昼寝の効能・・・
今日のような休日の夕方、本を読んだりTVを見たりしていると、何とも眠い・・・。つい寝てしまうと、夜、寝付きが悪いのに・・・
先日の朝日新聞にこんな記事があった。
「(フロントランナー)久留米大学教授・内村直尚さん 昼寝を勧める睡眠伝道師
「強者も睡眠に気を使わないと力を発揮できない」
午後1時15分。昼休みを終えた生徒が教室へ戻ってくる。そろそろ、午後の授業がスタートかと思いきや、校内放送に意表を突かれた。「エネルギー充電のための午睡タイムに入ります」 照明を消し、ブラインドも閉じて。ほの暗い教室で生徒が次々に顔を机に伏せていく。流れてきたのはモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。やわらかなメロディーが心地いい。福岡県立明善高校(久留米市)で2005年から続く午睡の風景だ。
15分後、再び放送が。「日光を浴び、ストレッチを行い午後の授業に備えましょう」
顔を上げた生徒たちは、伸びをしたり、首を回したり。ぐっすり眠った人もいれば、目を閉じていただけの人もいるようだ。
明善高のほか、茨城、静岡の高校や愛媛、佐賀の中学でも、体調を整え学力向上も期待できる午睡の導入をアドバイスしてきた。生産性や効率アップを求める企業や学校などの講演依頼がやまず、全国各地で年に50回はこなす。
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自称、睡眠伝道師。
明善高が午睡について生徒にアンケートしたところ、「効果を実感」「必要だと思った」と答えた生徒が、それぞれ8割近くに達した。さらに、保健室の利用率の低下や部活動の成績向上など、学力外での効果も実証されたという。「数分の仮眠が大きな利益を生むのです」。長年の研究に裏打ちされた言葉だ。
福岡県小郡市の神職の家に生まれた。「医学の視点で人の心を学びたい」と、久留米大学医学部へ。神経精神医学を研究していたさなかの1981年に日本で初の専門の睡眠診療外来が設けられ、睡眠障害の診断・治療に関心がわいた。
本格的に関わりだしたのは、01年にハワイ沖で起きた実習船えひめ丸沈没事故の生存者の心のケアを担当してからだ。生存者には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状だけでなく、睡眠障害もあることに気づいた。以来、数々の社会的事件の被害者を診察。10年、精神疾患には睡眠が深く関わっていると指摘する論文を書いて、注目を浴びた。「睡眠療法で、100万人を超えるうつやその予備軍の病状を緩和できる」と訴える。日本睡眠学会理事を務め、代表的な睡眠薬の治験も担う。同学会理事長の伊藤洋・東京慈恵会医科大学教授は「精神疾患にまつわる睡眠研究で先駆的な人」と評する。
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人間は「体内時計」により、午前と午後の2~4時に眠気のピークを迎える。本来なら、この時間にしっかり眠って生活リズムを整えたいが、現代社会ではなかなか難しい。「あまり重要ではない会議は午後イチがお勧め」と笑う。
昨年3月に発表された経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本人の平均睡眠時間は7時間43分で26カ国(平均8時間19分)中、韓国に次いで2番目に短い。厳しい日本人の睡眠事情。だからこそ、思う。「生涯の4分の1は眠っている。快眠が4分の3を左右します。睡眠を制する者は、人生を制するのです」
――お昼寝って「子どもっぽい」と言われませんか。午睡の推進に反発は?
質問そのものが先入観で洗脳されていますね(笑)。
すでに、「大人の昼寝」を自然に実践している人たちはいます。例えば、大工やとび職など高所作業が伴う仕事の人。電車やトラックといった大型輸送機の操縦・運転者も。命の危険に直結する職場で働く人は、自身の体調を意識し、日中の休憩時間を確保しています。
車の長距離運転を思い出して下さい。眠くなったり疲れたりすると車を止めるはずです。技術系の職種やスポーツ選手もそう。自身のパフォーマンスを強く意識します。学校での午睡も同じ狙いです。睡眠不足などで疲れた脳を一休みさせて、午後からの集中力を高める。少し休むとスッキリした経験は誰にもあるでしょう。居眠りで先生が叱ったり、チョークを投げたりする時間がもったいない。
■「目覚めよ」
――睡眠についての講演では、スポーツにまつわる事例を取り上げています。
聞き手の心をつかみやすいからです。北京五輪で競泳の北島康介選手が前回大会に続き金メダルをとりました。北島さんでさえ、当時、決勝の時刻にあわせて半年前から時差を調整していたそうです。また、プロ野球で唯一の400勝を達成した金田正一さんは「夜の付き合いを避け、しっかり睡眠をとった。自分より才能豊かな選手はたくさんいたが、皆消えていった」と語っていました。強者でも睡眠に気を使い、誤ると力を発揮できないのです。
久留米大でも実践しています。医師国家試験の半年前から受験生の脳の覚醒を試験開始直前の朝9時に合わせる生活をしてもらいます。勝つための「戦略」です。
――睡眠障害による判断ミスが大惨事の原因になるともいわれます。
チェルノブイリ原発事故やスペースシャトル・チャレンジャー爆発事故、スリーマイル島原発事故の原因の一つに関係者の睡眠不足も挙げられています。1993年の米研究報告書では「Wake Up America」(目覚めよ、アメリカ)というスローガンを出したほどです。睡眠不足で生産性が低下します。経済損失につながって、日本では約3.5兆円に達するという報告もあります。睡眠をあなどってはいけません。
■仮眠を推奨
――快眠のためのアドバイスを。
起床時間を一定にし、早起きしましょう。朝の光を浴びると15時間後に眠気が現れ、就寝時間も規則正しくなります。朝の光と体内時計がリズムを生みます。
次は就寝前。寝る前に強い光を浴びると、睡眠ホルモンのメラトニンが抑制され、眠りにくくなります。深夜は明るい照明の店に行くことや、パソコン・携帯電話の使用も控えましょう。
時差ボケも要注意です。国内でも起こります。それは月曜日。週末が休みで寝だめする人がいますが、午前中は時差ボケ状態です。眠さやだるさは時差ボケと同じ仕組みです。
睡眠は単なる活動の停止ではありません。ヒトのような脳が進化した高等動物には「大脳の休息」。質のよい睡眠があって、脳は高い情報処理能力を発揮する。睡眠不足が続くと、血中アルコール濃度が0.1%のほろ酔い状態と同じです。
――学校での居眠りは?
