驚きでした。発売たった1か月で2刷目をしています。そうだろうなと思います。私もこれで目が覚めたような思いです。
こういう視点の本は日本人には書けない。日本に長く暮らしているアメリカ籍の方だったから書けたのだと思います。
白萩様、エムズ様、よろしければ一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?
【エムズの片割れより】
ご紹介ありがとうございます。読んでみます。
投稿: み~子 | 2016年7月29日 (金) 14:34
平和憲法は尊いものです。 しかし、残念ながら、周囲の無法な国家を相手にしなければならない、状況を考えますと、現実的な方策が必要です。 アメリカとの同盟を強化していく以外に この国の安全保障はありません。
【エムズの片割れより】
確かに、フィリピンからの米軍撤退に伴う、中国の南シナ海での横暴さの現実を前に、他に手段は無いのかも知れませんね。
投稿: 杉井猛士 | 2016年7月30日 (土) 16:48