« 戦後70年間戦争をしなかった国は8カ国 | トップページ | 学校給食と子どもの貧困 »

2015年1月26日 (月)

「テレビの力」~NHKの報道姿勢

先日、日経新聞にこんな記事があった。
テレビの力 今野 敏
 普段は、あまりテレビを観(み)ない。いつ頃からそうなったのか、記憶が定かではないが、おそらくここ二十年くらいは、ほとんどテレビの前で過ごすことがなくなった。
 とはいえ、まったく見ないわけではなく、朝起きたときは(とはいってもかなり昼近くになってからなのだが)情報番組などを眺めている。たまに自宅で夕食をとるときは、NHKのニュースなどをかけている。
 毎週水曜日の夜は、空手の指導日で、そのまま道場生と飲みに出かける。隔週の火曜日は棒術の指導で、やはり飲みに行く。月に一回、日曜日に棒術の集中稽古があり、その日もたいてい飲みに行く。
 推理作家協会代表理事として、各出版社のパーティーにも出席する。編集者との打ち合わせと称して飲みにでかけることもある。
 それやこれやで、毎月スケジュールを眺めると、夜はほとんど自宅にいない、ということになってしまう。
 たまに、夜を自宅で過ごすことができると、本当にほっとする。それは貴重な時間だ。そういうときに何をしているかというと、海外ドラマのDVDなどをレンタルしてきて、まとめて観る。そういうわけで、テレビ番組をゆっくり視聴する環境にないことは確かだ。
 年末年始は、北海道の実家に帰り、それなりに時間があったので、ずいぶんとテレビを観た。
 そして、やっぱり退屈してしまった。どのチャンネルも似たような顔ぶれで、似たようなことをやっている。もう、お笑い芸人の顔を見るだけでうんざりという気分だった。
 別に芸人さんたちの責任ではあるまい。それを使う側の問題なのだと思う。どんなにおもしろい芸人さんでも、毎日毎日テレビに出ていると、観るほうも飽きるし、出演するほうにも緊張感がなくなるのは当然だろう。そして、楽屋落ちというか、視聴者には関係ない出演者の個人的な話題があまりに多いと感じた。
 いつだったか、大江健三郎さんが、テレビに出る芸人は、反射神経でしゃべっている。会話というのは、もっと思慮深くあるべきだ、という趣旨のことを言われていたことがあり、いたく納得したことがある。
 ドラマにしても、「本気で作ってるのか」と疑いたくなるものが多い。いろいろ事情があるのだろうから、無前提に批判はしたくないが、観る気が起きないのはいたしかたないだろう。
 子供の頃は、テレビに釘(くぎ)付けだった。兄弟で必死にチャンネル争いをしたものだ。あの頃と今は何が変わったのだろう。
 おそらく、観る側も作る側も変わってしまったのだと思う。環境も大きく変わった。かつては、テレビは茶の間の中心だった。家族はテレビを観るために茶の間に集まった。
 作り手は茶の間に送るべく番組を作ればよかった。今はそういう時代ではない。作り手もたいへんなのだと思う。
 とはいえ、今でもテレビの力は大きいと感じる。テレビに出ている人が有名人、という図式は今も昔も変わらない。報道機関としてのテレビの影響力は大きい。主に世論を形成するのはいまだにインターネットよりもテレビなのだ。昨今は、テレビがその力を持て余しているような気がしてならない。(作家)」(2015/01/14付「日経新聞」夕刊p7より)

自分はホンモノのテレビ好き人間。
でも見ると言っても、ほとんどがNHK。民放のお笑い番組は大キライ。特に、タメ口のようなヘンな節を付けた言い方をする男声アナウンサーには辟易・・・。
そんな自分だが、最近、傾向が変わってきたように思う。つまりニュースなど、NHK一辺倒だったのが、民放のニュースも見るようになってきた。
NHK会長が首相のご指名で送り込まれた影響かどうかは分からないが、NHKニュースを見るときに、疑りの目で見るようになってきてしまった。NHKのニュースは、何かフィルターが掛かっているような・・・。
例えば、今起こっているイスラム国の人質事件の2度目の声明で、安倍首相を名指しで言っている部分。
「Abe, you killed Haruna. You did not take the threats of my captors seriously and you did not act within the 72 hours.」
この部分が、どう報道されているのか、タイムシフトVTRで各局をチェックしてみた。すると、在京民放4局(除TV東京)のニュースでは、イスラム国の声明がそのまま字幕付きで全文堂々と報道されていた。
しかし、NHKでは要約のみの報道で、上の部分の報道は無い。

NHKニュース「これは私とともに拘束された湯川さんが殺害された写真だ」「(無し)」「妻よ愛している。2人の子どもに会いたい」
日テレ(NNN)「安倍 お前が遥菜を殺したのだ」(英語の音声付き)
TBS(JNN)「遥菜さんを殺したのは安倍(首相)あなただ。2人の娘と妻に会いたい」
フジ「安倍首相 あなたがハルナ(湯川遥菜さん)を殺した」
TV朝日「安倍首相 あなたがハルナを殺したのです」

これらは局の方針なのだろう。しかし視聴者から見ると、まず「事実」を知りたい。“メディアの意志”の入っていない事実を・・・
それがどうもNHKではムリになってきた様子なのである・・・

読売新聞始め、新聞各紙が「安倍(首相)、あなたが(湯川)遥菜さんを殺しました。あなたは私が捕らえられているという脅しを真剣に受け止めず、72時間以内に行動しませんでした」と報道する中で、NHKの報道姿勢が少々気になる。

でも「テレビの力」は絶大。自らの意思で買って読む新聞と違って、勝手に耳に入ってくるので・・・
ま、ご用心、ご用心・・・。(どうしても人質の話に行ってしまう!!)

150126nyuusankinn <付録>「ボケて(bokete)」より

|

« 戦後70年間戦争をしなかった国は8カ国 | トップページ | 学校給食と子どもの貧困 »

コメント

今、TVが決して報道しないのは、辺野古の騒動も、です。
海猿として人気があった保安庁の暴力が、FACEBOOKではたくさん載ってます。

とはいえ、FACEBOOKは、自分の交流範囲の情報で偏るし、“怪しい”情報も流れますので、なにを信じるか,難しいですが・・。
 
【エムズの片割れより】
NHKは、会長の「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない。」という考え方が、現場に浸透していますね。

投稿: Tamakist | 2015年1月27日 (火) 10:58

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 戦後70年間戦争をしなかった国は8カ国 | トップページ | 学校給食と子どもの貧困 »