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2015年6月20日 (土)

「ソフトバンク、アローラ氏に報酬165億円 孫氏後継候補」~会社は誰のものか?

今日は、会社は誰のものか、という話である。
今朝(2015/06/20)の各紙にこんな記事が載った。日経には、
ソフトバンク、アローラ氏に報酬165億円 孫氏後継候補
 ソフトバンクが昨年9月に米グーグルから招いたニケシュ・アローラ氏(47)に対し、2015年3月期に165億円余りの報酬を支払ったことが19日提出した有価証券報告書で分かった。アローラ氏は同日付で副社長に就任した。孫正義社長が「最重要の後継候補」と表明しており、破格の巨額報酬で迎え入れた。
 有価証券報告書によると、アローラ氏には総額165億5600万円の報酬が支払われた。こ150620softbank のうち株式による報酬が19億9500万円で、総額には入社に伴う契約金を含んでいる。孫社長の前期の役員報酬は1億3100万円で、これとは別に保有する自社株から100億円の配当を受け取った。
 米フォーブスの調べでは、米主要企業の経営者で13年に報酬が最も多かったオラクルのラリー・エリソン最高経営責任者(当時)ですら7840万ドル(約96億円)だった。国内では高額報酬で話題を呼んだ日産自動車のカルロス・ゴーン会長兼社長が9億9500万円(14年3月期)を受け取った。アローラ氏はこれらを大きく上回った。
 アローラ氏はインド出身。ドイツテレコムの携帯電話子会社Tモバイルの欧州部門幹部などを経て04年にグーグルに移った。同社の幹部時代に孫社長と出会った。インターネット事業などの議論を交わすなかで「人格や洞察力、情報革命への情熱にほれ込んで口説き落とした」(孫社長)。
 昨年9月のソフトバンクへ移籍後は、孫社長と二人三脚でアジアのネット企業への投資を加速してきた。今月3日に発表した韓国のネット通販大手フォワード・ベンチャーズへの10億ドル(約1230億円)の出資はアローラ氏が主導した。
 ソフトバンクが前期に株主に支払った配当の総額は475億円だった。アローラ氏が受け取った報酬はその約3分の1に当たる規模だ。
 ソフトバンクは利益の8割を国内通信事業で稼ぐ構造から脱し、海外展開を加速する方針。戦略を実行する上で、孫社長はアローラ氏を最も重要な後継者候補と宣言していた。同社が19日に都内で開いた定時株主総会で取締役に選任され、代表権を持つ副社長に就任した。」
(2015/06/20付「日経新聞」p3より)

あまりに突出した報酬の額にビックリ。
そう言えば、この後継者選びでは、社内で不満が出ていたな・・・と思って、前の記事を検索したら、こんな記事があった。

ソフトバンク、幹部一斉解任で社内に波紋&不満噴出 孫社長の暴挙か
 ソフトバンク内部が大揺れに揺れている。孫正義社長が自らの「後継者」として、米グーグル元最高事業責任者のニケシュ・アローラ氏を指名したことをめぐって波紋が広がっているのだ。
 特にソフトバンク社内では、孫氏を長年支えてきた経営幹部らが一斉に解任されたことについて、急速に不満が高まっている。孫氏にしてみれば、海外戦略を強化するための後継指名だったようだが、その意に反し、孫氏の求心力は一気に低下しているようである。
 孫氏がグーグルからスカウトしてきたインド人のアローラ氏は現在、持ち株会社であるソフトバンクグループの取締役会副議長を務めている。6月下旬に開かれる株主総会後の取締役会で代表取締役副社長に昇格し、名実ともに孫氏に次ぐナンバー2に就任するのは報道の通り。
 決算会見の席上、孫氏はアローラ氏を「有力な後継候補」と紹介し、「今後はグループの海外戦略を担当させる」と明言した。
 一方、グループ人事では、創業当時から孫氏を支えてきた宮内謙代表取締役副社長が取締役に降格し、海外事業を担当してきた後藤芳光氏と藤原和彦氏も、昨年就いたばかりの取締役から外れることになった。業界関係者は、このように指摘する。
「宮内氏はずっと黒子役を務めてきたから、トップになることはないだろうとは思っていたが、まだ若い後藤さんと藤原さんまで持ち株会社から追い出すとは驚くべき人事だ。いかに実力主義とはいえ、あんなドライすぎる人事をやられたら、生え抜き社員はやる気を失ってしまうだろう」
 しかも孫氏は、経営幹部を育成するための研修プログラムをまとめ、若手社員に経営トップとしての姿勢を教えてきた。その最中に、海外超大手企業からのスカウティング人事。
「生え抜きを育成すると口では言いながら、外部から幹部をスカウトしてくるのでは、生え抜きが活躍する場の可能性がなくなってしまう」(同)
 ソフトバンクは3年前に米通信大手のスプリントを約2兆円で買収するなど、海外事業の強化を急いでいる。最近では海外のインターネット関連企業の買収を積極的に進めており、その事業の中心にグーグルで経験を積んできたアローラ氏を充てる方針とみられる。
 そのアローラ氏は、インターネット業界では以前から有名人であり、ハリウッドスターらとの親交も深いという。
 会社の成長に向け、有能で派手な人脈を誇る外国人幹部をスカウトしてお披露目した孫氏だが、社内の評判は散々であり、「独善的な運営」(ソフトバンク中堅社員)との批判も出ている。」
(2015/06/09付(ここ)より)

