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2015年10月 5日 (月)

NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」

毎年楽しみにしているBSプレミアムの「ザ・ベストテレビ2015」。今年は秀作が多い。どの番組も心を打つ。録画した番組をゆっくりと見ているが、NHKが制作したドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」(ここ)が、またすごい。

この番組は2014年8月16日に放送されたようだ。まったく知らなかった。
番組制作スタッフのblog(ここ)が、番組の内容を伝えている。
『君が僕の息子について教えてくれたこと』
  <総合 2014/8/16(土) 午後 11:00~11:59 >
いま、日本の無名の若者が書いた1冊の本が、世界20カ国以上で翻訳され、ベストセラーになっています。タイトルは「The Reason I Jump」(日本題:「自閉症の僕が跳びはねる理151005jihei 由」)。著者は、執筆当時13歳だった東田直樹さん。この本は、自閉症である東田さんが、自分の心の内をつづったエッセイです。
自閉症者自らが語る画期的な本ですが、日本で7年前に出版された時はほとんど話題になりませんでした。それがなぜいまになって、イギリスやアメリカでベストセラーとなったのでしょうか?
それには、アイルランド在住の作家デイヴィッド・ミッチェル氏による英訳が大きな働きをしています。
自身も自閉症の息子がいるミッチェル氏は、東田さんの本を読んだ時、息子が自分に語りかけているように感じたといいます。なぜ床に頭を打ちつけるのか、なぜ奇声を発するのか・・・。息子の気持ちがわからず、コミュニケーションをあきらめていたミッチェル氏は、この本を読んで希望の灯を感じることができました。そしてミッチェル氏の訳により、この本は、同じように自閉症の子どもを持つ、世界中の多くの家族を救っているのです。
この春、ミッチェル氏は来日し、東田さんと感動の対面をはたしました。
日本の若者と外国人作家の出会いから生まれた、希望の物語をお届けします。」(
NHKの(ここ)より)

自閉症は、どの位の数の人がいるのだろう?
「少し前の医学書には、自閉症はとても珍しい障害で1万人に5人くらいしかいない、と書いてありました。ところが最近の医学的調査の結果、自閉症はもっとずっと多い障害であることがわかってきました。今では、自閉症は典型的な子どもの数だけ数えても1000人に2~6人、典型的でない軽症のタイプの子どもまで合わせると100人に1人くらいはいると考えられています。」(ここより)

番組の中でも語られていたが、非常に多い障がいらしい。子どもを産み、育てていく過程で、我が子が自閉症だと診断されたときの親の衝撃。そして我が子をどう扱って良いか分からない悩み・・・
その親への、自閉症児からのメッセージ(心の叫び)がこの本である。

自閉症児は、外部とのコミュニケーションがうまく取れないため、親は子どもが何を考えているか分からない。だから悩む。
しかし、この本を書いた東田直樹さんは、自分の内面、考えていることを文章にする事が出来た。それで、何と13歳のときに、この本を書いたのだという。
映画「レインマン」でも描かれたように、脳の一部に障害があると、それをカバーするために、別の機能が特別に発達することがあるようで、東田さんの場合は、文字に対する能力だったらしい。
彼もまた、言葉での会話は不自由。紙に書いたパソコンのキーボードの配列表を指で叩きながら、ひと言ひとこと言葉を発する。発する言葉は不自由でも、パソコンで叩く文章は人並みを外れている。将来は作家を目指すという。

ほとんど世界で唯一、自閉症者が自分の心の内を文章化した。これは貴重な情報。だから世界中の自閉症児を持つ親がそれを読み、我が子が何を思っているかを知る。

番組で、ノルウェーの出版編集者が「ノルウェーでは記録的な売れ行きです。ここでは村上春樹、三島由紀夫、そしてヒガシダですよ」と言っていたが、売らんが為の村上春樹、三島由紀夫などの本とは全く別。読者は、この本に助けを求め、そしてこの本を仲介者に、我が子の心の内を知る。
だから「君が僕の息子について教えてくれたこと」という題に納得する。
真に心を打つ番組であった。

★なおこの番組は、Youtubeで見ることが出来るようだ。
NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」
(1/3)は(ここ)、(2/3)は(ここ)、(3/3)は(ここ)。

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コメント

ユーチューブで見てきましたがとても感動いたしました。素晴らしい情報を有難うございます。それにしてもミッチェル氏が日本語を理解してた事とご自分にも自閉症の息子さんがいらっしゃると言うこの偶然さ、そのことが東田君の本を世界中に広め大きな反響となるきっかけになるとは。人と人の不思議な結びつき、まさに事実は小説よりも奇なりですね。この本は何方かもNHKのサイトに書かれていましたが本当にロゼッタストーンのようなものですね。

【エムズの片割れより】
まったくその通りですね。
自閉症者の唯一ぽっかりと開いた、小さな窓が、東田さんの指先から紡ぎ出される言葉・・・

投稿: 名前?忘れた | 2015年10月 7日 (水) 02:53

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