日本は2035年に崩壊!?~「実業」から「虚業」への結果
NHKラジオ第2で放送中の、カルチャーラジオ「科学と人間~地球と生命の46億年史」(東京工業大学地球生命研究所特命教授 丸山茂徳)(2016年4月~6月放送)(ここ)を聞いている。
宇宙や地球、そして生命の誕生、といったテーマで、なかなか興味深い話である。テキストを買おうかな・・・、でも難しそうだな・・と躊躇していたが、大分回が進んではいたが、先日、 テキストを買ってしまった。そして現在、前の放送を聞きながら“復習中”。
それが、第12回「21世紀の日本の課題」(2016/06/24放送)から、ガラッとテーマが変わった。第11回の「宇宙に生物はいるか」というテーマからは、激変。しかし、その指摘を聞いていると、なるほど、と納得・・・。
日本が「実業」から「虚業」に変わって行くなかで、組織90年の法則に則ると、2035年頃には日本という組織が崩壊するかも・・・という話。
<カルチャーラジオ「地球と生命の46億年史」(12)より>
「虚業」という言葉は知らなかった。
広辞苑によると「きょ‐ぎょう【虚業】(「実業」をもじった語) 堅実でない事業。実を伴わない事業。 ―か【虚業家】」とあった。
NHKのテキストからその部分をメモしてみる。
「実業と虚業
われわれの社会の未来を考える上で、実業と虚業、そして組織の崩壊ということを考える必要があります。実業とは人間が生きていく上で、必要な衣食住を生産し、さらにより豊かなものを生み出す職業のことです。日本は食料自給率40%の国家です。日本で自給自足の生活をしようとしたら、人口1億2000万人のうち、4800万人しか養うことができません。つまり、残りの7200万人分の食料を外国から輸入しなければならない宿命を背負っています。それにはお金が必要です。食料を購入し代金を支払うために、日本は車やコンピューターなど様々な製品を製造し、それらを輸出することによって収入を得ねばならないのです。そのような製品をつくり出す産業が実業であり、もちろん、人間の食料を生産・採集する農業、漁業や、それらをサポートする農林水産関連産業も重要な基盤産業です。
これに対して虚業とは、実業や基盤産業によって豊かになった国家における芸術やスポーツなどの職業をさすもので、物質的豊かさの上に精神的豊かさを充実させるための職業です。虚業ということばの中には、否定的なニュアンスがあるととらえる人もいますが、ここで表現したい本質的な意味合いは、人生に潤いを与える豊かさを目指すための職業であるということです。虚業は、古くからある収穫祭などに見ることができます。実業だけの社会で、毎日仕事をしていては疲れる一方なので、より豊かな人生を味わうためにこういった職業が発生してくるのです。しかし、国家が疲弊すると、そういった分野の職業は縮退せざるを得なくなります。人々は毎日の生活に精一杯にならざるを得ないからです。
このような原理から考えて、史上最大の豊かな時代を迎えた日本で、芸術や芸能、スポーツなどが繁栄することは当然の結果であるといえます。しかし、虚業の発展は、同時に実業の衰退化と表裏一体の関係にあります。かつてのローマ帝国が滅んだ原因は、外国の台頭ではなく国家の中で実業が衰退し、虚業が巨大化したことにあります。つまり、虚業は、社会の衣食住の基盤を支えることはできないのです。重要なことは、食料自給率40%の日本にとって、能力のある多くの若者が虚業を目指すことは、実業の衰退を加速し、国家が内部から崩壊していく状況を招きかねないということです。ローマ帝国をはじめとする過去の歴史に学ぶとすれば、マスコミによる行き過ぎた虚業の宣伝は、国家の衰退につながるということを理解する必要があります。
組織の本能 組織は90年で崩壊する
・・・江戸時代が終わると、旧来の農民保有地に私的所有権が認められました。その第1世代では、富農が零細な農家を吸収し、巨大な豪農が生まれます。豪農の主人は真面目に農業をすることによって巨大化しますが、そのことによって地域の中心的役割を担うようになります。その地域の選挙で選ばれる議員やあるいは国会議員へと選出されると、地域のみならず日本の中心的役割を演ずる必要が生まれます。そこでは、教養が必要とされ、豊かな知識なくしてその役割を全うできません。したがって、第2世代に教養をつけさせる必要を認識し、大学へ進学するという道が開けることになります。第2世代は、父親の苦労を間近に見て育つために、科学や芸術、スポーツを専攻することは少ないでしょう。すぐに社会に役に立つ実業家を目指し、会社員や会社経営者への道を歩むことになります。しかし、その子供である第3代目は、父親の苦労を知らずに育ちます。そのために、第3世代になると虚業を選択する子供が育ち、第1世代から引き継いだ農地を手放し、第2世代が創業した会社を崩壊させてしまうのです。各世代の持続期間が約30年とすれば、近似的には30年×3世代の約90年で財産はすべて失われることになります。
