「安保関連法案 まだまだ阻止できます☆」
今朝の朝日新聞の「天声人語」。
「書いたご本人が驚いている。反響のすさまじさに。黒澤いつきさん(34)は一昨日、1本の記事をフェイスブックに掲げた。猛スピードで拡散し、きのう夕方までの1日で約32万人もの画面に表示された▼タイトルは「安保関連法案 まだまだ阻止できます☆」。法案が衆院の委員会で可決され、もう勝負あったと落胆している人々に向けて、法律が成立するまでの国会の仕組みを平易につづった。まだ参院での審議がある、諦めなくてもいい、というか諦めてはいけない、と▼「明日の自由を守る若手弁護士の会」の共同代表を務める。憲法と立憲主義を知り、考える活動に取り組む。今回、採決強行への抗議声明の形にはあえてしなかったと黒澤さんは言う。「人々が行動を起こすパワーになることを書こうと思った」▼狙い通りだったことは寄せられたコメントが証明する。「そうか!」「これからですね!」「希望はあるのですね」「元気出ました」。黒澤さんは手応えを喜んでいる。書いたかいがあった▼永田町の「常識」からすれば、きのうの衆院通過で法案成立の「公算」は大きくなったのだろう。政権与党の手持ちの時間は9月末まである。しかし、それは反対する側にとっても否の声を上げ続けることができる時間だ▼若手弁護士の会は、特定秘密保護法案の衆院採決の際も同趣旨の記事を掲げ、約20万人に拡散した。この国の行方を決める「主権者」国民の怒りは、あの時よりも大きい。黒澤さんはそう実感している。」(2015/07/17付「朝日新聞」「天声人語」より)
どんな記事かと覗いてみると、こんな記事だった(ここ)。
「安保関連法案 まだまだ阻止できます☆
安保関連法案、さきほど衆院特別委員会で強行採決されてしまいました(明日、本会議で採決とのこと)。
政府がなに一つ誠実に質疑に答えず、日本語として理解できないような答弁で逃げ切ったあげく「時間がたった」と、怒号の中で多数決。
まるで、映画のような、ドラマのような、暴力的な政治です。
もしかして、衆院特別委員会通過と聞いて、「あぁもう成立してしまった」…かのように落胆されている方はいらっしゃいませんか?
もちろん、あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)も落胆しています、が、まだ国会は続くのです。私達の声が法案成立を阻止できるチャンスは、ま~だまだ残されてます!
そもそも法案というものが成立する道のりは2つあります。 1つは、同一の会期内に衆議院と参議院の両方を過半数の賛成で通過する道のり。
もう1つは、参議院が衆議院から法律案を受け取って60日以内に議決しないときに、衆議院の3分の2以上の賛成で再議決する道のり(最近よくきく60日ルール)。
ですから、衆議院特別委員会で強行採決されて本会議で採決されても、参議院で可決されなければ法案成立しません。参議院で可決しないまま60日経ったとしても、衆議院で再議決しない限り成立はありえない。
この国会(臨時国会)の会期は、9月27日までです。
会期中に議決できなかった案件は廃案となるのが原則です。
また、今回たとえば衆議院で可決して、参議院に送られたものの会期末となり、「継続審議」になった場合、 次の国会では、参議院は審議の続きから始まりますが、衆議院はもう一度最初から審議やり直しになります。
なのでこの場合には、臨時国会でなされた衆院採決は意味が無くなるわけです。
廃案または継続審議となっても、次回以降の国会でまた法案提出、審議して成立を目指すことはできます。
しかし、法案の内容がもっともっと国民に広く知られ、もっともっと反対される時間ができると、ますます支持率は下がりますし(ますますアベノミクスのボロも出るし)可決しづらくなるので、政府としては世論がこれ以上反対で盛り上がる前に早く可決してしまおうと考えるわけです。
まだ諦めなくてもいいのです、というか諦めてはいけないのです!まだ私達はこの法案の成立を阻止できます。
対抗手段は、とにかく問題点を広く知らせ、反対意見をあらゆる方法でアピールし続けて、会期内に参院で通させないことです。
先日書いたように、議員さんにFAXやメール、手紙で直接声を届けましょう。
デモや集会をしっかり報道した新聞やテレビには応援のメッセージを送りましょう。
強行採決を中継しなかったNHKには、きちんと「それでも公共放送のつもりですか」と批判の声を届けましょう。
共同代表の黒澤は、ついこないだ、さる集会で「これは安倍首相の執念と、私たち国民の執念のたたかいです」とお話しました。
諦めないことです。
衆議院を通過してしまったとしても参議院で通過させないよう粘りきることです。毎日、声をあげ続けましょう☆
(この記事は、2013年11月、特定秘密保護法案が衆議院の特別委員会で強行採決された際に書いた記事を思い返しながら書きました。)2015年7月15日水曜日」(ここより)
政権は「してやったり」の感。どうせ参院ではグダグダやるだろうから、60日経ったら、衆院で2/3で再議決すれば良い、とタカをくくって・・・
そして今日は、新国立競技場の白紙撤回で、少しでも人気を取り戻そうとしている。
改めて、国会の政党別議席数を見ると、
<衆院 475>
与党 自民291(61.2%) 公明35(7.3%) 計326(68.6%)
野党 民主73(15.3%) 維新40(8.4%) 共産21(4.4%)・・・計149(31.4%)
<参院 242>
