NAC-HD1からWAV/FLACとして読み出す方法
この記事は、SONYのHDDオーディオプレヤーのNAC-HD1のPCMデータを、WAV/FLACとして読み出す方法である。
NAC-HD1から、ハイレゾのHDDオーディオプレヤーHAP-Z1ESやHAP-S1などに乗り換えた時、せっかく貯めたNAC-HD1の音楽データをHAP-Z1ESに移したくなる。しかし、著作権に厳しいなSONYは、それを簡単には許してくれない。USBメモリなどにはMP3のような圧縮データでしか転送出来ない。従って自分は、今まではNAC-HD1のアナログ出力を利用して、WAV/FLACに変換してきた(ここ)。
それが先日、Noriyukiさんから、ウォークマン経由で、直接PCMとして取り出す方法を教えて頂いた(これ)。まさに目から鱗(!!)の方法である。
この方法だと、NAC-HD1のPCMデータを、そのままWAV/FLACに変換出来るため、信号の劣化がない。その手順を整理してメモしてみる。
(なお、ウォークマンは、手持ちのNW-A17(2014年11月8日発売)、NW-A857(2010年11月13日発売)、NW-847(2009年10月31日発売)の3種で、どれも何の問題も無かった。ウォークマンの機種は選ばないようである)
例)自分はFM放送から録音した楽曲を、NAC-HD1に月毎に「15年6月・・・」というフォルダを作って置いているので、そのフォルダ毎にFLACに変換した。
<NAC-HD1からPCM信号で出力>
1)ウォークマンをNAC-HD1のUSBにつなぐ。
2)転送するフォルダを選んで、「オプション」「転送」「ウォークマン」「標準転送」で「設定」「フォーマット指定」「PCM」「閉じる」→「実行」
・これでウォークマンの「OMGAUDIO」フォルダにATRACのPCMファイルが出来る。
★一度の転送数(体験)~最初、ウォークマン(NW-A17)の残容量以上のファイルをNACから転送しようとしたため、ウォークマンのデータベースを壊してしまい、初期化せざるを得なかった。ウォークマンには「転送中に接続が解除された可能性があります…」の表示、NACには「ウォークマンのデータベースが壊れています」の表示、xアプリには、ウォークマンは認識するものの、曲名が表示されない。⇒結局、ウォークマン本体の初期化をして、ファイルを全部消さざるを得なかった。
前にSONYから、「ウォークマンへのデータ転送の時に、何度かに分けて転送したらどうか。一度に転送すると負荷が多い。」と言われたことを思い出し(ここ)、100曲、300曲、500曲(30時間分)と段々一度当たりのファイル数を多くしながら転送してみたが(その都度ウォークマンを外してデータベースを作る)、いずれも結果としてうまく行った。
しかし、なるべく少しずつ転送し、その都度、ウォークマンを外して、データベースを作りながら転送した方が確実である。
また、ウォークマンで「データベース構築中」のときに、PCやNACにつなぐと、上と同じような状態になり、ウォークマンの初期化が必要になるので、ウォークマンが完全に安定した状態になってからUSBにつなぐこと。
●転送されたWAVのままHAP-Z1ESに転送して使う場合は、これで良いのだが、自分は音量の調整をしたかったので、FLACとした。その場合は、一つのフォルダ毎に転送した方が、タグ情報の付加に都合が良い(後述)。
<ウォークマンからPCへのPCMファイル転送>
1)PCに「xアプリ」(ここ)をインストール。
2) 「xアプリ」を起動→「機器へ転送」→ウォークマンをつなぐ→右のウォークマン欄の下の「すべて選択」をクリック→「←」をクリック
*自分のウォークマンはATRACファイルが無いため(フォルダモードだけ使用している)、転送したファイルがそのまま表示されるが、既にウォークマンにATRACファイルが存在する場合は、ウォークマンにアルバムがズラリと並んでしまう。よって、あらかじめNACの編集で、転送する楽曲の「アルバム名」を「1」などの分かり易いアルバム名に変更しておいた方が良い。
その時は、
・・・ウォークマンをつなぐ→右のウォークマンのアルバム名の「1」をクリック→「←(PCに転送)」をクリック
<xアプリでATRACファイルをWAVに変換>
1)転送された楽曲を選択
*「xアプリ」で転送された左の欄(PC側)で、「タイトル」を選んで、下の「すべてを選択」をクリック。
2)右クリックで「WAV形式で保存」→あらかじめ作っておいた「ミュージック」の「temp1」フォルダを指定→「OK」
