「獄中メモは問う~作文教育はなぜ罪にされたのか」~佐竹直子さんのインタビュー
1ヶ月ほど前、夜中にふと目が覚めて寝付けなかったので、ラジオを点けたら、前に聞いたことがある番組が放送されていた。
NHKラジオ深夜便「生き方"わたし"流「『獄中メモ』は問う 作文教育はなぜ罪にされたのか」佐竹直子さん(記者・ノンフィクション作家)」(2015/07/15放送、2015/09/23再放送)だった。
解説によると、7月に放送された後、日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞したこともあっての再放送だった。
自分は二度目で内容はだいたい知っていたが、改めて衝撃を受けた。
そして、今の時代だからこそ、この事件を風化させてはならないと思った。
この番組について、NHKのサイトにはこうある。
「ラジオ深夜便 2015年7月15日(水)午前1時台(14日(火)深夜)
生き方"わたし"流「『獄中メモ』は問う 作文教育はなぜ罪にされたのか」
佐竹直子さん(記者・ノンフィクション作家)
戦時下、子どもたちの心を育てたいと作文指導に励んだ北海道の青年教師が、治安維持法違反容疑で次々に逮捕されました。新聞記者でノンフィクション作家の佐竹直子さんは、この「北海道綴方教育連盟事件」で逮捕された教師による"獄中メモ"を発見し、メモから伝わる気迫に圧倒され、遺族や関係者に取材を重ね一冊の本にまとめ上げました。
佐竹さんに、取材を通じて見えてきたものなどについてお話を伺います。」(NHKの(ここ)より)
その一部分を聞いてみよう。
<生き方わたし流「『獄中メモ』は問う」~佐竹直子さん>
そして出版元である北海道新聞の解説は、
「1940(昭和15)年、綴方指導に熱心な北海道の教員が、治安維持法違反容疑で大勢逮捕された「北海道綴方教育連盟事件」。当事者が残した「獄中メモ」をきっかけに、遺族・関係者の取材を重ね、思想弾圧の実像に迫ったルポ。三浦綾子「銃口」のモチーフとなった事件で何が行われたのか、埋もれた歴史の真実を洗い出す。」(ここより)
そして、Netで、日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞した時の2015年8月18日付「朝日新聞」の記事が見つかったので、これも読んでみよう。
「(ひと)戦前の教員逮捕事件を現代に問う 佐竹直子さん(49)
戦前から戦中にかけ、貧困などを作文に率直に書かせたことが「階級意識の醸成」にあたるとして、多くの教員が治安維持法違反容疑で逮捕された。最大規模だったのが「北海道綴方教育連盟事件」。50人以上が巻き込まれた。
その全体像を克明に追った「獄中メモは問う/作文教育が罪にされた時代」を出版し、今月15日、日本ジャーナリスト会議のJCJ賞を受けた。授賞理由は「教育への国家介入が強まる現代との相似性からも高く評価できる力作」。 北海道新聞の子会社に勤め、夕刊釧路根室版の特集記事を担当している。2年前、「終戦日」企画を取材中、札幌で、薄い紙16枚の両面を小さな字がびっしりと埋め尽くしたメモに出あった。警察による暴力的な取り調べの様子が書かれていた。「命がけの記録だ」と直感。3ヵ月かけて解読し、筆者を割り出した。自分の住む釧路市内の刑務所で書かれていた。
遺族ら約80人を全国に訪ね歩き、資料をロッカーニつ分集めた。貧しさを記した子どもの作文を読んでは泣き、夫を連行された妻の日記を読んでは泣いた。1年半ほとんど休まず本を書き上げた。「泣き虫直子の根性本です」
戦前への関心が高まるなか、全国を講演して歩く。「この本の内容は亡くなった先生たちから託されたもの。全国の人に、読んで何が起きたかを知ってもらいたい」 文・写真林美子」(ここより)
自分もオリジナルの本を読んでみたくなり、早速Amazonで買ってしまった。(その割に読む のが遅かったが・・・)
もはや、自分の解説や感想など不要である。
1940年に起こったこの事件。それから75年後の現代。状況があまりに似ているようで怖ろしい。
佐竹さんは言う。
「知ることから、過ちを繰り返さないことが始まる。だからこそ、一人でも多くの方に、こんな作文教育が罪にされた時代があったことを伝えたい。」
この放送を聞き、そして出来ればこの本を読んで、同じことを繰り返さないため、今我々は何を為さなければいけないのかを、再度考えてみたい。
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コメント
友人が、このブログを偶然見つけて、私に紹介してくれました。この夏、佐竹さんを、山形の東根にお招きして、研究会を持ちました。北海道綴方教育連盟の主役、坂本亮さんと山形出身の国分一太郎さんとの繋がりを、佐竹さんに丁寧に講演していただきました。国分は北海道綴方教育連盟の結成大会に招かれて山形から出かけています。生活綴方の弾圧は、山形の村山俊太郞と国分一太郎の逮捕が最初でした。その繋がりから、北海道もやられたと言うことが推察されます。NHKラジオ深夜便を、全部聞けて感激しています。仲間にも、拡散して紹介しております。佐竹さんにも、メールしました。
【エムズの片割れより】
ありがとうございます。
この事件は、“過去の話”で済まされる話ではありません。
現在の日本も、いや世界各国が、これと同じ流れに向かおうとしているようで、怖いです。
そのためには、「忘れない!」「風化させない!」ことが重要ですよね。
その意味で、この佐竹さんのお話は、いつでも誰でも聞けるようにしたいと思いました。
(“どうしん”は、以前勤めていた会社の同僚が、編集システムをどうしんに納入しており、自分も行ったことがあります。懐かしい・・・)
投稿: 榎本豊 | 2015年12月 1日 (火) 09:53