「成年後見人に監督人つけよとは・・・」
先日の朝日新聞の「声」の意見に目が止まった。
「(声)成年後見人に監督人つけよとは
農業 男性(神奈川県 60)
知的障害者である妹の成年後見人をしている。家庭裁判所の選任を受け、年に1回、報告書を提出してチェックを受けている。ところが、親族後見人による財産着服などの事件が発生していることを受け、家裁から「未然防止」のためとして、次の諸制度の選択利用を促す連絡が来た。
一つは被後見人の財産を信託銀行などに信託すること。もう一つは後見人に「監督人」を付けるというもの。一つ目は、後見人が容易に手を付けられないところに資産を移せば、不正防止になるという考えだ。二つ目は、本来家裁が後見人を監督しなければいけないのを弁護士らに下請けに出そうという発想と思われる。
二つ目の方法では、被後見人の財産から「監督料」を監督人に支払う。月に1万~2万円としたら、10年、20年と継続すると数百万円の目減りとなる。家族が財産を減らさぬよう苦慮しているのに、逆なでする制度である。
確かに家裁も、利用者増でチェックはたいへんだろうと推測する。不正も起きているので苦肉の策として考えられた制度だろうが、どうも安易過ぎるのではないか。家族として憤りさえ覚える。」(2015/10/22付「朝日新聞」「声」p16より)
知的障害者だけでなく、認知症の家族を抱えている人などは、同様な事態に直面する。
本人に判断能力が無い場合、家族などが成人後見人を受けるが、それには家裁からの許可が必要。そして、家裁への報告書は、結構大変だという・・・。
話は飛ぶが、前に実家の土地を処分した(ここ)。
その時に経験したことが頭に浮かんだ。実家の道路側が、細く第三者の名義になっていた。調べると、名義人はとっくに亡くなっており、その名義人の息子さんは認知症で入院中だった。その人の息子(孫)が見付かったが、この土地の処置が大変。
例えうまく、祖父の名義を入院中の息子に移せたとしても、認知症なので、処分出来ない。孫が後見人になって、やっと事態は動くが、それは大変な作業になるので無理強いできない・・・。つまりは、その土地の名義は祖父のまま、塩漬けとなる・・・。
土地の名義変更が最大の難関だが、とにかく、判断が出来なくなった人の財産の扱いは大変・・・
その人のために、例えば老人ホームに入れさせてあげようとしても、自分で持っている財産すら使えないことになる。
誰かが、相当な犠牲を払ってやる覚悟が無ければ前に進まない。
確かに、後見人になった家族は、「どうせ亡くなったら自分のモノになる」と、管理がいい加減になるケースも多いと聞く。
しかし、1ヶ月に数万円の管理費用を払って司法書士さんに頼むのも、費用が大変。
思うに、結局は「牽制機能」が必要なのであって、一人で管理するから問題となる。後見人を家族の2人にすれば解決できるのではないか?
例えば、親が認知症になったら、家族2人が後見人になる。正と副でも良い。そして、財産の処分も、二人が認めなければ動かせない仕組みにすれば、勝手な処分も無くなるのでは??
ん?二人が共謀したら??・・・ やはりダメかな??
ともあれ、善意で行う後見人も「そんなに大変ならヤ~メタ!」・・となり、益々それを必要としている人から離れて行ってしまう仕組みになることを懸念する。
再発防止のために四角四面の制度にして、肝心の救うべき本人をないがしろにしてしまう制度だけは、止めたいものである。
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コメント
脳梗塞が原因で半身麻痺になった友人のケアマネージャーが男性なので、話が噛みあわなくて困っています。女性に変えて貰いたいと言っても役所では代えられないの一点張りだそうです。
また、夫が亡くなった友人の知的障害の息子に後見人を付けなさいと言われたそうですが、弁護士を付けると1年間に弁護士に払うお金が40万だと言われたそうです。資格はペーパーテストで取れますが、相手を思いやる心がない人にあたると不幸が倍増されてしまいます。形だけの福祉行政が障碍者やその家族をかえって不幸に落としいれかねません。法律を作る前にもっと障碍者の実態を知って貰いたいものです。遺族年金で細々暮らしている未亡人に40万円をどうやって工面しろというのでしょうか。どこか狂っているこの国の福祉です。
【エムズの片割れより】
国は、たぶん「オレの試験を合格した者なので、全面的に信頼出来る」と言いたいのでしょう。しかし、弁護士、司法書士の横領事件が後を絶たない現実も・・・
まさに「心が伴っていない」施策ですよね。日本の役人なんて、まあそんなレベルなのでしょう。
投稿: 白萩 | 2015年11月 1日 (日) 21:26