*「temp1」にWAVファイルが出来ていることを確認して、(後の作業のために)xアプリの左の欄と右の欄を「すべて選択」→右クリック→「削除」→(二度と使わないので)「パソコンからも削除」」
*既に、ATRACファイルがある場合は、「1」だけのフォルダを削除
★これで、temp1フォルダにWAVファイルが出来ているので、これをHAP-Z1ESに転送すれば良い。このWAVには、トラック名、アーティスト名、アルバム名も付いているのでHAP-Z1ESでもキチンと表示され、不都合はない。
●音質もWAVのまま、何もしない方が良い音である。
(音量調整のために「xrecode II」などを通すと、WAVの“日本語の”タグ情報は失われてしまう)
⇒自分は、WAVファイルの状態(音楽情報など)をそのままに、音量を整えるために「Sound Forge Pro 11.0」(ここ)を使っている。(今も86%OFF、6千円のキャンペーンをしていた)
WAV音源をドラッグした後、「プロセス」→「ノーマライズ」(「プリセット」を「最大ピーク時」に)→「OK」 「ファイル」→「保存(S)」(“名前を付けて保存”ではない)で、上書き保存される。
====<以下は現在使っていないが、参考に残しておく>========
(ファイルをWAV⇒FLACに変更したり、音量の調整をする場合)
*NACから得られたWAVファイルの、FLAC化によって失われた日本語のタグ情報を、こんな方法でFLACファイルに付加してみた。
★なお、タグ情報の変更には、「STEP_M」(ここ)を使用した。「オプション」「オプション設定」「表示項目設定」で表示項目を設定する。
(自分は、FLACに変換して、音量を93dBに合わせている)
<<WAVファイル→FLAGファイルへの変換と音量のレベル合わせ>>
WAVからFLACへ変換するソフトは「xrecode II」を使った(ここなど)。
(インストール方法は省略~立ち上げる毎に、カウンタが動くが、カウンタがゼロになって色の変わった1~4のどれかのボタンを押すと無料で使える)
(2017/05/08追)
「xrecode II」が応答しなくなった。Netにつながっているとダメ。(ここ)で「オフラインまたはファイアーウォールでXrecodeIIの通信をブロックすると動作します。」
設定方法は(ここ)で、「別のプログラムの許可」で「xrecode II」を追加し、「パブリック」にチェックを入れたら動き出した。良く分からないが・・・
(2017/06/06追)
また動かない。LANケーブルを外すと動く。(ここ)を参考に、下記で動いた。
コントロールパネル>「システムとセキュリティ」で、「Windows ファイアウォールによるプログラムの許可」をクリック 「設定の変更」→「xrecode II」のチェックを外す→OK
<WAVからFLACへの変換と同時に、クリップしない範囲で、音量を最大にする>
1) 音量のノーマライズ(正規化)の設定は、「入力設定」の「正規化を実行」のボックスにチェックを入れる。右隣に「設定」という名のボタンが出てくるのでクリック。「正規化」を選んで、左の欄は上下とも「98」%に、右の「レベルが小さい(大きい)場合」は上下とも「90」(幾らでも良い)に設定。
2)「出力設定」は「場所を指定」であらかじめ作っておいた「temp2」を指定。「正確なフルパスに出力」のチェックは無し。
3)「目的の形式」で「FLAC」を選択。
4)変換するWAVファイル(フォルダ=「temp1」)を、「xrecode II」の窓にドラッグして、「開始」ボタンを押すと、音量のノーマライズとFLACへの変換をして「temp2」にFLACファイルが出来る。
<FLACファイルのタグ情報の付加>
1)STEPのリストに、WAVファイル(フォルダ=「temp1」)をドラッグして登録。
2)同じSTEPリストに、FLACが出来ている「temp2」フォルダをドラッグして登録。
3)STEPリストの上の「ファイル名」をクリックすると、順番に並び変わる。
⇒WAVのリストの順番と、FLACリストの曲の順番を確認。(同じファイル名が無い限り、同じ順番になるはず)
4)WAVのリストの「トラック名」「アーティスト名」「アルバム名」・・を選択・コピーし、FLACのリストの同じ所に貼り付ける。
5)FLACのリストで、元々の「ファイル名」と、新しく貼り付けた「トラック名」が同じであることを確認。
7)上部にあるフロッピーマークの「タグ情報を更新」をクリック。
⇒これでFLACファイルにタグ情報が付いた。
(FLACのファイル名をトラック名に変更)
