集団的自衛権記述~教科書までが追従?
先日の朝日新聞にこんな記事があった。
「集団的自衛権記述、公民教科書が訂正 10社、大半「閣議決定」の事実のみ
中学と高校の公民教科書にある「集団的自衛権」の記述をめぐり、教科書会社10社が昨年8~12月に訂正を申請し、文部科学省が認めた。いずれも昨年7月に政府が憲法解釈を変える閣議決定をしたことを受けた措置で、4月から使われる教科書に反映される。
訂正されたのは、「集団的自衛権」の記述があった11社の23点のうち、10社の22点。内訳は中学公民2点、高校現代社会12点、政治・経済8点だった。
中学公民のうちシェアの大きい日本文教出版は昨年8月に申請。「政府が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権までも認めることにならないか、という疑問も示されています」との記述を「2014年に、政府はこれまで許されないとしてきた集団的自衛権の行使を限定的に認める憲法解釈の方針を示した閣議決定を行いました」と訂正した。担当者は訂正理由について「実際の状況が記述と異なるので、ルールに沿って訂正した」と話した。高校の現代社会と政経でシェアの大きい東京書籍も昨年10月、「憲法の下で行使は禁止」の表現に「政府は行使容認を閣議決定した」などと追加。担当者は世論の反応などを説明しなかった理由について「限られたスペースで記述を見直したため」としている。
22点の訂正のうち、「日本をとりまく安全保障の変化に対応するため」などと背景まで説明したのは3点にとどまった。
一方、育鵬社は中学公民で「『行使することができる』と解釈を変えるべきだという主張もあります」との記述があるが、訂正しなかった。担当者は「まだ閣議決定の段階で、正式に法案として整備されたわけではないことを含めて当社として判断した」と話す。
文科省によると、訂正は客観的事情の変更があった場合などに教科書会社が申請する。例年、数千件の申請があり、事実関係が確認できれば承認されるという。(高浜行人)
■バランス欠く恐れ
日本教育法学会理事の浪本勝年・元立正大教授(教育政策)の話
事情が変われば教科書会社の判断で修正するのも当然だ。ただ、集団的自衛権の行使容認には憲法学者などから多くの批判があり、国会の法案審議もこれからのことだ。小幅な記述変更にとどまりやすい訂正ではそうした事情までは書けないため、政府の立場のみを書いた一面的な記述になりがちだ。政府が決めたのだから正しい、という印象を中高生に与えかねず、結果としてバランスを欠き、健全な批判力の養成につながらない記述になっているのではないか。」(2015/02/14付「朝日新聞」p34より)
先にNHK会長の発言で、実際に指示を出していなくても現場が萎縮するのでは?という懸念を書いた(ここ)。
この教科書問題もおなじように見える。
広辞苑で「そんたく」を見るとこうある。
「そん‐たく【忖度】(「忖」も「度」も、はかる意) 他人の心中をおしはかること。推察。「相手の気持を―する」」
日本は今、国中が「忖度(そんたく)」という言葉で覆い尽くされているようだ。
テレビ局や新聞、はてまた教科書会社までもが、安倍政権の顔色をうかがい、それに追従している・・・。これは怖ろしいこと・・・。元気なのは、週刊紙くらいか・・・
こんな時代は、少なくても戦後は無かった・・・
教科書の記述がどれほど子どもたちに影響を与えるかは知らない。しかし、子どもたちにとって、教科書の記述は絶対の真実に映る。子ども達は「正しいこと」と受け止めてしまう。そして国外でもそれは「日本の基本的な考え方」と受け止める。
単なる「閣議決定」という民意からかけ離れたところでの動きだけで、営々と築いてきた日本の歴史がどんどん既成事実化して書き換えられてしまう。子どもの心にまで・・・
「しかし」・・・だ。
昨日の朝日新聞にこんな世論調査結果が載っていた。
「内閣支持率上昇50% 70年談話「おわび必要」52% 朝日新聞社世論調査
朝日新聞社が14、15の両日実施した全国世論調査(電話)で、安倍内閣の支持率は50%(1月17、18日実施の前回調査42%)と上昇した。不支持率は31%(同37%)。中東の過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件への政府対応については、「評価する」50%が「評価しない」29%を上回った。 安倍内閣の支持率が50%になるのは、2014年3月以来。日本人人質事件に対する政府の対応を「評価する」と答えた層の70%が安倍内閣を支持しており、支持率上昇に影響したものとみられる。
無党派層では政府の対応を「評価する」39%、「評価しない」34%だった。
「イスラム国」による日本人を標的にしたテロ事件が今後も起きる不安については、「大いに」「ある程度」を合わせた「感じる」が86%。「あまり」「まったく」を合わせた「感じない」は13%だった。人質事件のあとも、「イスラム国」対策の難民支援や食糧援助を続けるとした首相の方針には「賛成」が72%、「反対」が14%だった。
政府が今年発表する予定の戦後70年談話について、戦後50年と60年の談話に入っていた「植民地支配と侵略」「痛切な反省」「心からのおわび」という言葉を「入れるべきだ」は52%で「その必要はない」の31%を上回った。安倍内閣支持層でも「入れるべきだ」50%、「その必要はない」35%だった。」(2015/02/17付「朝日新聞」p3より)
「イスラム国」による日本人人質事件への政府対応については、「評価する」50%が「評価しない」29%を上回った。」、そして「人質事件のあとも、「イスラム国」対策の難民支援や食糧援助を続けるとした首相の方針には「賛成」が72%、「反対」が14%だった。」とすると、「I am not Abe」「We are not Abe」(ここ)と言う日本人は、29%または14%なのか・・・
「イスラム国」への対応の先に待っている「日本の参戦」。
日本人の過半数は、それを心配していないらしい・・・
着々と「戦争の出来る国」へ突き進む政権の動きと、その動きに無頓着の日本人の現実。
「ダメだこりゃ!」で済む話でもない。
いったいどうなってしまったのだろう! 今の日本は・・・!
| 0
コメント