山口百恵のハイレゾ音源が素晴らしい
このところ、ハイレゾ音源に凝っている。
先日、清水の舞台から飛び降りた心境で、高価な6800円の山口百恵のハイレゾ集『ゴールデン☆アイドル 山口百恵』(96kHz/24bit FLAC)を買ってみた。CDとそんなに変わらないだろうと思いつつ・・・。
まず大好きな「曼珠沙華」を再生してみてビックリ。意外や、素晴らしい音質なのである。冒頭のギターの何と生々しいことか・・・。心に響く! 続いて聞いた「謝肉祭」も同様・・・
今までのCDが、ステレオ装置で聞く室内オーケストラとすると、この山口百恵のハイレゾ音源は、コンサートホールでフルオーケストラを聴いている感じ・・・と言っては言い過ぎか!?
実は自分は、あまりハイレゾ音源は評価していなかった。最初に買ったのが、「運命」の定番、クライバー/ウィーンフィルのWAVのハイレゾ音源。これが自分の駄耳では、CDとの区別が付かなかった。ナーンダ・・・、と第一印象が悪い。続いて買ったカラヤンなどのクラシックのハイレゾのデモ盤も、それほど感激がない。「繰り返して聞こう」と言う気が起こらないのである。
そして、満を持して買った待望の布施明の5.6MHz、DSDですら、最高の音を出すはずが、何とも期待外れ・・・。確かに原理的に音は良いのだろうが、心に響かない。感激がない。
よって、「何だ!ハイレゾ音源もたいしたことはないな・・・」と思い込んでいた。
それがひょんな事で先日、山口百恵のFLAC 96K 24bitのハイレゾ音源を買ったところ、これが素晴らしいのである。CDとの比較は必要ない。心に響くかどうかだけだ。
つられて、他の曲も色々と買ってしまった。どれもFLACだが、山口百恵ほどではないとしても、どれも生々しい音・・・
なぜDSDの布施明が響かないのか? なぜこの山口百恵(だけ?)がすごいのか?これが疑問・・・
レコード会社の、KINGとSONYの違いか? いや、歌謡曲のレコード録音など、同じだろう。そもそも録音スタジオの機器など、そんなに違うはずはない。
レコード会社のハイレゾ化の時の処理? それも、そんなに違いがあるとは思えない。
後から買った倍賞千恵子も、確かに良いが、山口百恵ほど感激しない。
音源の分析は、周波数特性くらいしか自分には出来ない。最初の109秒の分析をしてみた。それがこれ・・・
<山口百恵「曼珠沙華」>
(ハイレゾ音源)(同CD音源)
(それぞれmp3にダウンコンバートして、音量を92dBに調整)
(ハイレゾ音源)(同CD音源)~明らかにCDの高域が高い。
<倍賞千恵子「忘れな草をあなたに」>
(ハイレゾ音源)(同CD音源)
原理的に、20KHz以下は同じ特性(波形)で、ハイレゾだけ20K以上の成分が多い、という認識だったが、どうもこのグラフをみるとそうではない。横の時間軸を合わせて比べてみても、かなり波形が違う・・・。つまり周波数毎のバランスが違う。
mp3にダウンコンバートして同じ条件でmp3帯域だけを比較してみても、画面を切り替えてみると一目瞭然。CD音源の高域が高いことが分かる。
オリジナルのアナログマスターテープを単にデジタル化しているだけとしたら、同じはずだが、これらFLACの音源が、レコード会社で色々と処理をした結果だとすると、布施明のDSDはむしろマスターと同じ? だからCDと同じように聞こえてしまう?? クラシックも、何もしていないので、CDと同じに聞こえてしまう??
良く分からない・・・
ことによると、自分の再生機のSONYのHAP-Z1ESとの相乗効果??? DSDは何もしていないが、FLACは HAP-Z1ESで色々やっている・・・。そのために、自分の耳には心地よく聞こえる??
改めてHAP-Z1ESのサイトを見てしまった。5.6MHz、DSDとFLACとの処理の違いは何か? 5.6MHz、DSDはスルーでアナログフィルターに行くのに対して、PCM系は、「DSDリマスタリングエンジン」と「DSEE(デジタル・サウンド・エンハンスメント・エンジン)」を通っている。
これかな??
