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2016年6月14日 (火)

映画「シチズンフォー/スノーデンの暴露」を見る

今日は、渋谷まで行って、映画「シチズンフォー/スノーデンの暴露」(ここ)を見てきた。
この映画の存在を知ったのは、先日の朝日新聞の映画評。そこにはこうあった。

「「スノーデンの暴露」、波紋なお 「シチズンフォー」ポイトラス監督
 米国家安全保障局(NSA)などによる、世界規模の情報収集と監視が、エドワード・スノーデン氏による告発で明るみに出てからほぼ3年。告発の経緯と、その内容を追い、昨年に長編ドキュメンタリー部門でアカデミー賞を獲得した「シチズンフォー スノーデンの暴露」が160614snowden1 11日から日本で公開される。スノーデン氏から最初に情報提供を受けた当事者でもある、ローラ・ポイトラス監督は「告発の波紋は、今も広がり続けている」と語る。
 「シチズンフォー」は、スノーデン氏がポイトラス氏に接触した際に名乗ったコードネーム。情報提供の約束を受け、ポイトラス氏やジャーナリストのグレン・グリーンウォルド氏らが2013年6月に香港でスノーデン氏に会い、提供を受けたファイルを元に記事を発表する経緯を描く。
 狭いホテルの部屋の中で、国家権力の監視能力がいかに強大になっているかや、改革を約束しながらもその能力を利用するオバマ政権への失望を淡々と説明するスノーデン氏。取材を元にした、グリーンウォルド氏の記事が世界中に衝撃をもたらし、やがてスノーデン氏の存在に注目が集まる様子。まるでサスペンス映画のような展開だが、すべて実際の出来事だ。
160614snowden2  カメラの後ろにいて、声しか登場しないポイトラス氏は作品で目立たないが、告発には不可欠な存在だった。04年のイラクでの取材をきっかけに米政府の監視対象となり、米国に帰国するたびに捜索を受けていたポイトラス氏は、イラク戦争とグアンタナモ収容所を追ったドキュメンタリーに続く第3作として、接触を受ける前から監視活動についての作品を撮り始めていた。情報提供先に選んだ理由を聞かれ、スノーデン氏が「あなたが自分を選んだのです」と答えたほどだ。
 「3部作を通じて、01年の同時多発テロの後、米国に何が起きたのかを描きたかった」というポイトラス氏は、スノーデン氏の暴露をきっかけに「各国政府が何をしていて、大量監視に結びつくテクノロジーがいかに強力であ160614snowden3 るか、世界中で意識が高まった」と指摘する。スノーデン氏を訴追した、米国のホルダー前司法長官も今年5月のインタビューで「行為は違法だった」としながらも「議論を起こした点で、公益に貢献した」と認めた。
 一方、政府に許容される行為と規制をめぐる議論は進んでおらず、米大統領選でも話題になっていない。候補になる見通しのドナルド・トランプ氏、ヒラリー・クリントン氏はどちらも、監視活動を制限する方向ではない。
 「正直、この国と世界にとって、二人とも怖い選択肢だと思う」というポイトラス氏も「政治のテーマになっていないのは残念だ」と語るが、自身の活動は止まっていない。内部告発サイト「ウィキリークス」のリーダー、ジュリアン・アサンジュ氏の拘束を追った次作「リスク」は今年のカンヌ映画祭で発表した。(ニューヨーク=中井大助)」(
2016/06/03付「朝日新聞」夕刊p4より)

この映画は2014年の作品。内容は、既に知られていること。しかし、ここに登場するカメラが、“そこに居合わせた”と考えると、リアリティが違う。
つまり、香港のホテルで、スノーデンが初めて英新聞「ガーディアン」のインタビューを受ける場面が写っている。そして、実名が報道されたあと、無精ヒゲを剃って、身を隠す場面など、そう思って見ると、まさに舞台裏のそのもの。

Wikiでみると、「スノーデンの弁護士によるとロシアでは普通の生活を送り、仕事をしたり様々な都市へ旅行しているという。2014年7月、弁護士によりロシア内の滞在期間延長が申請され、3年間の期限付き居住権を得た。」とのこと。
この映画の最後に、スノーデンの恋人もロシアに渡ったと言っていた。一人よりも、二人の方がよっぽど良い。これは救い・・・・

さて、良く知られた事件だが、改めてこの事件をどう捉えるか?
その情報を受けたジャーナリストの側の対応が、改めて立派だと思った。もちろんスノーデン本人が、相手を慎重に選んだこともあるが、マスコミがそれをちゃんとスクープしたこと。それは、「ワシントン・ポスト」が慎重だったため、第一報は「ガーディアン」の単独スクープだったという。
これらは、第一報を打つかの判断が非常に難しい。彼のウォーターゲート事件で名をはせた「ワシントン・ポスト」でさえ二の足を踏んだと言うから、その影響の大きさがしのばれる。

もしこの情報が、日本のマスコミにもたらされたとしたら、ちゃんと報道するだろうか、と想像すると、1000%潰されるだろう。テレビドラマでよく出てくる「上の判断でボツだ」が関の山。比べるものバカバカしい・・・。
そんな意味で、世界のマスコミの立ち位置と、「政府が右ということを左というわけにはいかない」とのたまう子供じみた日本のマスコミとの落差を改めて感じた。

さて、久しぶりに渋谷に行ったが、もうワケが分からぬ。大きな工事中でもあり、映画館を探すのが、一苦労。それにしても、この映画、都内では2箇所でしか上映していない。新宿ピカデリーなど、上映が朝9時と、夜の9時の時間帯。これでは行けぬ。結局渋谷に行ったが、こちらは平日だったが3~4割ほどの混み具合。
まあ見る人がかなり限られる映画ではあるが、そのうちにテレビで放送したら、“復習” したい映画ではあった。

160614rikon <付録>「ボケて(bokete)」より

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