誤りがちな日本語表現(1)~慣用句
先日の日経新聞にこんな記事があった。慣用句の誤りの話である。
「正しく言える?誤りがちな日本語表現
とかく日本語の表現は難しい。大人でも日ごろ間違った言い方をしていたり、漢字を読み違えていたりすることが少なくない。そこで、間違えやすい表現の解説書などをもとに二者択一の問題を作り、インターネット上で幅広い世代の男女に解答してもらったところ、正解が30%に満たない表現がたくさんあった。
■正答率高いのは今どきの若者
慣用表現には「声をあらげる」「はす(斜)に構える」など、本来の使い方と異なる言い回し がそのまま広まり、定着し始めたものもある。そうは言っても仕事など大事な場面で恥をかいていることもあり得る。しっかり、本来の使い方はおさえておこう。
意外に感じるかもしれないが、調査の全問題合計の正答率が最も高かったのは20~30代だ。就職などのため、試験や面接に備えて懸命に学んだ人が多いようだ。一方、一番間違いが目立ったのは50~60代。「今どきの若者は……」などとは、とても言えない結果になった。家族や友人と過ごすことが多いこの時期、ランキングを参考に互いをチェックして、楽しく正しい表現を身につけよう。
<慣用句~似ているけど違う>
1位「間が特たない」正答率14.3% ~正解「間が持てない」
「間か持てない」は、時間をもてあましてどうしたらよいかわからない、あるいは、会話などをうまくつなぐことができないという意味。ほとんどの辞書に「間か持てない」と載っているが、一部に「間hs持たない」を載せる辞書も出てきた。 20~30代の正答率は10%程度。若い人ほど本来間違いの「間が持たない」を使っていた。
2位「足元をすくわれる」正答率14.7 % ~正解「足をすくわれる」
「すきを突かれて失敗させられる」という意味。足はすくえるが、足元はすくえない。ほかに「足元を見る」(相手の弱みにつけこむ)という慣用表現があり、混同しやすいので注意。正答率は最も高い20代が約18%、最低は40代で11%だった。
3位「声をあらげる」正答率24.3% ~正解「声をあららげる」
漢字で書くと「荒らげる」。読み間違えて「あらげる」と言う人が多い。正答率は60代の約26%が最高。20代は22%と最低だった。若い世代ほど「あらげる」派が目立つようだ。
4位「采配を振るう」正答率29.6% ~正解「采配を振る」
采配は柄に紙などの房を付けた道具。武将が戦場での指揮に使った。振れば全軍に指図できる。大きく振るっては部下が混乱する。
5位「新規巻き返し」正答率29.8% ~正解「新規蒔き直し」
「種を蒔(ま)いたが芽が出ないので蒔き直す」から生まれた言葉。劣勢から反撃に転ずる「巻き返し」と混同しやすい。
6位「しかめつらしい」正答率31.0% ~正解「しかつめらしい」
「しかつめらしい」は「まじめくさって堅苦しい感じがする」などの意味。「しかめっ面」とは全く異なる。
7位「怒り心頭に達する」正解率31.3% ~正解「怒り心頭に発する」
「心頭」は心の中のこと。怒りが心の底からこみあげる状態を表す。怒りのボルテージが高まることではない。
8位「押しも押されぬ」正答率35.0% ~正解「押しも押されもせぬ」
堂々として揺るぎない状態をいう。ほぼ同じ意味の表現「押すに押されぬ」と混同して誤りやすい。
9位「熱にうなされる」正答率40.6% ~正解「熱に浮かされる」
夢にうなされても熱にはうなされない。「熱に浮かされる」は高熱でうわ言をいう、他事を忘れ夢中になる意味。
10位「目鼻が利く」正答率41.3% ~正解「目端が利く」
目が利く、鼻が利くとはいうが、目鼻が利くは誤り。「目端が利く」は機転がきくという意味。混同に注意。」(2015/08/01付「日経新聞」s1より)
順に見ていこう。
○1位の「間が特たない」は自分も使う。よって正解。
×2位の「足元をすくわれる」は自分も使うな・・・。理屈的に「足をすくわれる」が正解なのは分かるが・・・
△3位の「声をあらげる」はほとんど使わない。まして正解の「声をあららげる」も使ったことはない。
×4位の「采配を振るう」は、そうじゃないの?? 正解が幾ら「采配を振る」なんたって、相手に通じないでしょ!
○5位の「新規巻き返し」なんて知らない。やはり正しい「新規蒔き直し」でしょう。
△6位の「しかめつらしい」「しかつめらしい」はどちらも使わないので関係無し。
×7位の「怒り心頭に達する」の正解は「怒り心頭に発する」だというが、どうも“達したい”感じ・・・
○8位の「押しも押されもせぬ」はそうでしょう。これは自分も正解。
○9位の「熱に浮かされる」もそうでしょう。自分も正解。
×10位の「目鼻が利く」の正解は「目端が利く」だって?? そりゃやっぱり「目鼻が利く」でしょ!
ここで大事なのは、相手にちゃんと通じるか・・・であ~る。
幾ら文学的に誤った慣用句を使っていても、相手が同じ間違いをしていれば、ちゃんと通じるのであ~る。
幾らこんな記事で教わっても、「目鼻が利く」を「目端が利く」になんて、サラサラ言い変える気のない自分なのである。もちろん「采配を振るう」って、「足元をすくわれる」ことがあっても・・・である。
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コメント
目鼻を目端にサラサラ言いかえる気がないなんて、エムズさんも意外に頑固なんですね。正しい方を使わないと気が済まない私とどっちが頑固なんでしょうね。
最近テレビや新聞などで、憮然や檄などのようによく使われる言葉なのに、間違って使われているのを見ると気になって仕方ありません。それに若いアナウンサーに手術をまともにシュジュツと発音できない人がいることも気になっています。これもいじわる爺さんになって頭が固くなった証拠でしょうか。
【エムズの片割れより】
昨年、熱海の花火を見に行った時、周囲の若者が「ヤバイ!ヤバイ!」の連呼・・・
つく“ず”く、言葉は生き物だと思いました。幾ら広辞苑に「不都合である。危険である。」と書いてあっても、意味が無かった・・・
何をもって正しいとするのか?広辞苑か、現に使われている意味か・・・
自分も最近はソフトに捉えています。
投稿: かえるのうた | 2015年8月12日 (水) 09:58