安倍首相のクーデター
与党は、明日(2015/07/15)、衆院特別委員会で、安保法案を強行採決する方針だという。
今朝の朝日新聞の天声人語。
「クーデターという不穏な言葉がある。フランス語で、直訳すれば「国家に対する一撃」。文献によれば、国の支配層のある部分が、ライバルなどから権力を奪取するための非合法的な奇襲をいう。多くの場合、武力が使われる▼軍隊は出てこなくても、これは一種のクーデターではないのかという批判がある。集団的自衛権を行使できるとした安倍政権の閣議決定のことである。最近では憲法学者の石川健治・東大教授が、雑誌「世界」で語っている▼集団的自衛権は憲法9条の下では行使できないとしてきたこれまでの政府見解を、百八十度ひっくり返す。国民に問うこともなく、あっさりと。これは「法秩序の連続性の破壊」であり、法学的にはクーデターだった、と。事の本質を突いているのではないか▼きのう、安保関連法案を扱う衆院委員会で中央公聴会があった。両論あったが、法案の本質的な危うさはここでも指摘された。例えば、やはり憲法学者の木村草太(そうた)・首都大学東京准教授は、「法の支配そのものの危機」に注意を促した▼どんな場合に集団的自衛権を使えるのか。「わが国の存立の危機」だと政府は言うが、定義は実に曖昧(あいまい)だ。武力行使するしないの判断を法によらず、政府に白紙で一任するようなものと非を鳴らした▼議論は熟していない。憲法学者は反対するが、国際法学者には賛成も多いと首相は言う。色々な専門家の声を聞くことに異論はない。どんどん国会に招けばいい。むろん採決の前に、である。」(2015/07/14付「朝日新聞」「天声人語」から)
なるほど・・・と、雑誌「世界」8月号(2015年)の目次を読むと・・・
「集団的自衛権というホトトギスの卵
──「非立憲」政権によるクーデターが起きた ──
石川健治/聞き手=桐山桂一
集団的自衛権は「ホトトギスの卵」である。ホトトギスはウグイスの巣に卵を産み付け、ウグイスの母親は自分の産んだ卵と差別をしないで温める。しかし、孵化に要する日数が短いホトトギスの卵の方が、先にひなになり、だんだんと大きくなってその巣を独占し、やがてウグイスの卵を巣の外に押し出して、地面に落としてしまう……。
昨年7月1日、政府は、集団的自衛権をウグイスの巣に小さく産み落とすことに成功した。個別的自衛権行使の量的拡大にすぎないかのような体裁に見せて、実際には質的に異なるものを持ち込んだ。この出来事を法学的に考えなおすならば、それは「法の破砕」であり、「非立憲的」な政権によるクーデターだった。
昨年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定と、いま国会審議が行われている安全保障法制の問題点を根本的に明らかにするインタビュー。」(ここより)
とあった。
そして、その中の石川健治・東大教授の発言・・・
「安倍政権は、国民に信を問うことなく、閣議決定により、法的連続性を切断してしまいました。国民もしくは大本の規範は動かないまま、政府レベルで法秩序の連続性の破壊が起こった場合を、法学的にはクーデターといいます。」
「安保法制を数の力で押し切ろうという選択は、多数者による専制であって、それは、立憲主義の仇敵である、専制主義に与することです。」・・・
話は変わるが、昨日、家に帰るとカミさんが「宮崎駿監督が、記者会見をして、政権を批判していた」と言う。自分も夜、TV朝日で、その外国特派員協会の記者会見の様子を見た。
(ここ)によると、宮崎駿監督は、こんな発言だったらしい・・
「会見の質疑応答では、憲法違反の指摘を受けながらも、安保法案の成立を急ぐ安倍首相について、記者から質問が出た。宮崎さんは「私と逆の考えだ。軍事力で中国の膨張を 止めることは不可能で、もっと別の方法を考えるために、日本は平和憲法を持ったのだと思う」「憲法解釈を変えた偉大な男として歴史に名前を残したいのだと思うが、愚劣なことだ」と語った。
さらに、「なぜ日本人は憲法を大事にしているのか」という質問に対しては、「15年にわたる戦争は、惨憺(さんたん)たる経験を日本人に与えた。平和憲法は光が差し込むようなものだった」「平和憲法は(第一次大戦後の)不戦条約の精神を受け継いだもので、必ずしも、歴史的に孤立したものだったり、占領軍から押し付けられたものとはいえない」と答えていた。・・・」
世論が、だんだんとその事に気付きだしたのを恐れてか、政権は案の定、強行採決する構えらしい。
政権の投票マシーンと化している自公の国会議員。地元に帰って、キチンと説明できるのだろうか? 国民の批判に対して、説得できるのだろうか?
