桝添外し、報道の「お祭り」
昨日(2016/06/15)、桝添都知事が辞表を提出し、“お祭り”が終わったが、それを斜めに見ている記事はないかな・・・と思っていたら、今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていた。
「(耕論)舛添氏だけが悪いのか
「祭り」騒ぎ、報道は反省を 江川紹子さん(ジャーナリスト)
もうげんなりして見たくもありません。テレビや新聞の報道のことです。舛添さんのクビをとることが目的になって「早く辞めよ。この道しかない」と走り始めると止まらない。「祭り」状態です。
騒ぎに乗っかって舛添さんを、ここぞとばかりに正義漢ぶって一斉にたたきまくる。芸能人の不倫報道と同じレベルとしか思えません。そして次の餌食を探しに行くのでしょう。
そもそも「東京」の知事のことを連日、全国津々浦々にトップニュースで伝える、会見も生中継。そんな必要があるのでしょうか。マスメディアの東京中心主義、極まれりです。
もちろん舛添さんの公私混同は批判されて当然です。でも一刻も早く辞めさせなければならない問題なら、なぜ週刊誌が伝える前に大きく報道できなかったんですか。
都庁のなかには記者クラブがあって大手メディアが常駐しています。記者は会見にも出られるし、庁内を歩き回って会いたい人に会え、資料も利用できる。情報にアクセスできるチャンスを最大限いかして取材ができるのです。
それに、舛添さんは知事になる前は国会議員でした。知事にふさわしいのか、その時点から調べることもできたのに、ほとんどノーマークでした。
こういう時だからこそ、舛添都政を冷静に点検し、辞職のメリット、デメリットを解説するようなメディアはないのでしょうか。次は都知事選に誰が出るか、そして参院選と政局報道になるのでしょう。いつもの繰り返しです。
前経済再生担当相の甘利明さんのカネをめぐる問題は、いったいどうなっちゃったんでしょうか。表舞台から引っ込んだら報道しなくなるわけでしょ。表に出て下手な言い訳をする人、偉そうにしてきた人を引きずり下ろす快感もあるのでしょう。
メディアの役割が権力監視というなら、それを果たせなかったのです。反省すべきだと思います。落ち目になった人をたたくのが権力監視というなら、中央の元気な政権の監視なんかおぼつかないです。人々のマスメディアへの信頼がどんどん後退していくでしょう。
もう一つ、都議会はこれまで何をしていたんですか。与党は問題がここまでこじれる前に、「これはまずい」ときちんと知事に申し入れるべきだった。野党は、この問題を掘り起こして追及できなかった。この点も批判されるべきです。果たして議員としてふさわしいのでしょうか。不信任案が可決されて知事が都議会を解散すれば、選挙戦で議員たちは知事の問題で何をやったか、説明せざるを得なくなったでしょう。その機会はなくなりました。(聞き手・桜井泉)
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えがわしょうこ 58年生まれ。元神奈川新聞記者。坂本堤弁護士一家事件を機にオウム真理教問題に取り組む。著書に「勇気ってなんだろう」など。」(2016/06/16付「朝日新聞」p15より)
なかなかのキレである。同じく、1面の記事でも、お祭り報道に関して、こんな文言もあった。
「・・・・テレビのワイドショーが連日、問題を取り上げた。
《公費で海外に行くのがうれしいのか。『ファーストクラスで海外』というさもしい根性が気にくわない》《議員の公用車も要らないと思っている》
こうした著書での過去の記述が洗い出され、言動との不一致が指摘された。民放関係者は「舛添氏の報道を一度やめたら、同時間帯の他局の番組に視聴率を奪われた。視聴率が取れる話題だった」と明かす。・・・」(2016/06/16付「朝日新聞」p1より)
確かに桝添さんは、知事になってからテングになってしまい、自滅した。
組織の長、つまり権力者になると、自分自身に惚れ惚れし、それに目がくらんで「テング」になる人は多い。自分の実力に対し、その言動を冷ややかに見ている回りの目があることに気付かず、結局は失速して終わる。サラリーマン世界でもよくある話。
アフリカ各国の権力者の長期政権が、例外なく腐敗する構造とも似ている。
それはそれとして、報道各社の暴走ぶりはやはり行き過ぎ。視聴率至上主義だとこうなるのであろう。しかし、東京のローカルTV局「東京MX」ならともかく、全国ネットでの都議会の長時間生中継はいかにも行き過ぎ。もちろん新聞の「号外」も・・・。(もっとも今日のイチローのヒットでも号外を出すほどなので、号外も安っぽくなったもの・・・)
そして、今回の辞任劇を仕掛けたのが、またもや「週刊文春」。これをどう見るか・・・
大手メディアをコケにして立派? それとも、結果として政治家を摘発してクビにする怖い存在?