そして5月の、後継者指名をした時の記事・・・
孫正義社長が事実上の後継者候補を指名 権力闘争に懸念と識者
 後継指名したのは、インド出身の外国人だった。今月11日の決算記者会見で、ソフトバンクの孫正義社長は7月1日付で社名を「ソフトバンクグループ」に変更すると発表。同時に昨秋、米グーグルから引き抜いたニケシュ・アローラ氏(47)を代表権のある副社長に抜擢する人事を明らかにした。
 孫社長は「最重要な後継候補」とアローラ氏を紹介。「私より10歳若く、能力も人格も素晴らしい」とベタ褒めした。アローラ氏とはどんな人物なのか。
 1968年、インド空軍で働く家に生まれたアローラ氏はインドの名門バナーラス・ヒンドゥー大学卒業後、奨学金を頼りに渡米。トイレと風呂場が1つしかない家を男5人でシェアしながら、苦学したという。99年に転職したドイツテレコムで頭角を現すことになるのだが、就職するまでに送った履歴書の数は400通を軽く超えたという。
 転機は04年のグーグル移籍だった。営業やマーケティングなどを統括する上級副社長にまで上り詰め、12年には5100万ドル(約60億円)の報酬を提示されたことで話題をさらった。
「昨年、アローラ氏はブラッド・ピットらハリウッドの大物俳優を招きイタリアで盛大な結婚式を挙げています、孫社長も出席しました」(関係者)
 果たしてアローラ氏は、後継者として成功するのか。ソフトバンクに詳しい経済ジャーナリストの真保紀一郎氏がこう言う。
「カリスマ創業者の孫社長がどんな人事をしても社内からの反発や異論は少ないと思います。軋轢が生じるとすれば、今は蜜月の孫社長とアローラ氏の関係が壊れた時です。スティーブ・ジョブズがアップルを追われた時のように権力闘争が起きないとも限りません。実際、孫社長は自分が慢性肝炎で闘病中の83年、野村証券出身の大森康彦氏を三顧の礼で社長に迎えいれましたが、治癒した直後に解任しました」
 孫社長は「まだ引退するつもりはない」と言い、交代時期も示していない。ユニクロの柳井会長兼社長も、後継指名した玉塚元一社長氏をわずか3年で“追放”している。アローラ氏がトップに就くまでに一悶着あるかも知れない。」
(2015/05/14付(ここ)より)

実は、自分が(半)現役時代、ソフトバンクモバイルの前のボーダフォン時代に、この会社とかなり蜜に仕事をしていた経験があるので、どうも気になるのである。
孫社長はソフトバンクの創業者であり、20%の大株主でもある。しかしこの人事は、日本人の感覚には相容れない。
言うまでもなく、会社は人の集まり。一人の力など微々たるもの。ソフトバンクに限らず、多くの人たちの努力によって、現在の会社がある。しかし、今までの功労者を切って、自分ひとりが惚れた人材を突然持ってきてトップに据える。これでは、会社のモチベーションはどうなるのか・・・。「やってられない」という声が聞こえるようだ。
しかも、165億円という、途方もない報酬(引き抜き額)。これらを20%の株主の意向一つで、決められるものか・・・。それに使うお金は、会社のお金である。
あまりに、会社を私物化しているように見えて仕方がない。

165億円は2014年の半年に支払われた額であり、今年度の報酬は分からない。幾ら今まで「12年には5100万ドル(約60億円)の報酬を提示されたことで話題をさらった。」人物でも、日本の企業風土で、社員全員が孫社長と同じようにアローラ氏に“惚れて”、それに見合う業績を出すかは分からない。
アローラ氏自身も大変だ。まあ世界担当だというので、部下に日本人は少ないのかも知れない。しかし、少なくても、自分が引き抜かれて入社したことで(成り行きでなく)、自分が得た報酬の数倍の業績アップにつなげ、「165億円の引き抜き料は安い買い物だった」と市場が評価するようでなければ、居場所が無くなる。

それに、もし上のような孫社長との軋轢で、去るような事態になると、消えた165億円は孫社長が弁償するのかな!?

乞われて挫折したトップが、枚挙に暇がないことは上の記事でも指摘されている。
姜尚中(カン サンジュン)氏が、聖学院大学の理事長に乞われて、2013年3月に東大教授の定年を3年残して退職し、翌2014年に5年の任期で聖学院大学学長になったが、“惚れた”理事長との軋轢で(?)この2015年3月に、たった1年で聖学院大学学長を辞任したのは、つい最近のニュース。

飼い犬に咬まれることなど、企業ではごくふつうの出来事。つまり自分で招聘してきた人物と不仲になる事など、良くある話。
上の記事での指摘も大いに有り得る。しかしその時の傷は深い・・・
しかもそれは、現場の社員と縁のない別世界で動く・・・

まあ自分はソフトバンクの社員でないので幸いだが、つい社員の心情を思ってしまう・・・。
ちなみに、我が家の携帯はdocomoとauだが、「softbankに変えることは永遠に無くなったな・・・」と感じた記事であった。

150620yabbe <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

孫は会社を私物化している。自分だけで会社は自由になると思う事は許されない>165億を払うなら自分の資産から払えば

【エムズの片割れより】
少なくともSB株は、公開されている株式。どうも私的な感じがして気になりますよね。
熱しやすいものは冷めやすい、と言います。どうなりますか・・・

投稿: 谷 | 2015年6月25日 (木) 16:37

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