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2014年11月18日 (火)

ずるい安倍首相~衆院解散

いよいよ安倍首相が衆院解散を表明した。1票の格差問題も放ったままで、事態はどんどん進む。
昨日の朝日新聞に、自分の思っていたことと同じことが載っていた。
「(政治断簡)選挙は社会を考える機会のはず 編集委員・松下秀雄
 キツネにつままれたような感じがする。
 だって、安倍晋三首相が意欲を燃やしているのは、集団的自衛権に関する法整備や憲法改正じゃないの? 民意を問うならそっちだろう。集団的自衛権行使を認める閣議決定の前後に衆院を解散すれば、争点は明確になったはずだ。
 でも、そこでは踏み切らなかった。首相がどう説明するかはわからないが、消費増税を先送りして解散すると騒がれている。
 だれだって、増税をせずにすむならその方がいい。
 「本音ではみんなやりたくないこと」で民意を問い、やらないと訴えて選挙を勝ちぬく。その数の力で、意見が分かれる問題で「自分がやりたいこと」を通す。
 もしもそれを狙っているのであれば、ずるい。
     *
 というと、政治のプロから「子どものようなことを!」と笑われるかもしれない。
 きみきみ、選挙のゆくえを決めるのは「暮らし」だよ。アベノミクスや増税先送りで暮らし向きがよくなれば、有権者は歓迎する。ほかの問題で多少の批判を浴びても、政権はひっくり返らない。それが政治の現実だろう――。
 たぶんその通りだ。でもこの発想は「えさを与えれば喜ぶ」に似て、人への軽蔑が含まれている。
 書生論に戻る。選挙は民主主義の一部品でしかない。民主主義の本体は、一人ひとりが社会のあり方を考えること。その機会になりうるから、選挙はとりわけ大切なのだ。
 野田佳彦前首相は消費増税を決めて選挙に敗れた。しかし、問いかけは重かった。
 好んだのはこんな説明だ。
 日本はかつて、多くの現役世代で1人のお年寄りを支える「胴上げ型社会」だった。今や3人で1人を支える「騎馬戦型社会」で、やがて「肩車型社会」になる。だからお年寄りを支える費用を、お年寄りを含む全世代で負担しなければならない。支える側の若い世代を支援する財源も要る――。
 ただ、いま振り返ればこの説明はどこか「上から目線」だ。社会と同時に、それぞれの家族も「肩車」化することに目配りが足りなかった。
 昔は兄弟姉妹で老親を支えられた。だがいずれ一人で一人を支えるようになる。介護などで仕事を諦め、食い詰める。すでにそうなっている人、その不安にかられている人にとって負担増は厳しい。
 「肩車」になるから増税と言われても、家族の立場からみれば、だから払えない。増税への反発は当然だ。
     *
 でも、よく考えよう。
 「肩車型家族」にこそ社会の支えが要る。ふだんは多く負担する代わり、介護などの問題を抱えた時にしっかり支えてもらう。それぞれの事情に応じて働き方や働く時間を選べる。そんな社会にしないと、肩車はつぶれかねない。
 家族の変化にあわせて、どうやって社会で支えあうか。正面から論ずるなら、消費増税を問う意味は大きい。
 なのに「先送り」の是非?
 それで私たちに、何を考えよというのだろうか。」(2014/11/17付「朝日新聞」p4」より)

上の記事で「だれだって、増税をせずにすむならその方がいい。「本音ではみんなやりたくないこと」で民意を問い、やらないと訴えて選挙を勝ちぬく。その数の力で、意見が分かれる問題で「自分がやりたいこと」を通す。もしもそれを狙っているのであれば、ずるい。」という言葉は、全くその通りだと思うし、それが真の狙いなのだろう。

NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」。“やっと”秀吉が死んだが、第41話でこんな場面があった。
千利休「石田様、あなたは何のために働いてらっしゃる?」
三成「無論、殿下のため。豊臣家の天下のためにござる」
利休「豊臣家のために天下があるにあらず。天下のために豊臣家がある」
・・・
言うまでもなく、「安倍政権のために日本があるにあらず。日本のために安倍政権がある」のである。
自分の信念を通すために、営々と積み重ねてきた消費税増税を潰し、それをエサに700億円をかけて選挙をする・・・。
昨日の話の繰り返しになるが、国の財政(借金)が気になる。そして、これでまた振り出しに戻るかも知れない、介護業界の待遇改善の遅れも気になる。

