心配なNHK会長の資質~NHK受信料の保留へ?
先日の朝日新聞の社説にこんなのがあった。
「NHK会長 ― 向き合う先は視聴者だ
NHKの籾井(もみい)勝人会長が、おととい(2015/02/05)の記者会見で、公共放送のトップとして、また見過ごすことのできない発言をした。
戦後70年で「従軍慰安婦問題」を取り上げる可能性を問われ、こう答えたのだ。
「正式に政府のスタンスというのがよくまだ見えない。そういう意味において、いま取り上げて我々が放送するのが妥当かどうか、慎重に考えなければいけない。夏にかけてどういう政府のきちっとした方針が分かるのか、このへんがポイントだろう」
まるで、NHKの番組の内容や、放送に関する判断を「政府の方針」が左右するかのような言い方だ。
就任会見で「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」と発言し、批判を招いて1年余。籾井会長は相変わらず、NHKとはどういうものか理解していないように見える。
当たり前のことだが、NHKは政府の広報機関ではない。視聴者の受信料で運営する公共放送だ。
公共放送は、政府と一定の距離を置いているからこそ、権力をチェックする報道機関としての役割を果たすことができる。番組に多様な考え方を反映させて、より良い社会を作ることに貢献できる。そして、政府見解の代弁者でないからこそ、放送局として国内外で信頼を得ることができるのだ。
政府の立場がどうであれ、社会には多様な考え方がある。公共放送は、そうした広がりのある、大きな社会のためにある。だからみんなで受信料を負担し、支えているのだ。
公共放送が顔を向けるべきは政府ではない。視聴者だ。
NHKがよって立つこの基盤が、籾井会長には、まだ分からないのだろうか。この1年の間、繰り返し指摘されてきたことだ。もはや失言や理解不足というレベルではない。
多くのNHK職員らは、視聴者のために、より良い番組作りを目指しているはずだ。そこには様々な考え方や意見が反映されなければならない。
政府に寄り添うような考えを公言する会長のもとで、現場が息苦しくなったり、番組内容が過度に抑制されたりしていないか、心配だ。こういう懸念が生まれること自体が、NHKの価値を大きく損なっている。
この事態を招いた籾井氏には重い責任がある。会長としての資質をめぐる疑問は深い。経営委員会は、近く一部の委員が交代する予定だ。新体制で、厳しく向き合ってもらいたい。」(2015/02/07付「朝日新聞」社説より)
数十年の間、自分が「良識の府」として信頼してきたNHKは、安倍首相が送り込んだNHK会長の上記のようなスタンスで、その輝きを急速に失った。
そして少なくとも自分は、どんな番組でも、つい、陰に“政府広報機関としてのNHK”を感じてしまう。
上でも言っているように、政府の広報機関なら諦めも付くが、我々の銀行口座から引き落とされている受信料というお金によって運営される報道機関が、政権から送り込まれた会長の「鶴の一声」で様変わりするとしたら、我々視聴者は、営々とNHKの歴史を築いてきたNHKの諸先輩と共に、嘆く他はない。
籾井会長が、現場にどんな指示を出しているか、もうそんな事は関係無い。公式な記者会見で、「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」「正式に政府のスタンスというのがよくまだ見えない。」という発言をする事で充分だ。
この発言を聞いて、NHKの現場が「会長とのトラブルを避けて、会長の意向を汲んで動く」であろうことは、想像に難くない。いや、もし自分でも、「サラリーマン的事なかれ主義」で、あえてヤバイことに足を突っ込むことはしないだろう。誰もが、保身のために身を縮め、言葉を選ぶ。政権(会長)から文句を言われないように、身を潜める。“出る杭”にはならない・・・。何ともやりきれない・・・
話は飛んで、また人質事件の国の対応の話だが、“戦争を語り継ぐ第一世代”である94歳の「no more war 池田幸一」氏の言葉(ここ)が、今更ながら沁みる・・・
「・・・衆参両院は山本太郎議員を除いて一人の反対も無く「イスラム国」を非難する決議を採択し、我が国は坂道を転がり落ちるように対テロ戦争に突入致しました。アメリカを軸とする有志連合(国際社会ではありません)に味方して、「イスラム国」征伐に手を貸そうというのです。安倍政権のみならず立法府までもが戦争に賛成し、これに伴うデメリットの一切を敢えて受けようというのです。
