「緩和ケア・終末期医療の質 日本、14位」~死ぬならガン?
先日の日経新聞のこんな記事が気になった。
「緩和ケア・終末期医療の質 日本、14位に上昇 がん対策 見直し評価
英誌「エコノミスト」の調査機関は19日までに、緩和ケアや終末期医療の質や普及状況に基づく80カ国・地域の「死の質」ランキングを発表した。日本は14位で、政府のがん対策見直しなどが評価され、前回2010年の23位から上昇した。1位は前回に続いて英国。最下位はイラクだった。
ロンドンを拠点とする「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が、各国のデータや専門家への聞き取りに基づき、ケアの質、医療・介護職の豊富さ、患者の費用負担など5つの領域について数値化した。
日本は12年度から5年間のがん対策推進基本計画で、精神的な苦痛を含めた早期からの緩和ケアが盛り込まれた点がプラス要因となった。5領域では、緩和ケアに対する国民の意識やボランティアの参加を測った「コミュニティーの関与度」で5位と順位が高かった。
一方で、緩和ケアの主な対象ががん患者で、他の病気では不十分なことや、痛み止めのモルヒネの使用が世界の中でも少ないことがマイナス要因として挙げられた。
総合順位で2位はオーストラリア、3位はニュージーランド。アジアでは台湾が6位、韓国18位、中国71位などだった。」(2015/10/19付「日経新聞」P12より)
もっと詳しい記事がないかと探したら、こんな記事が見つかった。
「「死の質(QOD)」、1位は英国 エコノミスト誌
死を迎える人への「ケアの質」において、英国が80か国中でトップであることが、6日に公開された調査結果で明らかになった。高齢化と人口増加が進む現代において、緩和ケアは世界的な急務となっている。
英経済誌「エコノミスト(Economist)」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economist Intelligence Unit、EIU)」が発表した2015年版の「クオリティー・オブ・デス(QOD、死の質)」指標によると、英国での緩和ケアが最も優良であることが分かった。
英国が1位となった理由についてEIUは「総合的な国家政策、英国民保健サービス(National Health Service、NHS)への緩和ケアの積極的な組み込み、強いホスピス運動、この課題に対する地域社会の関与」 を挙げている。
ランキングでは、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、ベルギー、台湾が英国に続いた。最も低い評価を受けた5国は、ミャンマー、ナイジェリア、フィリピン、バングラデシュ、イラクだった。
71位の中国は、進行する高齢化と心血管疾患などの罹患率増加による影響を最も受けやすい国とされた。
日本は76.3点で14位だった。
ランキングは以下のとおり。
<上位15か国(100点満点中の点数)>
1位 英国(93.9)
2位 オーストラリア (91.6)
3位 ニュージーランド (87.6)
4位 アイルランド (85.8)
5位 ベルギー (84.5)
6位 台湾 (83.1)
7位 ドイツ (82.0)
8位 オランダ (80.9)
9位 米国 (80.8)
10位 フランス (79.4)
11位 カナダ(77.8)
12位 シンガポール(77.6)
13位 ノルウェイ(74.4)
14位 日本(76.3)
15位 スイス(76.1)
<最下位5か国>
76位 ミャンマー (17.1)
77位 ナイジェリア (16.9)
78位 フィリピン (15.3)
79位 バングラデシュ (14.1)
80位 イラク (12.5)
(c)AFP」(2015年10月07日 発信地:ロンドン/英国(ここ)より)
オリジナルのレポートのPDFは(ここ)
このランキングを見ると、この手の調査では、いつも高位の常連の北欧が不在なのが気になる。それに引き替え、豪州や西欧が高位だ。
理由は、上記のオリジナルを読んで頂くしかない。(ん?自分?・・・語学トラウマの自分がオリジナルを読む事はな~い!!)
話は飛ぶが、先日、ある会食で、75歳になる元上司が「死ぬなら絶対にガンだ!」と言っていた。もちろん、自分の死因を自分が選べる訳ではないが、「ガンは痛いのでは??」と思っていたら、こんな記事を見付けた。
「死の間際までやりたいことを 中川恵一
女優の川島なお美さんが亡くなったのは肝内胆管がんが原因でした。胆管は「胆汁」という一種の消化液を、腸に運ぶための管です。細い胆管が集まって総胆管となり、すい臓を経由して十二指腸につながっています。胆汁は肝臓にある肝細胞で作られ、食べた物の消化を助けています。
胆汁によって便に色がつきますので、がんが進行して胆管が詰まると、便が白くなります。胆汁のビリルビンという成分が血液中に流れ込んで黄疸(おうだん)が出ます。
肝臓の内部にある細い胆管から発生するがんが肝内胆管がんです。肝臓内にできるがんという点では、肝臓がんの一つといえますが、肝臓がんのほとんどは肝細胞からできる肝細胞がんです。肝内胆管がんは肝臓がんの5%以下にとどまっています。
肝細胞がんはB型、C型の肝炎ウイルスが原因の8割近くを占めています。一方、肝内胆管がんの発生要因はよく分かっていませんが、飲酒と関連があるという報告もあり、川島さんの場合、好んでいたワインが発症リスクを高めた可能性もあります。
胆管がんは早期発見が難しく、リンパ節や周囲の臓器に転移しやすい難治性です。手術ができない例が多いほか、放射線も抗がん剤も効きにくいといわれています。
川島さんは亡くなる半月前に夫婦でイベントに出席し、1週間前まで舞台に立っていました。このため「急死」という報道もありましたが、がんは症状を取り除く緩和ケアを適切に実施すれば、亡くなる直前まで普通に近い生活を送れるケースが多いのです。
俳優でタレントの愛川欽也さんもテレビ番組「出没!アド街ック天国」の司会者として長年出演し、今年3月に通算1千回目の放送を最後に降板、その翌月に肺がんで亡くなっています。
心臓病や肺障害などの内臓疾患、認知症や老衰など多くの病気では、同じようなペースでゆっくりと体の機能が低下していきます。しかし、がんはかなり進行するまで症状はほとんどなく、亡くなる直前に急激に痩せて、体調が悪化することが一般的です。
逆にいえば、亡くなる直前まで、自分のやりたいことができる可能性があるということです。私が死ぬならがんで、と思っている理由です。(東京大学病院准教授)」(2015/10/22付「日経新聞」夕刊p9より)
こんな記事を読むと、ガンも良いかな・・・と思ってしまう。
まあ、遊びながら瞬間的に死ねる心筋梗塞や脳溢血の理想には及ばないが、自分の死の準備をちゃんとしたい人にはガンが理想なのかも知れない。
でも、まだまだ先にして欲しい。
“次の世代”がキチンと育って行くのを見てから・・・!!
●メモ:カウント~800万
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