梓みちよの「リンデンバウムの歌」
最近、こんな静かな歌が流れない。たまに聞くと、しみじみとする。
<梓みちよの「リンデンバウムの歌」>
「リンデンバウムの歌」
作詞:岩谷時子
作曲:山本直純リンデンバウムの大きな幹に
愛の言葉を彫ってきた
リンデンバウムのみどりの木陰
勿忘草(わすれなぐさ)が咲いていた
牧笛(つのぶえ)がわたる夕べの空
ふたりの愛の星がのぼってくる
私の好きな 好きなひと
私の甘いくちづけ あなただけにリンデンバウムの繁みのなかで
森の泉がわいていた
リンデンバウムに夜がくるとき
夜鶯(ナイチンゲール)がないていた
ともしびがゆれる水のほとり
たのしい恋の歌が聞こえてくる
私の好きな 好きなひと
私の甘いくちづけ あなただけにリンデンバウムの月のあかりに
いつもあなたを待っていた
リンデンバウムは 私のほほに
つたう涙を知っていた
森かげに憩う旅人たち
なつかしい故里を夢みてる
私の好きな 好きなひと
私の甘いくちづけ あなただけに
この歌は、昭和39年(1964年)10月の発売だというから古い。もう半世紀も前の歌。でも決して、古臭くない。
ところで、「リンデンバウム」ってどんな花?とNetで探すと、本名は「セイヨウシナノキ」で別名を「リンデンバウム」と言うらしい。
またシューベルトの歌曲『菩提樹』(歌曲集『冬の旅』)で有名だというので、Netで見たら、この「菩提樹」の原題は「Der Lindenbaum」・・・。ん? 「リンデンバウム」=「菩提樹」??
(ここ)によると、
「リンデ(和名:セイヨウボダイジュ=シナノキ科)は、釈迦がその下で悟りを開いた木、いわゆる菩提樹(和名:インドボダイジュ=クワ科)とは無縁の植物であり、ドイツでは仏教とは無関係に古代ゲルマン時代から親しまれてきた木である。」
「リンデLinde
Lindenbaum(リンデンバウム=リンデの木)も同じ。その名は樹皮がしなやかであることに由来するという。和名:セイヨウボダイジュ(洋種菩提樹とも)。
冷温帯である欧州中部から南部の一帯にわたって分布するシナノキ科の落葉高木で、日本で菩提樹と呼ばれる中国原産の樹木の近縁種。本来の菩提樹であるインドボダイジュとは全く異なる植物だが、その背景には、仏教がインドから中国にもたらされたとき、聖木のインドボダイジュ(クワ科)が熱帯植物なので、気温の低い中国では育たないための代用として、葉の形がやや似たシナノキ科の樹木が植えられて菩提樹と称され、さらにそれが臨済宗の僧、栄西により1168年に日本にもたらされたという経緯がある。
英名はLime tree(ライムの木)だが、もちろんライムでも柑橘類でもなく(ドイツもイギリスも柑橘類の北限以北)Linde treeが訛ったものであるらしい。よくよく名前を間違えられる木のようです。米名はLinden(リンデン)。」
この歌詞の「リンデンバウム」は、仏教の「菩提樹」ではないな。「ドイツでは古くから愛の象徴」だという「セイヨウボダイジュ」だな・・・
ともあれ、何とも優しい癒される歌ではある。
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コメント
『こんにちは赤ちゃん』に続く梓みちよのヒット曲でしたが、『こんにちは赤ちゃん』が余りにビッグヒットだったので、やや忘れられ気味という感じもありますね。
ジャケットには《音楽劇「若きハイデルベルヒ」主題歌》なんて書かれていて、ミュージカルではなくて音楽劇という所に時代を感じますね。
菩提樹と呼ばれる木は三種類あるんですね。私が小学生の頃『菩提樹』というドイツ映画が有りましたが、あの菩提樹はセイヨウシナノキのようですね。ただ『菩提樹』という題は日本で付けたもので原題は『トラップ一家』、つまり『サウンド・オブ・ミュージック』の元になった映画ですね。
【エムズの片割れより】
自分も「菩提樹」という映画を見ましたが、内容は「サウンド・オブ・ミュージック」と同じですね。
前にウィーンに行ったとき、「サウンド・・」の映画に使われた場所にいくつか行きました。
投稿: 片島諒 | 2015年4月30日 (木) 14:07