自分が聞いている環境は、HAP-Z1ES ⇒ (アンプ)STAX SRM-007tA ⇒(ヘッドホン)同SR-009 という単純システム。自分の「良い音」の定義は「大音量でもうるさくない音」。ボリュームを上げると、ハイレゾ、CD、MP3の違いはハッキリ。MP3などは直ぐにうるさく感じられるが、ハイレゾはさすがに、大音量でもうるさくない(耳にとげとげしく刺さらない)。
とにかく、結果として、布施明のDSD音源よりも、FLACの山口百恵のハイレゾ音源の方が、自分にとっては、感動があった。
お金があれば、布施明のFLACを買ってDSDと比較すれば良いのだが、二重投資をする勇気もない。
ともあれ、この山口百恵で、すっかりハイレゾ音源の虜になってしまった。同じSONYなので、五輪真弓も買ってみようか? キングレコードよりも、自分にとって相性がよいのかも・・・
結局は、アナログテープからハイレゾ音源に変換する時の、マスタリングの妙なのかも知れないが、それがこれほどの効果を上げるとは・・・。山口百恵のハイレゾ化は、誰のマスタリングなのだろう・・・
自分の趣味は歌謡曲を良い音で聞くこと。幸いなことに、良く聞いた1970年代の歌は、全てがアナログマスターの時代。CD規格(44k、16bit)のマスターの音源には期待していない。44Kのハイレゾ化音源は買うつもりはない。しかし、この山口百恵の音源のように、アナログマスターからの色々な歌手のハイレゾ音源の発売は期待される。
森昌子、クールファイブ、小柳ルミ子、ブルーコメッツ、中島みゆき、さだまさし・・・・。昔よく聞いた歌謡曲のハイレゾ音源。先日、五木ひろしが発売になった。まだ“買う決心”は付いていないものの、これから多分続々と発売されるであろうアナログマスターからの昔の歌謡曲のハイレゾ音源。レコード会社にとっても、音源の再活用なのでほとんど費用はかからないだろう。だからどんどん発売して欲しいもの・・・。
我々にとっても、高価な機器に買い換えるよりも、ハイレゾ音源の購入の方が、よっぽど効果が期待できて安上がり。
今後のリリースが楽しみな反面、数千円の音源の購入に「贅沢かな?」とためらっている老人ではある。
(2015/08/20追)
同じSONYレコードの五輪真弓のハイレゾ音源を買ってみた。案の定、山口百恵ほどの違いは感じられない。やはりアナログテープからハイレゾ化するときの、マスタリングの違いらしい。
山口百恵のマスタリングをしたと同じ人のハイレゾ音源を買ってみたいものである。
(ここ)に「オリジナルマスターテープから新たにリマスタリングし、ハイレゾ音源として配信。」という記事があった。やっぱり・・・
(関連記事)
歌謡曲のハイレゾと、元気な還暦過ぎの歌手たち
●メモ:カウント~770万
| 0
コメント
はじめまして
エムズさんのブログを拝見して百恵さんのハイレゾを購入しました
音質の良さが凄すぎる
夏ひらく青春 のイントロの躍動感
謝肉祭 の生々しい演奏
乙女座 宮 のキラキラ輝く星のせせらぎのようなストリングス
ハイレゾにはまってしまいました・・・
【エムズの片割れより】
自分と同じ感想を持たれたようで・・・
でも、この音源はハイレゾというより、マスタリングの成果だと思うのですが・・・・
一般のハイレゾの音源が、CDとそう変わらないので・・・
投稿: とし | 2016年6月10日 (金) 08:46
百恵さんのは音源音質が向上するたびに、まだ彼女と1番長く一緒にお仕事をした当時のレコーディングディレクターさんがプロデューサーとなり
一つ一つまだマスタリングしていただいているからだと思います
今はプロデューサーとしてご活躍
昔の縁故はもッズ、井上陽水、浜田省吾さんあたりなので、その辺でご活躍かもしれません
お名前は川瀬泰雄さん
ビートルズ研究家であり、山口百恵さんの楽曲について「プレイバック」を出版
【エムズの片割れより】
貴重な情報をありがとうございます。
Netで検索すると、非常に高名なプロデューサーさんなのですね。
投稿: ラッキー | 2018年4月 3日 (火) 18:52