「破られているルール」~優先席付近では携帯電話の電源を切る・・・
今朝の「日経新聞」の「春秋」にこんな記事があった。
「必要なら守られねばならない。不要なら廃止されなければならない。規範とはそういうものだ。そんな当たり前が通じない日々は、かなり慣らされてきたとはいえ、居心地が悪い。鉄道などの優先席付近では携帯電話の電源を切る――破られている規範の代表格だろう。
心臓ペースメーカーなどの医療機器に影響する恐れがある。これが規範の大義である。一方には「携帯が原因で機器に重大な事故が起きたとの報告は世界にない」(総務省)という事実がある。もちろん、携帯のせいと気づかぬまま体や機器の変調をやり過ごしているのかもしれない。少なくとも、不安を感じる人はいる。
先に、東京工業大の1年生が「技術者倫理」の授業でこの問題を取り上げたそうだ。学生からいろんな意見が出た。「嫌がる人がいるなら電源は切るべきだ」「車内放送を流し続ける意味はほとんどないと思う」。正解はない。世の中をよくする使命を持つ技術者は難題とどう向き合えばいいか、考えさせる狙いだという。
医療機器と携帯の間が3センチ以内だと影響が出ることがある、15センチ以内なら電源を切るのが望ましい。これが総務省の見解である。わずかな距離でもゼロでない限り規範はなくせない。安全なものをつくる使命は技術者に果たしてもらおう。それまでの間、携帯やスマホをいじくりたければ……優先席には近づかないことだ。」(2014/10/27付「日経新聞」「春秋」より)
これについては、前に「今朝の電車の優先席での事件~心臓ペースメーカーと携帯電話」(ここ)という記事を書いた。
この記事に先日コメントを頂いた(ここ)。東急東横線でも優先席に座って、「携帯を切ってくれ」と大きな声で言うおじいさんがいるそうで、再びこの問題を考えてしまった。
上の記事でも指摘しているように、破られていることが常識のルールは色々ある。優先席付近の携帯の電源を切ることもそうだが、車のスピード違反も同じ。全ての車が、制限速度以上のスピードで流れている。
ではそのルールに意味は無いのか? スピード違反の場合、全員、「制限速度を自分は超えて走っている」という認識はある。結局、それが「何かあったとき」に迅速にブレーキをかける、という“危険に対する心の準備”になっているのだろうと思う。
でもこの携帯の電源のケースは、ちょっと違う。初めから「問題ない」ルールだと皆が思っている。それに満員電車などでは、「優先席付近では電源を切る」という動作はあまりに非現実的。だから誰も守らない。
つまり、このルールは過剰な防衛なのかも知れない。(誰も責任を取りたくないので、ルールを弱めることには二の足を踏むので・・・)
でも、ペースメーカーを入れている人にとっては、「もしも」を心配する人もいるだろうし、その心配に対して、他人がとやかく言うことは出来ない。
怖いのは感情の問題だ・・・。
犬の散歩の時に、誰も通らない山道で、自分は犬のくさりを外してあげるが、前から人が来ると、あわててくさりにつなぐ。「こんな小さな犬なので、大丈夫だよ」と言っても、カミさんが「どんなに小さな犬でも、犬が怖い人はいる」と言うので・・・。心臓ペースメーカーも、まあそれと同じ話だ。
では、自分が心臓ペースメーカーを付けていたら、どうする?
自分だったら、避けるかも知れない。つまり、電車に乗るときも、多少無理をしてでも電車が空いている時間帯だけに乗る、とか・・・。
国民性の問題もあり、難しい“守られないルール”ではある。
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コメント
悪法でも法は法と言いますが、それと同じで、たとえ意味がないにしてもルールは守るべきですね。
電車会社の定めたルールを守らないのは違法行為の筈です。
日本人はそういう行為を平然とすることを恥じない人種になってしまったのでしょうか。
などと言いたくなるほどこのルールは無視されていますね。
【エムズの片割れより】
誰も守っていない・・・というルールで、この優先席の携帯と車の速度制限が直ぐに頭に浮かびます。昔、後にパトカーがいたので、制限速度ジャストで走っていたら、止められて「流れに乗って走って下さい」だって・・・
自分は「抑止」と捉えていますが・・・
投稿: 通行人 | 2014年10月28日 (火) 19:03