なるほど彼らのやり方は悪魔の所業であって、とても許せるものではありません。しかし、だからと云って我が国が〝戦争状態に入れり”で良いのでしょうか?いま第一に考えるべきは、如何にしてテロの魔の手から免れるか、この一点ではないでしょうか。卑怯と蔑まれてもよし、バカと罵られても結構、いまこれを言うのは身に危険を感じますが、何処から考えても安倍総理のやり方は愚かであり、私は間違っていると思うのです。
凡そ一国の宰相たる者は、亡くなった菅原文太さんではありませんが〝国民に腹一杯飯を食わせ、危害から身を守ること”を第一に心掛けるべきではありませんか。最小の費えで最大の安全を確保する政治力、それが今回は全くあべこべで、飛んで火に入ってわざわざ国難を呼び込む愚かさ、中国も韓国も敵視されないアジアに於いて、なぜ我が国だけがテロの恐怖に慄かなければならならいのか。全ては総理のスタンドプレーによる悲劇であり、このようなリーダーを持った不運を嘆くべきか、私が許し難いのは総理の“テロには屈しない”に添えて〝人命第一”を唱えた声明です。
・・・
それにしても不思議でならないのが共産党の態度です。ひと言も文句を付けずにテロの非難決議に加わったのはどういうわけか。なるほど「イスラム国」は非難に値するとは云え、安倍内閣共々にアメリカの手先になって「イスラム国」征伐に参加せよとは、怒れる国民感情に逆らっては損だとの打算が政府追及の矛先を鈍らせたのか、絶好のチャンスです、どうして安倍政権の暴走を食い止め、内閣打倒の先頭に立たないのか?
・・・
・・・とても淡白な日本人の手に負える争いではありません。
それであるなら、ややこしい中東には手を触れず、厳正中立のスタンスに立って淡白に考えればどうか。即ち敗戦時に誓った〝二度と戦争はしない、してはいけない”の原点へ戻ればよいのであって、それには憲法が命綱、バカにされようが卑怯だと云われようが、これを唱えて平和教に徹底することです。安倍総理の失敗で生じた傷跡を癒すにはこれしか有りません。・・・」(ここより)
なぜこうも、日本はバカな国になってしまったのか・・・。顔がキライだった老政治家・小沢一郎氏の意見(ここ)の方が、よっぽどまともだ。
池田氏が指摘するまでもなく、反自民で国民が期待した共産党でさえこの体たらく。こうなっては、政治家に任せられない。国民自身が動き出さねば・・・
まずは政権から送り込まれたNHK会長や委員が居なくなるまで、NHK受信料の支払を保留しようかな・・・。
(2015/02/10追)
「「NHK籾井会長、即刻辞任を」 ジャーナリスト団体
日本ジャーナリスト会議(JCJ)と市民団体「放送を語る会」は10日、NHKの籾井勝人会長が定例記者会見で戦後70年にあたり従軍慰安婦を番組で取り上げるかどうかについて、「正式に政府のスタンスがよくまだ見えない。慎重に考えなければ」などと話したことを受け、政府の方針に従って番組を制作することを表明したにほかならないとして、即刻辞任を強く求める要望書を同局に出した。
要望書では、NHKが政府から独立した放送機関であることや、放送法に不偏不党や番組が何人からも干渉、規律されることがないと定められていることを明記したうえで、「政権党の意に従うと宣言したに等しい」としている。2団体は同日、NHK経営委員会にも籾井会長の罷免(ひめん)を求める要望書を提出する方針。」(2015/02/10付「朝日新聞」ここより)
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コメント
「まずは政権から送り込まれたNHK会長や委員が居なくなるまで、NHK受信料の支払を保留しようかな・・・」とのこと。
私は、かってエビジョンイルが権勢をふるっていたころNHKに絶望し、その後、地デジになり従来のアナログ受信機では受信できなくなったのを機に受信契約を解除しました。ラジオ、ネット、新聞が有れば何も困ることはありません。
【エムズの片割れより】
運動として盛り上がれば、少しはNHKも認識するかも・・・
投稿: NHKなんか不要 | 2015年2月10日 (火) 15:24