今回の事件を横目で眺めてみると、ザル法と言われている政治資金の公私混同など、誰でもやっている話のように思えてならない。
よって、政治家全員を「ドキッ」とさせた効果は否定しない。しかし、もしこれが政治家全員の問題としたら、説明ヘタの桝添さんは「オレだけじゃない」と思っているのでは・・・?
まあ、スピード違反も「オレだけじゃない」と言っても許してくれないが・・・。
期待するのは、他のメディアも、週刊文春と同じように、後に続けて「摘発」(=暴露)すること。前の石原都知事も色々あったように聞く。それが許されて、桝添都知事だけが許されないのもおかしい。
この調子で、数人のクビを取れば、それを“忖度”して?日本の政界も少しはキレイになるかも知れない。
ともかく、キッカケは週刊文春でも、世論は国民。次の都知事を選ぶのも都民。
報道におもしろおかしく乗っかるだけでなく、賢い都民になりたいものである。
(自分もこれからは、テレビのワイドショーなどを、なるべく見ないようにしよ~っと!今回は夢中になって見ちゃったので!?)
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コメント
メディアの暴走は怖いですね〜
吊るし上げの生中継して、溜飲を下げる。
これは国民性なんでしょうか。
なんとも、、、
後味の悪い辞任劇でした。
「セコくて気に入らないから、辞めさせろ」で民主主義が通るのか。
舛添さんも、最初のボタンを掛け違えてしまったけれども、
追求するべきは、政治資金規正法である事は皆んな理解しているのに。
本当に、私達都民のメリットは、あったんでしょうか。
数々の疑問だけが置き去りの気がします。
「厳しい第三者の目」のヤメ検弁護士とか。(笑)
そう言えば、石原元都知事の「尖閣諸島を買う為の寄付」とやらで集めた大金は何処へ行ったんでしょうか?
何か良い事に使われたんでしょうか?
アレレ〜!
【エムズの片割れより】
熱しやすく冷めやすい、という国民性ですかね~。
このマスコミに踊る国民性は、先の戦争もそうですが、怖いですね。
それと、舛添さんなど可愛いもので、本当はもっと退治しないといけない巨悪があるように思いますが・・・
投稿: 白木蓮 | 2016年6月17日 (金) 01:18
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160617-00000007-wordleaf-soci
こちらの記事にも同じようなことが。
要は以下のような「言い訳」ですか。
○経営悪化で余裕が無い
○記者クラブでの慣れ合い
○都庁担当の卑下っぷり
○質問の質の低下
ホント、「集中砲火」が大好きなようで・・・
週刊文春の編集長の指摘は言い得て妙ですね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160617-00000001-jct-soci
あと、都知事選に関してこんな情報も。
本当に懲りない人・・・
投稿: マッノ | 2016年6月17日 (金) 23:16
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160617-00000032-dal-ent
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160617-00000309-oric-ent
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160617-00000006-tospoweb-ent
報道といったら、こういうのもありますね。
人の生死に関わることだから、本当に静観していて欲しい・・・
【エムズの片割れより】
報道と同時に記者会見をしたのは、静かに見守って欲しいから。誰もがその気持ちが分かりました。
しかし、品の無いメディアは、そんな事お構いなしに、相手のことなど考えないのですね。
メディアのレベルの低さに、辟易します。まずは「見ない」という視聴者の姿勢を実現したいもの。
投稿: マッノ | 2016年6月18日 (土) 14:27
http://tkj.jp/book/?cd=12147301
本屋で偶然見つけまして、チラッと中身を見てみたら面白そうだったので、買ってみました。
やっぱり面白かったですね。うなずけることが色々と書かれています。
エムズの片割れさんもいかがですか?
【エムズの片割れより】
本屋でやっと見付けて買ってきました。これから読んでみます。
投稿: マッノ | 2016年6月23日 (木) 23:16