(自分は、見易いように、ファイル名をトラック名に合わせている)
1)「STEP_M」にFLACファイル(temp2フォルダ)をドラッグして登録。
2)STEPリストの左サイドをドラッグして、FLACの全ファイルを選択し、「変換」「デフォルト変換」「トラック名⇒ファイル名」をクリック。
⇒FLACのファイル名が、CDの番号が付いたファイル名からトラック名になった。
*なお、WAVのタグ情報には、CDのトラックNoと、年号の情報がないため、それも必要な場合は、あらかじめ、NACから転送してMP3ファイル(詳細タグ情報付き)を作っておいて、WAVの代わりにMP3ファイルを利用する。なお、MP3作成は、NACで、「オプション」「転送」「USBストレージ」「ビットレート」は96か128に。(タグ情報だけ使うので、低ビットレートでOK)
<音量を93dBに合わせる>
1) 「xrecode II」の窓に、上で作られたFLACのフォルダ「temp2」をドラッグして登録する。
2)「入力設定」の「正規化を実行」の右隣の「設定」をクリック。「均一化」をクリック。デフォルトの「89.0」から「93.0」に変更。(リッピングしたCDの音源のレベルと、合わせるため。89dBでは小さいので、自分は93dBとした)。「オーディオに適用」を選択。「OK」
3)「リプレイゲイン」をクリック。「トラックゲイン分析」をクリック。
4)分析が始まり、窓に「トラックゲイン」と「トラック・ピーク」が表示される。左下の「合計サイズ」左のチェックを外すと、全てのファイルのチェックが外れる。上部の「トラックゲイン」欄をクリックして並べ替えて(見易く)、マイナスの符号が付いたものだけにチェックを入れる。
(+のゲイン補正をしてしまうと、ピークが1を越えてしまい、クリップしてしまうので、マイナスゲイン(93dBより大きい曲)だけ93dBに下げる)
5)「出力設定」で、あらかじめ作っておいた「temp3」を指定→「開始」
6) 「temp3」のフォルダに、93dBに減音補正されたFLACファイルが出来るので、それを元の「temp2」フォルダに上書き移動。これで「temp2」フォルダは、最大音量が93dB(しかしクリップする可能性のあるファイルは0.98まで)のFLACファイルが出来る。
*(確認)「temp2」フォルダを「xrecode II」にドラッグして、「リプレイゲイン」→「トラックゲイン分析」をクリックして、全てのトラックが「トラック・ピーク」が「1.00」を超えていないこと、「トラックゲイン」に「-」の付いたトラックが無い事を確認。
以上で、「temp2」にNAC-HD1のPCM音楽が、(音量93dBの)FLACファイルとして変換出来た。
あとはこれをHAP-Z1ESに転送するだけ。
★また、Winのエクスプローラは、FLACファイルをサポートしていないので、アルバム名やアーティスト名などが表示されなくて不便。
⇒「AudioShell 2.3.1」(ここ)をインストールしておくと、表示されるようになって便利。
*いやはや、Noriyukiさんから、ウォークマン経由でのPCM化を教えて頂いたので、効率的になっただけでなく、当然音質の劣化もない。
ちょっと作業が大変そうだが、慣れると短時間に出来る。
今日、NACの光出力(アナログ)経由で作った音源400曲余りを、上の方式で、NACのデジタル音源に入れ替えてしまった。
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コメント
お役に立てて何よりです。じつは昨日Z1ESが届きました。ワクワクしています。
【エムズの片割れより】
ありがとうございました。
そうですか・・・。Z1ESは自分が絶賛している機器ですが、さてさて・・・
★なお今日(2015/07/05)現在、SONYによると、HAP-Z1ESにファイルを転送すると、Gracenoteとの通信が出来ないため、「データベースの更新」が延々と続く現象が出ています。
投稿: Noriyuki | 2015年7月 5日 (日) 08:13
はじめまして。
ここにコメントするのが適当なのかよくわかりませんが、お許しください。
私はS54年生まれですが、エムズの片割れさんと同世代の両親の影響で、ずっと歌謡曲を聴いて(聴かされて)育ちました。
子守唄代わりに聴いていたので自分も自然と好きになり、いまだに昭和歌謡を聴く日々です。
おかげで同世代とは音楽の趣味がさっぱり会いませんが・・・。
舟木一夫を筆頭とする青春歌謡や伊東ゆかり、フランク永井、藤圭子、小柳ルミ子、GS、加山雄三などなどです。
