政府の戦争への道を止められるのは皇室?
今日の新聞は、昨日と今日、パラオを訪問している両陛下のニュースと、政府の集団的自衛権による自衛隊の活動範囲を世界に広げるニュースが同居していた。
「日米、機雷除去の地理条件撤廃へ ホルムズ海峡を想定
日米両政府は、今月末に18年ぶりに改定する「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)で、自衛隊による集団的自衛権を使った機雷除去を盛り込む方針を固めた。従来、日本周辺に限ってきた機雷除去の地理的な制限をなくすことで、安全保障法制が整備されれば、米国が強く求めていた中東・ホルムズ海峡での機雷除去が停戦前でも可能となる。・・・」(2015/04/09付「朝日新聞」ここより)
「南シナ海 監視分担に期待 米、指針改定にらみ日本に 自衛隊運用 課題多く
来日中のカーター米国防長官は8日、安倍晋三首相や中谷元・防衛相らと相次いで会談した。米国は南シナ海での岩礁埋め立てなど中国の軍事面での動きに懸念を強めており、国防長官は警戒監視などで日本の役割分担に期待をにじませた。実現すれば中国の海洋進出をけん制する効果は高いが、自衛隊の南シナ海への展開には運用面などで課題を抱えている。・・・
安倍首相は国防長官との会談で「安保法制や日米防衛協力の指針(ガイドライン)改定を進め、抑止力を高めたい」と強調した。「基本的価値を共有する日米の同盟強化は間違いなくアジア太平洋地域の平和と繁栄に資する」とも訴えた。国防長官は指針改定が「アジア地域や世界の平和と安定を保障する」と応じた。・・・中国は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島での大規模な埋め立てを進め、建造物や陸地を造成しており、領有権を争うフィリピンは軍事目的で利用するとの懸念を強めている。中国はベトナムに近い西沙(同パラセル)諸島でも埋め立てを拡大し滑走路を延伸するなど、軍事・行政拠点化を試みている。
自衛隊と米軍が緊密に連携している東シナ海に比べて南シナ海は「フィリピンなどの海上の防衛力が弱く、中国に付け入るすきを与えている」(防衛省幹部)。米国は国防費を削減しており、自衛隊が南シナ海で警戒監視などを担えば負担が軽くなる。
日本政府内には指針改定の後、米側が自衛隊への協力要請を強めてくるとの見方が多い。新指針では自衛隊と米軍が平時から情報収集や警戒監視で連携していく方針を打ち出す方向だからだ。
ただ自衛隊の運用面を考えると、簡単ではない。海域での警戒監視は海上自衛隊のP3CやP1などの哨戒機が主力になるが、航続距離はそれぞれ約6600キロメートル、約8千キロメートルにとどまる。日本の最南端にある海自那覇基地から南シナ海までは約2千キロメートル離れており「P3Cで南シナ海をみるのはきつい」(河野克俊統合幕僚長)という。
東シナ海や日本海での中国やロシアの動きは依然として活発な状況で、自衛隊の警戒監視部隊の主力を日本周辺に割かざるを得ない実情もある。海自幹部は「南シナ海にも範囲を広げれば、現場の負担はますます重くなる」と話す。日本が南シナ海の監視に乗り出せば、中国の反発も避けられない。」(2015/04/09付「日経新聞」p4より)
いやはや、日本は今後、何と!石油のルート確保のために、自衛隊を1万キロも遠い所に派遣するそうだ。戦争に巻き込まれることを覚悟して・・・。石油など、中東から買えなければ他から買えば良いのに・・・。これは方便以外の何ものでも無かろう・・・
そして、防衛費削減のアメリカに代わって、フィリピン、ベトナム、マレーシアと中国とで争っている南シナ海での警察行動も自衛隊がのこのこ出て行くのだそうだ。アメリカの要求によって・・・
憲法で、戦争を禁じている日本が、政府の一方的な思惑で、戦争への道がどんどんと既成事実化されていく。
