貧困層に「経済的徴兵制」?奨学金返還に防衛省で就業体験
今日、カミさんが駅で買ってきた「ビッグイシュー」2015/08/15 269号。p24の伊藤悟氏の「テレビを疑い、戦争を嫌おう」という記事の中に、「奨学金を返せない者は自衛隊などでインターンを」と財界人が発言している事を知った。
Netで検索してみると、こんな記事が見つかった。もう1年以上前の東京新聞の記事だった。
「貧困層に「経済的徴兵制」?奨学金返還に防衛省で就業体験
文科省は先月末、大学生らの経済支援に関する報告書をまとめた。有識者会議メンバーの一人はその検討過程で卒業後に就職できず、奨学金の返還に苦しむ人たちについて「防衛省でインターンシップ(就業体験)をさせたらどうか」と発言した。若年貧困層を兵士の道に追い立てるのは「経済的徴兵制」ではないのか。
発言の主は、文科省の有識者会議「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」メンバーの前原金一・経済同友会専務理事。住友生命の常務取締役などを務めた人物だ。
奨学金返済が話題にのぼった5月の検討会で、前原氏は「返済の遅延者が無職なのか教えてほしい。放っておいても良い就職はできない。防衛省などに頼み、一年か二年かインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいと言っている」と促した。文科省の担当者は「考えてみます」と引き取ったものの、検討会が8月29日に公表した報告書には盛り込まれなかった。
物議を醸す構想だけに、文科省も具体的に検討しなかったようだが、関係者は神経をとがらせる。
大学生や教職員らでつくる「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」(奨学金の会)の岡村稔事務局次長は「奨学金の返還を名目に、自衛官という仕事を斡旋する制度をつくることになりかねない」と危惧する。
米国では実際、軍に入隊すれば国防総省が奨学金の返済額を肩代わりする制度があるという。「そもそも防衛関係の仕事は心身ともに負担が大きい。安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した結果、自衛官の仕事はリスクが格段に高まっている。『命が脅かされる』というのも絵空事ではない」(岡村氏)。
学費のために防衛の仕事に就くルートをつくることは、格差社会の助長にもつながりかねない。
藤本一美・専修大名誉教授(政治学)は、米国の現状について「米軍は志願兵制を取るが、貧困層の若者が兵士になる例が非常に多い」と解説する。
米政府が奨学金返還を肩代わりするのは兵士の確保のためだが、格差社会が進む米国では、この制度に頼らざるを得ない貧困層が多い。結果的に兵士の多くを貧困層が占めている。貧困層にとっては、兵士以外の選択を奪われた「経済的徴兵制」なのだ。
三浦まり・上智大教授(政治学)は「米国の場合、防衛の仕事は貧困層に押しつけるあしき構図が定着してしまったのが大きな問題」と指摘した上で、冒頭の前原氏のような発想を批判する。
「そもそも何かと引き換えに大学で学ぶ機会を与えるという考え方が間違い。若者たちには一人一人、自分の能力を引き出すための学習権がある。学生の経済支援を考えるなら、この権利を安心して行使できるよう大学教育の無償化という方向で考えるべきだ」」(2014/09/03付「東京新聞」(ここ)より)
その時の、実際の発言はこのようなものだったという。
「学生への経済的支援の在り方に関する検討会(第11回) 議事録
2014年5月26日(月曜日)15時~17時
・・・・
【前原委員】 前回も申し上げたのですが,こういうやり方も一つあります。今の経済状況を考えると,労働市場は非常に好転しています。まず,延滞している人の年齢別人数を教えていただきたい。それから,延滞者が無職なのか,低収入なのか,あるいは病気なのかという情報をまず教えていただきたい。
今,労働市場から見ると絶好のチャンスですが,放っておいてもなかなかいい就職はできないと思うのです。前も提言したのですが,現業を持っている警察庁とか,消防庁とか,防衛省などに頼んで,1年とか2年のインターンシップをやってもらえば,就職というのはかなりよくなる。防衛省は,考えてもいいと言っています。
・・・
【前原委員】 防衛省は,2年コースを作ってもいいと言っています。ですから,是非,渡辺課長が中心になって各省へ働き掛けて,やっていただくと,私は日本国の将来に非常にプラスになると思います。・・・」(ここより)
今日(2015/08/30)は、「国会10万人・全国100万人大行動」が開かれ、全国各地の計約300カ所以上で抗議集会やデモが開かれたという。
東京・永田町の国会周辺の参加者数は、主催者側の発表では約12万人、警察関係者によると約3万3千人という。
相変わらず、主催者側の発表と警察関係者による数字とが大きく違うが、まあそれはそれとして、上のような発言からして、現在の安保法制の強行は、決して安倍首相一人だけの、エネルギーではないことが分かる。
裏には、巨大な軍事産業などの利権がからんでいるのだろう。
そして日本の大きな権力は、徴兵制への道も、既に検討済みなのかも知れない。
何とも、巨大な背後のエネルギーを感じながら読んだ記事ではあった。
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コメント
30日10:00 小雨が降っていましたが、八王子駅前に行きました。自分が思っていた以上の人がすでに集まっていて、声を掛けられて署名しました。私の上に署名してあった人は青森県の人でした。
雨が避けられるところに立って、そこにいた団体が,「一旦解散、後は国会前へ」となるまで、まあ、良く聞こえない演説などを聴きながら、周囲を見渡してました。駅前デッキ上にも傘を差しながら聞いている人たちが、ずらっといました。
夕方、TVがどう報道するかと思いましたが、NHKは見事のスルーですね。
ラジオ深夜便はあさ3:00のニュースで言ってましたが。
いつもは主催者発表をマユツバだと思う人間ですが、今回の警察発表3万人はウソだと思います。
【エムズの片割れより】
お疲れさまでした。
投稿: Tamakist | 2015年8月31日 (月) 10:04
30日の国会周辺は人、人、人の波でした。朝日や毎日の写真では表わされない状況です。正門前だけでなく周辺の道路、霞が関から日比谷公園までの道路国会正門前も道路両側の木々の緑は公園ですが、緑の樹の下は当然人々でいっぱいでした。人々の怒りの大きさが伝わってくる集会でした。
さて長野県阿智村のデモのことを書きましたが安曇野の池田町では軽トラ・デモが行われるそうです。信州では他でも各地で集会・デモがあって 「村デモ」というそうです。
これにならって「町デモ」「団地デモ」が起こりつつあるようですね。
八王寺・まちデモ・・・いいですね。
投稿: todo | 2015年9月 1日 (火) 12:00