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2015年5月19日 (火)

マイナンバー、どう考える?

最近、マイナンバーについての記事が多くなってきた。先日こんな記事があった。
マイナンバー、そんなに心配?
使いこなすのは国民自身 編集委員 大林尚
 4年前の初夏。仙台で聞いた奥山恵美子市長のひと言が耳に残っている。「共通番号があれば、どんなに助かったか」
 東日本大震災の発生から間もない市内は、沿岸部の爪痕が生々しかった。市長の念頭にあったのは、あの津波で一切合切が流されてしまった病院から、命からがら避難所に逃れてきた高齢の入院患者たちだ。
 避難所を回って被災者の健康管理にあたっていた医師からも、同じ訴えを聞いた。「慢性疾患をいくつも抱えたお年寄りは、薬の飲み合わせが大切なのに自分の薬の名前を覚えていない人が少なくない。先生、赤いカプセルでしたと言われても、カルテも処方箋もなければお手上げです」
 助かった命が再び危険にさらされる。共通番号からカルテをたぐり寄せられるようにしておけば、二次災害は防げたはずだ。
 この秋、日本に暮らす1億2700万人は、市区町村から12桁の番号を知らされる。一人ひとりに固有の社会保障・税共通番号だ。年明けには、この番号を記したICカードをもらう。費用は税金でまかなう。
 共通番号はまだ民主党が政権を握っていたときに制度を設計し、曲折を経て自民党なども賛成して成立した法律に基づく。菅政権がつけた愛称「マイナンバー」を使い続けることに安倍政権は難色を示したが、ほかにピッタリくる名も思い浮かばず、そのままにした。
 マイナンバーは何のためにつけるのか。
 番号からたぐり寄せられる医療情報は当面、予防注射やメタボリック健診の記録にとどめるようだ。被災地の訴えむなしく、肝心要のカルテや処方箋は番号とつながずに動き出す。
 カルテとの接続に反対する日弁連などの声を突き詰めると、こうなる。「最も機微にふれる情報を他人がのぞき見たり悪用したりするのを防ぎきれない」
 そうだろうか。番号制度の活用について世界最先端を走るバルト海沿岸の小国エストニアへ飛んだ。
150519mynumber 国是は番号制度を媒介にしたIT(情報技術)の革新で成長を促し、人びとの暮らしの質を高める「eエストニア」だ。インターネットを介したテレビ電話、スカイプはこの国で生まれた。イルヴェス大統領自らがITの権威である。
 首都はタリン。世界遺産になっている歴史地区の一角に建つビルに経済通信省が入っている。eエストニアの司令塔だ。国家情報システム局長アエト・ラヘさんが自らのICカードを読み取り機に差し込み、パソコンで実演してくれた。
 「まず税の申告。所得税の還付は5クリックで済みます。書類は使いません」
 前提になるのが税務署への情報提供だ。住宅融資の残高、娘さんのダンス教室の受講料など税額を決めるもとになる情報を税務署に知らせるのは、ラヘさんの許可を受けた銀行やダンス教室である。
 「私は税務署に届いた情報が正しいかどうかを確認してOKするだけ。還付額や追加納税額は自動計算され、それで終わりです」
 政府が用意したポータルサイトから個人の医療情報のページに入ると、処方された薬の一覧などが確認できる。教育、住宅・土地取引、会社設立の手続きも、このサイトが起点になる。2005年には選挙の電子投票が解禁された。スマートフォンでも操作できる。
 同国の電子手続きの普及率は、銀行取引99%▽所得税の申告95%▽国勢調査の回答66%▽国政選挙30%――。すべてのカギは一人がひとつ持つ番号だ。その番号は意外にも公開されている。番号それだけではただの番号にすぎず、カードと厳重なパスワードがそろわないと用を成さない。
 ラヘさんに疑問をぶつけてみた。「日本人はカルテとつなぐことへの危惧が強いのを、どう思いますか」
 再びパソコン実演。医療情報のページに載っているラヘさんのレントゲン写真を、どの病院の何科の医師や看護師がいつ、どんな目的で見たか、記録が残っていた。もし心当たりのない閲覧者を確認したときは、強い権限を持つ第三者機関に調査を申し出る。
 じつは日本政府が17年に開設する個人サイト、マイポータルは似た仕組みを持つ。マイナンバー関連の情報をどの役所がいつ、誰とやり取りしたかを番号の主に知らせる機能だ。だが内閣府の世論調査によると、この機能を知っている人は4%にも満たない。
 「紙のカルテはコピーや盗み見されても記録が残りませんよね。安心できるのは、どちらでしょうか」
 eエストニアは疾風迅雷だ。同国政府は昨年、外国人にエストニアへの電子居住を認めた。登録した外国人は海外に居ながら同国での起業が可能になった。
 まだある。つねに隣国ロシアの軍事脅威にさらされているエストニアは、万が一の事態に備え、データ大使館の構築を始めている。国土が侵略されても国家を維持するために政府機能を電子化して世界のサーバーに分散させ、いざというときは電子上で行政を執行する構想だ。ウクライナ危機を思うと、あながち取り越し苦労とも言い切れまい。
 大震災を経験した日本人も、危機はときに政府機能を麻痺(まひ)させると知った。なのにそのマイナンバー論を聞くにつけ、周回遅れの感を強くする。」(2015/05/11付「日経新聞」p4より)

情報の漏れが心配されているマイナンバー。でも、自分はメリットが大きいような気がする。

先日、カミさんがある役所に手続きをしたら、先日亡くなった義母の、既に出してある「除籍謄本」に加えて、「改製原戸籍」と「戸籍謄本」を持ってくるように言われた。
一人の戸籍だった義母は、もう戸籍謄本は取れずに、除籍謄本になるのでは?と思って、市役所の戸籍担当に問い合わせると、やはり戸籍に生きている人がいない場合は、戸籍は無くなって除籍謄本になると言う。それで、その旨、役所に連絡すると、「いや、戸籍謄本が取れるはず。事情を説明して取って下さい」とのこと。
板挟みになったので、市役所に事情を書いて、死んだ人の戸籍謄本を要求している役所の連絡先を書いて「何かあったら問い合わせて下さい」と郵送申請したら、何の説明もなく、戸籍謄本分の為替だけが戻ってきた。

そう、これが現実。同じ役所でありながら、要求する役所と、“それは無い”と拒否する役所。その板挟みに遭って、お金と時間を費やす我々市民・・・。
この例など、二つの役所通しで直接話をすれば簡単に解決できること。

そんな経験からも、「勝手にやって」と言えるマイナンバー制度は前進のような気がする。
もっとも、上の経験など、役所のワガママの回避策でしかないが・・・

でも、もしそれが実施されると、いつ誰が何の目的で、自分の情報を見たかをチェックするのが、老後の楽しみになるかも・・・ね。

150519annsinn<付録>「ボケて(bokete)」より

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