話は飛ぶが、先日の日経新聞に、小椋佳さんの取材記事が載っていた。そこでの小椋さんの発言に目が止まった。
「生前葬」のコンサート 小椋佳さんに聞く
・・・・・
 「顧みると僕の場合、憤りが歌創りの原点でした。街に流れてくる歌が、あまりにも『振り』に染まっている。振りとは『真似(まね)』のことです。演歌なんかに多いですが、慣用句や使い古された言葉を用いている。『僕が歌いたいのはそんな歌じゃない』っていう憤りから、歌を創り始めたんです」
 「今の若い人は何に対しても憤りません。社会の動きとか政治の問題とかについてもです。それは恐ろしいと思えます。例えば、これだけ国債が大量発行されて国家財政が真っ赤っかなのに、政治家は言葉だけで、実際は何もせず、将来世代に借財を押しつけている。例外もいるでしょうけど、若者も近視眼的で、とりあえず苦労しない方を選ぶ。この国の先行きはちょっと絶望的です」・・・・」(2014/11/15付「日経新聞」夕刊p5より)

元銀行家の小椋さんにしても、今の世の中の動きは看過できないと・・・

先日の沖縄知事選で、政府の方針にNOの民意が出た。
今度の衆院選では、秘密法や集団的自衛権での安倍政権のやり方に対して、国民がNOを突きつける良いチャンスとなり得る。
しかし飽きやすい日本人の国民性。「消費税の先送り」というエサに食いついて、全てが元の木阿弥になるのだろうか・・・
小椋さんではないが、今までの安倍政権の傍若無人のやり方に対する憤りをぶつけたい今度の衆院選ではある。

141118seiatu <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

なんとしても、この選挙で自公の「安定多数」を破らねば鳴りません。(「過半数われ」といえないのが、私の無力感の表れです。)

【エムズの片割れより】
理屈よりも、自分に一番有利なときに解散、というのが政治の常道、と言われていますが、まあそうなんでしょうね。それに飲まれてしまう不甲斐なさ・・・。何とも逃げ場が無くてやりきれないです。

投稿: Tamakist | 2014年11月19日 (水) 14:41

安倍のずるさばかりが目につく選挙ですがチャンス到来と考えましょう。税制で言えば「消費税10%先送り」などではなく、「法人税減税の是非」であり金持ち優遇の所得税の抜本改正こそが「争点」にされなければなりません。
 そして何よりも「秘密保護法」「集団的自衛権閣議決定」などという平和憲法破壊を認めるのか?ということこそ問われるべきだと思います。 
 アベノミクス??? そんなものは初めからペテンだった。小泉は「人生いろいろ…」といって格差の存在と拡大を肯定して見せましたが、小泉よりずるい安倍は「金持ちが先により豊かになればそこから滴り落ちるお金でいつか庶民も潤いますよ」という。使い古しのデマです。すすんでいる事態は「円安不況」であり「生活破壊」であり[弱者切り捨て]です。
沖縄の皆さんに恥ずかしくない選択をしたいと心から思います。

【エムズの片割れより】
あれだけ騒いだ「秘密保護法」と「集団的自衛権」があまり争点として出て来ないのは、マスコミが政府に迎合しているからでしょうか・・・

投稿: todo | 2014年11月20日 (木) 06:07

実際、世論調査では「今回の解散は理解できない」が6割を超えていますしね・・・
私も「今やるの??」って感じです。
それに、茨城の人たちにとっては茨城県議会議員選挙もありますから、ダブルなんですよね。
ちなみに、茨城県議会議員選挙が国政選挙と重なるのは初めてです。

【エムズの片割れより】
自分も茨城出身ですが、中山とか葉梨とかは国会議員でしたね。県会議員は知らないな・・・
年末のドタバタ選挙はどうなるんでしょう・・・

投稿: マッノ | 2014年11月21日 (金) 22:02

茨城の県議選は当初は統一地方選と同じ時期にやっていましたが、
1966年に議長選出を巡る汚職事件をきっかけとして自主解散、同年末に選挙を実施したため、
統一地方選の時期から外れてしまったのです。
以降、統一地方選の前年に実施されるため、統一地方選の前哨戦としての意味合いが強い選挙となっています。
ですので、各党の国政のトップクラスが次々と応援に駆け付けることがよくあります。
しかし、今回は国政選挙(衆院選)と一緒になってしまったので、
衆院選が翌年の統一地方選の前哨戦みたいな感じになってしまい、
県議選は陰に隠れてしまうのではないかという声も。

【エムズの片割れより】
そうでしたか・・・。1966年というと、自分の大学受験の年・・・。選挙権もありませんでしたが、汚職事件など、まったく記憶にありませんでした。

投稿: マッノ | 2014年11月23日 (日) 20:48

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