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2016年2月12日 (金)

数字の威力

先日の朝日新聞の記事。
「(ザ・コラム)数字の威力 実相を見抜く眼力、必要 駒野剛
 冬晴れの瀬戸内海は穏やかだった。山口県周防大島の東端に近い松ケ鼻周辺から広島県呉市方向を望むと、旧海軍の連合艦隊の艦船が停泊した柱島泊地が見える。
 太平洋戦争で、海軍だけで42万とされる人命が失われ、754隻180万トンの艦艇が沈んだ悲劇が幻に思えてくる静けさだ。
 開戦に踏み切る判断で少なからぬ影響を与えた試算と数字がある。
 軍艦を航行させ、戦闘機を飛ばすため石油は不可欠だ。日本は石油輸入の約8割を米国に頼ってきた。しかし中国との戦争に深入りし、ナチスドイツなどとの軍事同盟を結んだ日本に米国は反発を強めていた。
 いずれ、石油が禁輸になるかも知れない。そんな情勢にあった1941(昭和16)年当時、国内に約6100万バレルの備蓄があるとする前提から試算は始まる。
 3年間戦争が続いた場合、総消費量は約1億700万バレル。対する3年間の供給能力は、備蓄に、秋田など国内油田からの生産分やソ連など中立国からの輸入で賄っても約400万バレル以上足りない。さらに日米主力で決戦があった場合、これに加えて300万バレル余り不足してしまう。
 しかし、人造石油の増産や、蘭印(らんいん)(オランダ領東インド、現インドネシア)石油の獲得量を増加できれば、不足分を賄えるとはじく。
 「海軍省の対英米強硬派、石川信吾大佐らが中心になってまとめた報告書の試算です。海軍首脳部に提出され、軍部の強硬路線を勢いづける役割を果たしました」と石油問題研究家の岩間敏さんは指摘する。
 蘭印石油を軍事力で得ようとすれば対米戦争を覚悟しなくてはならない。12月8日、海軍機が米ハワイの軍港、真珠湾を攻撃。次いで1カ月後、蘭印に襲いかかる。
 42年1月13日の朝日新聞朝刊の1面トップに「蘭印に敵前上陸」「敵海空基地奪取に起つ」の見出しが躍った。2日前、セレベス島(現インドネシア・スラウェシ島)の飛行場制圧のため、海軍特別陸戦隊の落下傘部隊が舞い降りたのだ。
 この地域での制空権を確保することに加え、蘭印の油田を押さえていくためだ。
 さらに2月14日。陸軍の第1挺進(ていしん)団の落下傘部隊が蘭印最大の油田地帯が広がるスマトラ島のパレンバンに降下し占領した。
         ◇
 石油を求めて戦いに踏み切ったくせに、輸送のためのシーレーン防衛はお粗末だった。
 42年から45年にかけて、南方では約1億2千万バレルの原油が生産されたが、日本に送られたのは約3千万バレル。それも43年をピークに、45年はほとんど輸送できなくなる。
 資源地域を押さえても、武器も民需製品も生産拠点は日本本土である。だが、日本軍はタンカーや輸送船の護衛を怠った。米潜水艦などの餌食となり、420隻のタンカーの7割を失う。専門の海上護衛総司令部の創設は、ようやく43年11月になってだった。既に戦う力も民力も疲弊していた。
 試算を実現できる意志も力も持たない、という己の実相に気付かぬまま、無謀な消耗戦に乗り出したとしか言いようがない。
         ◇
 数字は時として文字に勝るメッセージ力を持つ。だが、甘めに見通し、自分に都合よくシナリオを立てると、現実からとんだしっぺ返しを受けることもある。
 安倍晋三首相はアベノミクス「新3本の矢」で、2020年ごろに名目GDP(国内総生産)を600兆円、20年代半ばに出生率を1.8にするメッセージを出した。
 1億総活躍への首相の志は頼もしい限りだが、我々も実相を見抜く眼力が必要だ。
 600兆円の達成は3%成長が前提だし、現在1.4の出生率の引き上げには、子育て支援のお金が必要だろう。
 実際の成長率は一進一退を続けており、過去20年の実質成長率の平均は0.8%。名目も3%台は過去20年達成していない。
 一方、国民1人当たりの国債残高は累次の財政出動などの結果、1995年度の180万円から、2015年度は641万円と大幅に増え、16年度予算案でも664万円と、さらに拡大する見通しだ。
 安倍さんのことだ。過去の借金に関わりのない世代に、さらなる「宿命」を背負わせることなどお考えではあるまいが……。 (編集委員)」(
2016/01/14付「朝日新聞」p14より)