よくウトウトしていましたね。当時は子どもが多い時代だったので、運よくチョークは他の友だちに飛んでいました。今、就寝は午前0時を過ぎますが、大学の医局には午前7時の一番乗りです。同僚や学生にコーヒーを入れるのが朝の日課。カフェインの効果で皆の脳を覚醒させます。講演などで移動が多いので、車中でよく仮眠しています。
――睡眠に対する意識は変わってきましたか。
厚生労働省は昨年、11年ぶりに「睡眠指針」を改訂、午後の早い時間での仮眠を推奨しています。うつなどの精神疾患が社会問題化し、国も本腰を入れ始めました。スペインには「シエスタ」という昼休憩の慣習があり、これを採り入れた日本企業もあります。量販店に快眠グッズが充実しているのは需要の表れです。
――今後の目標は。
昨年末、睡眠の専門家約10人と協賛企業などで「ボディクロック研究会」を発足させて睡眠の調整から作業効率をアップさせる方策を考え、一般向けに発信しています。インターネットでの睡眠診断なども実施しますが、課題は受け皿。睡眠や心の悩みに気軽に相談できる町の診療所はまだまだ少ない。地域で活躍する臨床家の育成にも力を入れていきたいですね。(文・写真 池田良)」(2015/06/13付「朝日新聞」b1より)
これはなかなか良い。昼休みにチョコッと昼寝をするだけで、午後の活動がどれほど引き締まるか・・・
眠気と聞くと、いつも高校時代の世界史の授業を思い出す。決まって世界史の時間になると、いつもウトウトしていた気がする。教科書には、ミミズの痕のような鉛筆のスジ・・・。ウトウトしながら、指先の鉛筆が教科書を這う・・・。それで、世界史の成績? 良い訳がない!!!
現役時代の30年間は、昼休みは55分だった。50分に予鈴が鳴った。昼寝という習慣はなかった。それから転勤しての約10年間は45分。そして現在の会社は1時間。
入社したとき、これは長い、と思った。それで皆、昼休みは昼寝をしている。
自分もなるべく、机に突っ伏して昼寝をする事にしている。
少しでも眠れたときの爽快感は格別。
だから、上の記事のような高校での昼寝は非常に有効だと思う。
そう言えば、世界では、昼寝の習慣がある国があったな・・・・と見てみると、「シエスタ(siesta)」という習慣があり、「スペイン語でお昼もしくはその時間の昼休憩(13:00~16:00が目安)を指す言葉である。」とwikiにある。
「ペルーでは通常お昼を大学や会社で取るという習慣はなく、午前中の授業や仕事が終わった後は家に帰り、家族と一緒に食事をするようです。
会社員は、お昼から2時間半くらい昼休みがあるので、家が近い人は昼食を食べに帰り、仮眠を取ったあと、再び職場に戻ります。」
「スペインの旧植民地であるアルゼンチンにもシエスタの習慣が存在する。アルゼンチンのシエスタの時間帯は、基本的に午後1時~午後4時である。仕事をするのは午前8時~午後0時と午後4時~午後8時が一般的である。」
これらは、その国の気候との関係が深く、快適に過ごすための文化・知恵なのだろう。
日本の昼寝とはちょっと違う・・・
しかし、自分も歳を取ってきて、睡眠について頭を悩ます事が多くなってきた。
この頃は、夜中に起きると、開き直って、トイレに行った後はヘッドホンで音楽を聞いたりしている。そして音楽がうるさく感じると、それは眠気のサイン・・・
同期の連中と夜中に起きる話をすると、皆、同じように起きると言う。還暦を過ぎた人で、朝までぐっすりと目覚めずに眠れる人がどの位いるのだろうか?
老人にとって睡眠は、何ともやっかな存在である。
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