明治元年から数えて73年目(1941年)に、組織の内部崩壊によって、日本は太平洋戦争という無謀な戦争を選びました。そして、1945年の第2次世界大戦の敗戦というかたちで日本は廃墟と化しました。それが、日本がゼロから国家を再建する出発点となりました。戦後の復興は、第1世代の大活躍によって、田中角栄の時代をピークに再び黄金時代を迎えました。その背景には、日本は軍備を禁じられたという、非常に恵まれた環境にあったということも見逃してはならないでしょう。そしてその34年後、1979年にエズラ・ヴォーゲルが書いた『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の時期が日本国家史上最大の繁栄の時代でした。現代の日本は虚業が繁栄し、再び崩壊に向かう直前にあるといえるでしょう。組織の崩壊まで90年という法則を適用するなら、日本は2035年に崩壊するということになります。そしてそれは、第3世代の日本人が虚業の繁栄(実業の衰退)を担い国家の終わりを招くことを示唆しています。・・・・
マスコミの社会的責任
啓蒙活動の中心を担うマスコミの社会的責任を考えてみると、人間の歴史の中で、マスコミがこれだけの社会的重要性をもった時代はかつてなかったといえるでしょう。日本が近代化された明治以降に、日本の発展と崩壊を支配したのは、今日的視点から見れば、政治の迷走や軍部の暴走もさることながら、マスコミによって国民感情が煽られたことが主な原因であるといえます。現代でもますます加速度的に威力をもち、先ほど述べたような日本国民の内部崩壊、あるいは精神的崩壊の主要な原因もマスコミによる洗脳であるとさえいえます。つまり、虚業に憧れる世代をつくり出すことを助長しているからです。
ここで、改めてマスコミの社会的責任を考えてみましょう。人間は1人では生きられないという宿命の論理的展開の延長線上にそれぞれの職業の社会的責任があり、科学者や工学中心の技術者、そして実業家、政治家の社会責任が存在しなくてはなりません。その中でのマスコミの社会的責任とは一般的には権力の監視です。日本が無謀な太平洋戦争に突き進んだ元凶の1つは、マスコミの戦争賛美論であり、権力の監視と正反対の方向に進んだことは自明です。それを反省することなく、マスコミは虚業賛美論によって、若者を虚業に向かわせる最大の原因となっているのは疑いありません。・・・」(NHKカルチャーラジオ「地球と生命の46億年史」テキストp128~136より)
前にも何度か書いているが、自分はテレビのお笑い番組が大キライ。お笑い芸人さんが、詰まらないことで、手をたたいて大笑いしている姿は、とても見ていられない。それがどのチャンネルでも・・・なのである。それで、日本はこんなお手軽な番組で笑っていられる状態なのかと心配になる。
氏は、それが法則に則った進捗であり、そろそろ崩壊だという。
会社30年説というのは聞いたことがあるが、確かに1世代30年と考えると、90年でオシマイ、となることもうなづける。
氏は、日本の目指すべき方向として、食糧自給率100%、つまり明治初期の4000万人まで人口数を減らす。そして、戦争を無くし、軍備に費やす予算を最少にするために、「世界統一国家」が完成することだと言います。
そして、その啓蒙活動の中心を担うマスコミの社会的責任・・・・。
イギリスのEU離脱といい、次期米大統領候補のTPPの否定といい、結果として積み重ねてきた努力が泡のように消える時代に突入している。何でもそうだが、作ることは大変だが、壊すことはいとも簡単。
世界中が、良くない方向に進んでいる。我々はサッサとこの世からおさらばできるが、これから生まれる子どもたちの世代を考えると、うなってしまう。
上の放送を聞いて、考え込んでしまった。
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