それを敏感に、最も憂えているのは、実は皇室ではないかと最近思う。
両陛下の今回の一泊二日のパラオ訪問。「西太平洋戦没者の碑」の前で頭を垂れる両陛下。
言葉には出さなくても、その後ろ姿は、「戦争はダメ」と言っている。
先の皇太子のお言葉(ここ)といい、皇室は平和憲法の改変を心配されているのではないか・・・
今回のパラオ訪問では、宿泊は巡視船の中だという。そこまでして行かれた西太平洋への戦没者慰霊。
政治に口出しできない皇室の、国民を思っての“決死の行動”とも見て取れる。
安倍政権の戦争への道作りを止めたいと・・・
日本の子どもの6人に1人が食事も満足にとれない貧困だという。それを尻目に、何百億円ものお金をばらまきに、各国を自慢げに訪問する得意満面の首相の姿・・・。
そりゃ相手国は歓迎するわな・・・。たくさんのお金をくれるのなら、来た時くらいは大歓迎する。でもそれが終われば忘れてしまう。そんな軽い日本の首相なのに、その権力を誰も止められない・・・。
前にも書いたが、止められるのは、皇室しかない? いや、安倍政権はそんなこと、全然怖くない・・・??
それにしても、今日のニュースの対比・・・。高齢の両陛下が、そこまでして「戦争はダメ」と日本の世論を鼓舞している。国民に70年前の戦争の記憶を呼び戻し、首相の暴走を止めろ、と後ろ姿で言っている。
それを止められるのは、国民(選挙)しかいないから・・・。
自分は決して皇室大好き人間ではないが、老齢の両陛下がここまで体を張って戦争反対を唱えている。そんな姿をみると、なぜ国民が目を覚まさないのか、不思議である。
自衛隊に戦死者が出てから気が付いても、遅いのである。
| 0
コメント
いつも読ませていただいております。いままで、あまり、政治向きのことは殆ど話題にされなかったと記憶していますが、このところ結構頻繁に日本の行く末を憂えておられるようにおみうけします。まいにち2500人もの読者をお持ちのあなたが発言される内容は恐らく全読者の心に響いているものと確信します。しかしながら、早とちりになるかもしれませんが、今の政治に対して、首相に対して、何を求めて見えるのでしょうか?また、国民に対して何を期待して見えるのでしょうか?国民に対しては私のように、あなたの意見に賛同するこえですか?首相に対しては辞意の表明ですか?
わたしは、あなたに対して、今までどうり
素敵な音楽や文芸、教育、そしてあなた自身の
日常などをつづって行ってほしいと思います。
狂人のような独裁者など関わっている暇など無い筈です。子供の6人に一人が貧困?二人に一人でなくてよかった。そうおもいませんか。全員だったらどうしますか?子供のいない首相には、子供の貧困どころか、子供の未来さえ、考えたことなど無いでしょうね。
ペールギュントの組曲もですが、50年もまえのことですが、高校生のころから大好きで、今でもよく聞いています。まだほかにも、いくつもそういった曲があります。同じ曲を気に入ったという人と知り合うことは、この上ない喜びでもあります。
おりにふれて、また素敵な曲を、アップしていただけたらと期待しております。
日頃の感謝の意を込めて、一言申し上げさせていただきました。
失礼をお許しください。
【エムズの片割れより】
ご指摘ありがとうございます。確かにそうなんですが、ね・・・
世の中、色々と憂えることが多くなり、政治的なことは避ける、という当初のポリシーも、どこかに行ってしまいました。トホホ・・・
投稿: 田舎爺 | 2015年4月11日 (土) 23:46
同感です。両陛下のお姿に同じ思いを痛感いたしました。
公正な報道が脅かされつつあることの恐ろしさをも感じています。
国民は早く目を覚まさないと、尊い犠牲の上に70年先人たちが守ってきたこの平和が維持できないのではと心配です。
投稿: 平和が一番 | 2015年4月13日 (月) 21:17