それも出来ないくせに、強行採決に荷担する皆々・・・。全員が保身のかたまり・・・
その中で唯一、自民党内で安保法制に反対する村上誠一郎衆院議員。
その自民党議員がひとり、「安保法制反対集会」に出席して、警鐘を鳴らしている。
発言内容は(ここ)にあるが、このような考え方の人が、与党に1人しかいないことが日本の不幸・・・
この村上氏のように、自分の意見を持っている自民党員があまりに少ないのが日本の不幸・・・
しかし、強行採決は、既に安倍首相の米国での“かっこいい”演説をした時に決まっていた。あとの行事(討議)は、単なるセレモニーであって、すべては結論ありき・・・。そうでなければ、60日延長の衆院再可決などという手段を最初から盛りんではいなかったろう。何が何でも、自分の思い通りにする。そしてそれが出来てしまう今の日本・・・・。
日本国民はよくよく認識しなければならない。平和国家・日本、民主主義の国・日本・・・などは、すべて幻(まぼろし)。
日本は、ヒトラーにも通じる独裁者を生む国だと言うことを、よくよく認識しなければならない。
天皇や皇太子が、「玉音盤の公開」などというイベントのニュースを発信することで、日本の戦争への道を懸念したが、米国での自分の発言を守ることを最優先にしている独裁者には、何も聞こえない。
独裁国家・日本はどこに行く!?
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コメント
2泊3日の国会抗議・個人行動から帰ったところです。昨夜15日夜の国会周辺は戦争法案に抗議する10万人の人々で埋め尽くされました。戦争法案は法治を無視した「クーデター」にほかなりません。
アベの暴走を止めるためにできることは何でもやってみましょう。あべ がつぶしたい 沖縄の「琉球新報」「沖縄タイムス」に載せた意見広告ーーー辺野古に新基地は いらん!へ少しばかりのカンパを寄せました。
愛知県下のある公明党の町議が集団的自衛権容認に抗議して公明党を脱党し公明党から「お前の個人票なんか2%だ!」と恫喝されながらも今春 再選されました。公明支持者は今 揺らいでいます。
私の敬愛する 澤地 久枝さんからの呼びかけです。7月18日午後1時 全国一斉に自宅からでも路上からでも集会場からでも 「戦争法案 反対」の意思表示をしよう。・・・ということです。できることなら アベのところに少しでも 届く形で行動したいと考えています。
さてエムズの片割れさん 反戦川柳の 鶴彬について 「ビッグ・イシュー」に何度かとりあげられたことがあったそうですが・・・・
【エムズの片割れより】
60日ルールで、成立確実と報道されていますが、そもそも公明党が与党から離れれば良いだけのこと。
平和の党の公明党が、与党にしがみつきたいために、戦争法案を進する側とは、あまりに情けない・・・
具体的に首相の暴走を止めるには、公明党が目が覚める以外に方法はなさそう・・・
投稿: todo | 2015年7月16日 (木) 20:21
安倍さん、出来るじゃないの、新国立競技場の設計見直し。余ほど、世論調査の支持率低下や国会デモが気になったのだね。この際、対米追随の姿勢をとれるようにしてアメリカと対等な国になりたいというような岸元総理の呪文から解放されて、アメリカには出来ない方法で、戦争には荷担しない国という日本独自の大きな力を発揮して、本当の意味でのアメリカを助ける国になって欲しいと心から思います。自衛隊を世界中に派遣せずとも、他の同盟国には出来ないほどの沖縄を中心に軍事基地とお金を十分提供しているのです。戦前の、軍備拡張に走った過ちを繰り返さないで下さい。今の安倍さんは戦前の日本に戻したいと思っているようですが。公明党への期待、疑問です。何より世論調査の支持率低下や若い人も多い国会デモ、政府答弁とは違う分かりやすい報道姿勢の力を続けることだと思います。
【エムズの片割れより】
今日の共同通信の世論調査。
「共同通信社が17、18両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、内閣支持率は37.7%で、前回6月の47.4%から9.7ポイント急落した。2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最低を記録。不支持率は51.6%(前回43.0%)と過半数に達し、初めて支持と不支持が逆転した。」
残された60日間で、あとどれだけ下がるか・・・
それにしても、祖父の岸元総理の呪縛は想像を遙かに越えていますね。
誠にはた迷惑な・・・
投稿: かうかう | 2015年7月17日 (金) 21:42