人気企業に入れる確率は、難関大学よりも狭き門
先日の日経夕刊の記事。
「人気企業、今年なら入れる? 難関大学より狭き門 海老原嗣生
今年は好景気だから、新卒採用の求人が増えている。こんな話が就活生にも伝わり、気が緩みがちだ。
さらに、今年からは経団連に加盟する企業の個別面接の解禁が、8月へと大幅に後ろ倒しされた。今の時点では、人気大手企業の多くがまだ面接を行っていない。だから多くの就活生は現実の厳しさにまだ気づいていない。「今年なら、自分も人気企業に入れるのでは」と考えてしまっても、仕方のないことだろう。
そこで、現実に気づいてもらうために、少々厳しい話を書いておく。
人気企業にはどれくらいの人が採用されているのか。人気ランキング(日経新聞発表)100位以内の企業(以下「人気企業」)が総合職で新卒者を採用した数は、ここ15年間に限ると少ない年で約1万3000人、多い年だと約2万6000人になる。採用数の詳細を発表する企業(人気企業に限ると、毎年60社弱程度)の平均採用数を100倍して求めた推計数だ。
万を超える数値をいきなりだされても、多いのか少ないのか、入りやすいのか入りにくいのか、とっさには判断できないだろう。そこで2つのポイントを指摘しておく。
まず、好景気でも採用人数は不景気の2倍にしかなっていない。5倍や10倍になるわけではない。だからそれほど「広き門」にはならない。
続いて、一番多い年での採用数2万6000人がどの程度の難関なのかを示す。以下、おおよその数字となるが、大学1学年の入学者は60万人超で卒業者は55万人となる。人気企業の採用数は、5%に満たない規模だ。
もう少し実感のわく数字を出して比較しよう。世に言われる「超難関大学」に入るのと、人気企業に入るのはどちらが難しいかという比較だ。
超難関校は、東京大学・京都大学・大阪大学など旧7帝大と早稲田・慶応の2校とする。旧帝大の入学者は約2万2000人。早慶は約1万8000人。合計すると、これら超難関校にも、毎年4万人程度が入学していることになる。対して、人気企業の採用数は好景気でも3万人にも及ばない。
これでようやく現実が見えてきたのではないか。
好景気で今年は人気企業に手が届く、というのは現実離れした考えだ。早慶に入るよりもはるかに狭き門だと認識し、気を引き締めてほしい。
(雇用ジャーナリスト)
えびはら・つぐお 1964年生まれ。長年、雇用問題を追い続けてきた。著書に「なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?」(東洋経済新報社)など。」(2015/05/25付「日経新聞」夕刊p11より)
この記事のポイントは、
・人気企業(人気ランキング100位以内の企業)の最大の採用数は2万6000人。
・大学の卒業者は55万人なので、人気企業の採用数は5%に満たない。
・旧帝大の入学者は約2万2000人、早慶は約1万8000人。これら超難関校に、毎年4万人が入学している。
・つまり、人気企業に入るのは、早慶に入るよりもはるかに狭き門だ。
なかなか説得力のある説明だ。
昔、現役の頃、他の事業部の人を引っ張ろうとしたら、「東大出の**さんと2人パックならOK」という返事が来た。それで、東大出もパックで貰ったのだが、案の定、東大出とは言え、なかなかこの人の活用方法が難しく・・・
結局、人は卒業した学校では評価できない、ということ。
確かに、東大に入るだけの素質や努力は認めることが出来たとしても、それが企業で活用できるかどうかは、分からない。
ふと、1986年に放送されたNHK特集「課長はこうして選ばれる」を思い出した。富士通の課長昇進試験を追ったドキュメンタリーで、これが放送されてから、富士通への応募者が減ったというウワサも・・・
色々な会社で、昇進試験なるものがあるらしい。運良く(?)自分のいた会社ではそれが全く無かったが、だからと言って、問題があるとも思えなかった。
人材を生かすも殺すも企業風土次第。歴史のある大きな会社は、人材を見る人の目はたくさんある。よって、長い目で見れば、恣意的な見方は排除され、間違いは少ない。それが伝統なのだろう。
こんな記事を読むたびに、自分の世代はラッキーだったといつも思う。
たくさんお金を遣って、次世代に貢献せねば!?
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