映画「菩提樹」の原題が「トラップ一家」というのは片島諒さんのおっしゃる通りなんですが、邦題の「菩提樹」がどこから来ているかというと、たぶんこの映画の最後の場面ではないでしょうか?アメリカに着いたトラップ一家は、引受人として当てにしていたアメリカの芸能プロダクションの社長がなかなか引受人になることを渋って、OKを出さないためにニューヨークの移民・入出国管理局で足止めを食っていたとき、トラップ一家はシューベルトの「菩提樹」を合唱するのです。この美しい歌声を聴いて感動したプロダクション社長は引き受人になることを承諾し、一家は6が月の一時滞在を認められるのです。映画「サウンド・オブ・ミュージック」との違いは細かいところはたくさんありますが、大きな違いは「菩提樹」の続きである「続菩提樹」で、一家がアメリカでトラップ・ファミリー・シンガーズとして成功するまでが描かれていることでしょう。なお、「続菩提樹」の原題は「アメリカのトラップ一家」です。
映画「菩提樹」の最後のところで一家がシューベルト「菩提樹」を合唱する感動的場面はYouTubeにもアップされていますので、リンク先(↓)を示しておきますから、興味ある方はアクセスしてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=6vkg3HEXLx8
【エムズの片割れより】
Youtubeを見ました。昔、自分も見たはずですが、よく覚えていませんでした。
最近まで、この家族の一人が生きていて、テレビの番組で紹介されていた記憶があります・・。たぶん・・。この話は実話ですよね。
投稿: KeiichiKoda | 2015年5月 2日 (土) 17:10
YouTubeで以前に実際のトラップファミリーが
歌っている映像を見ましたが、私が見た映像では歌っていたのは『菩提樹』では無かったので別の映像があるんですね。
私の高校時代の同級生に谷口由美子という人がいて(谷口さんのwikipediaには山梨県出身とありますが高校時代は東京に住んでました。また谷口は旧姓で今の本名は違いますが仕事の上では旧姓を使っているようです)、彼女は小学生の時に見た『菩提樹』に感動してトラップファミリーに会いたいとの思いから小学生の時から英語を学び、英米児童文学翻訳者となり、トラップファミリーを訪ねて行って親交を結び特に母マリア(確か次女の名もマリア)さんからは信頼されたようでトラップファミリーについての本も書いていますね。
投稿: 片島諒 | 2015年5月 5日 (火) 21:47
片島様
上で示したURLを青く塗りつぶしたら、それを右クリックし、「すべてのアクセラレータ」があらわれるので、それを選ぶと、「Googleで検索」という項目が出てくるので、それをクリックすると、German-YouTube(上のURLがついた)があらわれます。それをクリックしていただくと、「7-The Original Sound of Music with English Subtitles (Die Trapp Familie-German)」という題のYoutubeが現われます。この映像の右側には、「菩提樹」「続菩提樹」のほかのYouTubeの映像がたくさん集められています。私の説明はブラウザがInternet Exploreの場合の操作の説明で、スマホやタブレットを使われている場合には別の操作が必要でしょう。
昨年2月に99歳で亡くなったトラップ・ファミリー・シンガーズの最後の生き残りマリア(トラップ家の次女、菩提樹やサウンド・オブ・ミュージックの主人公である義母のマリアと同じ名前)については以下のNYTimesの記事が詳しいので参照ください。
http://www.nytimes.com/2014/02/24/arts/maria-von-trapp-sound-of-music-daughter-dies-at-99.html?_r=1
「菩提樹」「続菩提樹」は数年前にNHKBSプレミアムで再放送されて、名前だけは知っていたこの映画をはじめて見ました(BDに録画もしてあります。)トラップ・ファミリー・シンガーズの最後の生き残りであるマリアが出演する、NHKBSの番組、「その後のサウンド・オブ・ミュージック」を見たことがありますし、歌手のペギー葉山がこのマリアを訪ねた番組も見たことがあります。トラップ・ファミリー・シンガーズの最後の生き残りが亡くなったといっても、トラップ大佐とマリア(義母のほうのマリア)の間には3人の子供が後に生まれているので、その人たちはまだ健在です。
【エムズの片割れより】
いやいや奥が深い・・・・。よくご存じで・・・
投稿: KeiichiKoda | 2015年5月 6日 (水) 09:17