与党 自民115(47.5%) 公明20(8.3%) 計135(55.8%)
野党 民主59(24.3%) 維新11(4.5%) 共産11(4.5%)・・・計107(44.2%)
よって、参院で採決すれば与党が過半数で通ってしまう。
衆院での再可決の場合、賛成した次世代の党6を入れると、332(69.9%)。2/3は317。つまり、賛成3党以外が全員反対だとすると、賛成3党のうち、16人以上が造反すれば、成立しないのだ。
話は飛ぶが、同じく今朝の日経の「春秋」。
「無責任で疑わしい欲求にかられた支配者に統治を許してはならない――。大学構内で反戦を訴えるビラをまいた女学生ゾフィーは逮捕され、断頭台に送られた。まだ21歳だった。72年前、戦時下ドイツでのことだ(フィンケ著若林ひとみ訳「白バラが紅(あか)く散るとき」)。▼ヒトラーのウソを追及し、その責任を問う学生の抵抗運動だった。国家への反逆罪を扱う人民法廷で裁かれ、裁判長自らが被告たちをののしり、怒鳴りつけた。裁判といっても名ばかりで、弁護も頼りにならなかった。国選弁護人は「このような恥ずべき行為がどうして行えたのか理解できかねます」とさえ述べたという。▼形の上では憲法にのっとった全権委任法により、ナチスは独裁的権力を手にしていた。裁判官、検察、弁護士など司法の世界も支配し、政治の道具にした。国民が理不尽に自由を脅かされても、法律は守ってくれない。弁護士もあてにできなかった。総統であるヒトラーには最高の裁判権がある、と主張する学者も現れた。▼同様の支配を進めるつもりなのか。中国で政権に批判的な弁護士など100人以上が連行された。共産党の一党独裁政権にも、司法を都合良く牛耳る歯車が組み込まれているのだろう。すでに施行した国家安全法に加え、規制強化策とみられる法整備も急いでいるらしい。背筋が寒くなってくる。もって他山の石としたい。」(2015/7/17付「日経」「春秋」より)
この一文、最後の「もって他山の石としたい。」のひと言が活きている。
日経は、産業界の代弁者としての立ち位置。
朝日、毎日のように、自由な政権批判は出来ないが、かといって、産経、読売ほど露骨な政権寄りでも無さそう・・・。
その日経の「もって他山の石としたい。」というひと言が気に入った。
何か気になる今朝の2紙のコラムではある。
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コメント
朝日新聞を読んでいないため、良いブログを有り難うございました。衆議院の再可決も、「賛成3党のうち、16人以上が造反すれば、成立しないのだ。」という話。日経の「春秋」の記事からの、「(中国)共産党の一党独裁政権にも、司法を都合良く牛耳る~規制強化策とみられる法整備も急いでいるらしい。背筋が寒くなってくる。もって他山の石としたい。」の2箇所に、私も考えさせられました。
併せて他のブログですが、「澤地久枝のよびかけ」https://sites.google.com/site/hisaesawachi/にも感銘を受け私も行動に移しました。ご紹介します。あと2か月、まだまだ、あきらめる必要はないのですね。
【エムズの片割れより】
民主党も賛成の人がおり、(有権者ではなくて上しか見ない)ヒラメの16人はなかなか難しいですね。
あとは世論で、地元の議員に圧力をかけるしかない・・・。地元の有権者にキチンと説明できますか??と。
TVで誰かが言っていた、「まるで意志のない人形のような投票風景・・」という表現が当たっていると思いました。
投稿: かうかう | 2015年7月18日 (土) 09:46
先程、NHKスペシャル戦後70年、を観ました。吉田茂と岸との違い、戦前の日本に戻そうとする岸の顔が安倍の顔とダブりました。同じ頭ですね。日本を壊滅状態にした戦犯が何事もなく総理になったのもおかしなことですが、何らの反省もない一族の厚顔と権力への執着心が、また日本を壊滅状態に追いやるのかと思うとぞっとしました。東京裁判の時の「death by hanging」の声が聞こえてくるようです。
自公民の議員は覚悟が出来ているのでしょうか。
【エムズの片割れより】
自分も見ました。現在の安倍首相は、岸元総理のゾンビに見えてしまいました。
投稿: 白萩 | 2015年7月19日 (日) 00:36
日刊ゲンダイの記事だそうです。
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藤井裕久・元財務相は、大蔵官僚時代に仕えた岸内閣時代の秘話をこう打ち明けた。
「1957年に岸内閣が発足した後、私は椎名悦三郎官房長官の下で“下っ端”として汗を流していた。岸総理は当時、『俺が取り組んでいる日米安保改定は、世間では集団的自衛権の行使だといわれるが、それは違う。海外派兵は憲法で禁じられているからだ』と明確に言っておられました」
あたかも安倍首相は祖父の「やり残した」集団的自衛権行使を実現するため、安保法案に邁進しているように見えるが、藤井氏の発言が事実なら、それは大きな勘違い。岸氏は「やり残した」のではなく、あえて「やらなかった」のだ。祖父が戒めんとした「憲法9条」の禁を犯せば、心酔してやまない祖父の顔に泥を塗るようなものだ。
【エムズの片割れより】
岸元総理が退陣した時の内閣支持率は、朝日で12%、NHKで17%だったとか。
まだまだ高いですね。
投稿: Tamakist | 2015年7月20日 (月) 11:27