数年前にCDデッキを修理しに行った量販店で偶然NAC-HD1を見つけて飛びつきました。
大げさかもしれませんが、衝撃的な出会いでした。
それ以降膨大な量のCD(レンタルも含む)や有線や古いレコード、ユーチューブなどから録音しまくり、いまでは17000曲ぐらいHDDに入っています。
マニアックな曲を見つけてはMDに録音して編集してCDを作成して親に聴かせたりもしています。
その中から気に入った曲をウォークマンに転送して、FMトランスミッターを使用して車で聴いています。
CDやMDだと1時間で一周してしまいますが、これのシャッフル演奏だとエンドレスで聴けるので最高です。
私はパソコンに疎いのでハイレゾなるものには無縁です。
安物の耳なので音質の違いもよくわかっていません。圧縮音源だらけですが・・・。
それはいいのですが、このNAC-HD1がそろそろ古くなってきて故障が心配になりました。
古くなると修理してもらえなくなるらしく、後継機も出ていないので壊れたらこの膨大な楽曲が死んでしまうのか、と思っていました。
バックアップは取ってありますがほかの機械では使えないというし。
コンポからX-アプリに送ってバックアップできないかと思って調べてみたり聞いてみたりしましたが出来ないらしく、途方に暮れていました。(絶対必要な曲だけはCDにしていましたが)
かなり前置きが長くなってしまいました。
ここからです。
そんな時にこのエムズの片割れさんのブログにたどり着き、この記事を読んで(ウォークマン経由でパソコンに取り込む方法)試してみたところ・・・
できました!
ありがとうございます。
感謝感謝です。
というわけでとりあえずはパソコンにデータが移ったので、コンポが壊れてもデータ全滅という最悪の実態は避けられましたが、やはり音楽はパソコンを使わずに聞きたいです。
そこで、いま販売されているHAP-S1が気になっています。
エムズの片割れさんはこの上級機をお持ちのようですが、パソコン(X-アプリ)から簡単に転送できますか?
この記事は何回も読みましたが、後半部文は難しすぎて理解できていません(苦笑)。
転送できて聴けさえすればファイル形式なぞは何でもいいのですが。
ものすごく長いうえにまとまりのない文章になって申し訳ありません。
まだこれを購入するかどうかも分かりませんが、また参考にさせていただきます。
ありがとうございました。
【エムズの片割れより】
少しでも参考になったとのこと、嬉しいですね。
NACのデータを移すのであれば、音質にこだわらなければ、MP3で、NACにつないだUSBメモリ経由でも、簡単に移せますよね。しかしそれではもったいない・・・。
やはり、NACからは、ウォークマンにPCMで移して、パソコンにWAVで保管すれば万全。
HAP-S1は、パソコンにつなぐと、単なる外部メモリとして認識しますので、普通のエクスプローラで、パソコンのWAVデータを転送してオシマイ。
その際は、X-アプリなどのツールは使いません。
何よりも、HAPは、スマホやタブレットからの操作が圧巻で、不満は一切ありません。その完成度は素晴らしいので、ぜひ一度試してみて下さい。
投稿: 広島のナツメロ好き | 2015年12月 6日 (日) 22:12
トラックゲインの分析の説明ですが、
4)分析が始まり、窓に「トラックゲイン」と「トラック・ピーク」が表示される。左下の「合計サイズ」左のチェックを外すと、全てのファイルのチェックが外れる。上部の「トラックゲイン」欄をクリックして並べ替えて(見易く)、マイナスの符号が付いたものだけにチェックを入れる。
(+のゲイン補正をしてしまうと、ピークが1を越えてしまい、クリップしてしまうので、マイナスゲイン(93dBより大きい曲)だけ93dBに下げる)
と書いてありますが、これ逆ですね。
プラスは、基準値のdB値に達する為に追加(プラス)するdB値です。この音声ファイルのdB値が、〝基準値より◯◯dB大きいですよ〟という意味ではありません。
なのでエンコードした場合、プラスの値は数値分レベルが上がり、マイナスの値は既に基準値より上回っている為、基準値のレベルまで下がります。
【エムズの片割れより】
理解は、DieMonsterDaiさんと同じなんですが・・・
投稿: DieMonsterDai | 2015年12月10日 (木) 12:20
読み返してみたら勘違いしてました!
お目汚し失礼しました!
【エムズの片割れより】
ああ良かった・・・
投稿: DieMonsterDai | 2015年12月11日 (金) 10:36