原田芳雄のラジオドラマ「優しさごっこ」
秋の夜長に、こんなドラマは如何??
NHK FMで2015/09/23に放送された「今日は一日ラジオドラマ三昧」(ここ)を聞いた。
今までのFM放送の「三昧」は音楽だけだったが、今回は珍しくラジオドラマを取り上げていた。
その中で、こんなドラマを紹介しよう。1979年にFMで放送されたという原田芳雄主演のラジオドラマ「優しさごっこ」である
NHKのサイトには、このような解説がある。
「『優しさごっこ』[45分]ステレオ
原作:今江祥智 脚色:川崎洋 音楽:林 光
演出:斎明寺以玖子 出演:原田芳雄、服部ひろ恵、左 時枝、松山照夫、桜田千枝子、林 光(弾き歌いナレーター)
「優しさごっこ」原作 今年3月に急逝した児童文学の作家、今江祥智の代表作のひとつで、NHKではこのラジオ版の翌年に『銀河テレビ小説』の枠内でテレビドラマ化もされている。
原作は今江の実体験を基に書かれたフィクションだが、父娘関係や登場人物の配置には現実とリンクする面もあったという。
前述のテレビ版は、原作とは違った解釈がなされているが、このラジオ版は、脚色を手掛けた詩人の川崎洋のアイディアにより、音楽担当の作曲家である林 光が「弾き歌いナレーター」という役柄を担ったことで、その雰囲気を壊すことなく、内容豊富な原作を見事に45分の枠内で構成した。ちなみに川崎洋は、オリジナル・脚色を含めラジオドラマの脚本を多く手掛け、NHKだけでも80作以上執筆しており、脚色には定評がある。
音楽を担当した林 光は、実娘が原作を愛読していたこともあって、彼自身、お気に入りの作品だったようだ。林は、自著『林 光の音楽』のなかで、(劇中に挿入される)「11曲の歌の詞は、ほとんどが京都ことば、ないしは京都アクセントで書かれている。役者さんたちの方言指導についていた方にテープに吹き込んでもらって、それを聞いては一くさり曲をつけ、巻き戻して聞きなおしては消しゴムで消し、ふだんの10倍時間をかけてやっとできあがったのでした」と述懐している。
演出を手掛けた斎明寺以玖子によれば、主演の原田芳雄が普段見せる柔らかで優しい面に期待をして出演依頼をしたそうで、それを受けた原田も、いつもと異なる役柄を気に入って演じたという。娘のあかり役は、当時モデル事務所に所属し、ポテトチップスのコマーシャルなどに出演していた服部ひろ恵。幼いながらも感情の機微を見事に演じており、それが本作の聴き所のひとつでもある。
余談だが、今江が原作を執筆していた当時、今江家に出入りしていた作家の灰谷健次郎は、あかりのモデルとなった今江の娘・冬子(その後〈自由劇場〉の舞台女優として活躍)に触発され、のちに『太陽の子』を執筆。同作が後年NHKでドラマ化された際に主人公の「ふうちゃん」役を演じて話題になったのが、当時12才の長谷川真弓(当『ラジオドラマ三昧』のパーソナリティ)だった。(初放送:FM「ラジオ劇場」1979年8月4日(土)21:15より放送)」(ここより)
<ラジオドラマ「優しさごっこ」より>
まさに重鎮の原田芳雄が、優しいお父さんである。
小学校3年の女の子と、大学の先生で画家でもあるお父さんが二人で暮らしている。本当は、悲しに打ちひしがれた生活だが、それを振り払っての明るい日常。
父娘の篤い信頼関係が描かれる。そしてそれは新たな展開に・・・
このドラマで面白いのは、彼の作曲家・林光さんが「弾き歌いナレーター」というものをしている。何と林光氏が、自分でピアノを引きながら、ナレーターをしているのである。初めて聞いた・・・。
この心温まるドラマは、上のZIPファイルを叩いて聞いて頂くとして、ナレーターの最後のセリフが気になった。
「世間には、両親が分かれたために不幸な子どもがたくさんいる。けれど、両親が分かれないために、不幸な子どもも同じだけいるのだ。」
原田芳雄のドラマと言えば、「火の魚」を思い出す。2009年の尾野真千子と共演したこのテレビドラマは、文化庁芸術祭・大賞(テレビ部門・ドラマの部)など数々の賞を受賞した。
この作品では、島に移住した老作家を演じていたが、何かこの渋さに惹かれる。
しかし、原田芳雄は2011年に71歳で他界したという。
まだまだ若かった39歳の時に演じたこの「優しさごっご」は、「そう!そんなストーリーがあっても良い」と応援したくなったドラマであった。
「ごっご」が真の「優しさ」になる事を祈って・・・
●メモ:カウント~790万
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