戦時の輸送船といえば、先日こんな記事もあった。
「「有事に船員活用」反発 防衛省計画、海員組合「事実上の徴用」
 防衛省が、民間の船員を予備自衛官として有事に活用する計画を進めている。志願は強制しないとしているが、船員の組合は「会社に言われたら拒否できず、事実上の徴用だ」と反発。第2次世界大戦では多くの民間船が国に徴用され、船員約6万人が犠牲になった。その悲劇が繰り返されかねないと危機感を抱く。

 ■防衛省「強制しない」
 尖閣諸島をめぐる日中間の緊張の高まりから、防衛省は2013年末、尖閣など南西諸島の有事の際、ミサイルや戦車などの部隊を本土から移動させる計画を作成。だが、海上自衛隊が保有する大型の輸送艦は3隻しかないため、有事には民間船を借り上げ、海自が運航する契約を今月中にも結ぶ予定だ。
 大型民間船を運航するには、船舶職員法に基づく「海技士」の資格を持つ船員が必要で、防衛省の想定では1隻あたり21人。だが、この資格を持つ元海上自衛官の予備自衛官は約10人にとどまる。そこで防衛省は、民間の船員も10日間の訓練で海自の予備自衛官になれる制度を16年度から始めることにし、訓練費を16年度予算案に盛り込んだ。
 これに対し、全国の船員約2万5千人でつくる全日本海員組合は「船員の声を全く無視した施策が進められてきた」などとする反対声明を1月29日に発表。田中伸一組合長代行は「私たちは戦地に行くために船員になったわけではない。形式的に船員を予備自衛官にしても、民間人が戦争に巻き込まれることに変わりはない」と憤る。「船員はチームプレーの仕事。会社から『予備自衛官になるか』と言われたら、1人だけ拒否するのは難しい」
 組合が反発を強めるのは、第2次世界大戦時の苦い経験があるためだ。国家総動員法などに基づき多くの民間船が国に徴用され、十分な護衛もないまま1万5千隻余が撃沈されたという。公益財団法人「日本殉職船員顕彰会」によると、船員の犠牲は6万609人で死亡率は43%。陸軍の20%、海軍の16%を上回る。
 組合は1月中旬、防衛省や自民党に計画への反対を申し入れた。防衛省は「予備自衛官を目指すかは、あくまで本人次第で強制はしない。運航会社にも希望を尊重するよう求めている」と説明する。一方、田中組合長代行は「輸送力不足は防衛省が自身で解決すべきだ」と話す。
 防衛省は14年から民間大型フェリー2隻との間で、災害時や訓練に優先的に自衛隊が船を使う契約を結んでいる。新たな契約対象もこの2隻を想定。2隻の運航会社は予備自衛官について「本人の意思を尊重し、会社から求めることはない」(津軽海峡フェリー)、「(予備自衛官にならせることは)一切考えていない」(新日本海フェリー)としている。(工藤隆治、福井悠介)

 ■<考論>本人の志願が前提
 元陸上幕僚長の冨澤暉(ひかる)・東洋学園大学名誉教授の話
 民間人の予備自衛官としては、日米共同訓練での通訳や東日本大震災での医師、看護師の活躍が知られている。船員の中にも「能力を社会のために使いたい」と予備自衛官になることに同意する人もいるだろう。自衛官は予備も含めて、本人の志願が前提だ。防衛省もやりたくない人に強制することはありえないのではないか。
 ■<考論>一人だけ拒否、困難
 労働問題に詳しい高木太郎弁護士の話
 会社は労働者に職務上の命令を出せるが、特段の危険が生じる場合は個別に同意を取る必要がある。ただ、周りの船員が予備自衛官に志願するなら、自分だけ拒否するのは難しい。そこで事実上の強制力が働く。海員組合が反対するのは当然。会社の求めに反して志願をしなかった人が、昇給がないなどの不利益な扱いを受ける恐れもある。
 ◆キーワード
 <予備自衛官> 有事や大規模災害時に招集され、自衛官として自衛隊の活動の後方支援や基地警備などをする。元自衛官を中心に約3万2千人おり、年5日の訓練がある。2001年の自衛隊法改正で元自衛官でなくても、訓練を受ければ予備自衛官になれる制度が設けられ、陸上自衛隊だけが導入した。訓練を受ける段階で「予備自衛官補」になり、訓練後に予備自衛官となる。」(
2016/02/09付「朝日新聞」p31より)

怖ろしい・・・。現在の日本で、戦争への準備が着々と進められている。

日経平均が暴落しているという。今日は15,000円を割り込んだ。円も112円・・・。
政権のこれらの暴走を止められるのは、株価しかない。と思うようになってきた。
なぜか、株の暴落が嬉しい。ま、自分が株をひとつも持っていないことこともあるが、日銀もNHKも、安倍政権の送り込んだトップ。
それらに早く交代して貰うには、“失政という実績”しかない。
人のレベルで止められないのであれば、天の意志で?株価が安倍政権に鉄槌を下してくれることでも祈るしかないか・・・。

160312kotatu <付録>「ボケて(bokete)」より

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