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2014年10月 5日 (日)

IT社会の舞台裏?~NHKカルチャーラジオ・月尾嘉男氏の話

毎週PCに録音して通勤途上で聞いていた「NHKラジオ第2 カルチャーラジオ 科学と人間 IT社会とコミュニケーション~過去・現在・未来 講師:月尾嘉男(東京大学名誉教授)」(2014年7月~9月放送(ここ))が、とうとう終わってしまった。
今日はそのうち、特に「ヘエー」と思った第12回の話である。

<「IT社会とコミュニケーション~過去・現在・未来」月尾嘉男>

IT社会とコミュニケーション~過去・現在・未来 講師:月尾嘉男 第12回 グリーンIT」(2014/09/19放送)より
・日本は温水洗浄便座が異常に普及した社会で、7割以上の家庭に普及している。平日の朝8時頃に、全洗浄便座の3割位が同時に使われていると推定されている。電気は便座よりも水を噴射するときに多く使い、これを計算すると、朝8時頃にこの噴射のために全家庭で460万kwの電気が必要。これはその時の全電力供給量の1.7%に相当する。これは先に福島第一原発が定検を除いてフル稼働したと同じ位の電力量。
・新聞1部を家庭に届けるために1228kカロリー必要。しかし電子新聞だと63kカロリーに過ぎない。これは1/20。同様に電子書籍だと紙の本に比べて1/40で済む。
・紙をたくさん使っている国ほど文化水準が高いと言われているが、2012年で調べてみると、一人1年に平均57kgの紙を使っていた。一番使っているベルギーでは318kg。日本では2000年までは紙の消費が増えていたが、それ以降減って2010年には2割程度減った。一番減ったフィンランドでは6割減った。情報化社会で紙の消費量が減った。
・テレビ会議では、2時間の会議の一例で、人が出張する会議に比べ0.4%の二酸化炭素排出量で済む。情報通信手段はエネルギーの節約には有効。
・インターネットは日本では成人の90%が使っているが、郵便物の660倍電子メールを使っている。その電子メールは世界で一日500億通。一人あたり200通。そのうち9割の450億通は迷惑メール。これらを削除するために1通3秒かかるとすると、時間単価を2千円とすると、1年間に270兆円に相当し、世界のGDPの4.2%、フランス一国のGDPに相当する。
・この情報社会を維持するためには、エネルギーが必要。日本では2010年を基準にすると、2015年は1.8倍、2020年には2.8倍、2025年には4倍になる。同様に世界では、2015年には2倍、2020年には3.6倍、2025年には6倍の電力が必要。
・今家庭で、光ファーバーで1という情報を送ると、昔のADSLでは29倍、ISDNでは2000倍の電力が必要だった。
・一方、データを蓄えるのに電力が必要。データセンターでサーバーを動かすのに45%使うが、30%はサーバーを冷やすのに使っている。世界で最もサーバーを使っているのはgoogleだと言われており、推定で100万台のサーバーを維持しているという。2011年にgoogleが発表したところによると、電力使用量は260MW、1年間の消費電力量に換算すると23億KWHで、世界の総発電量の0.01%、広島市の家庭が1年間に使う電力量に相当。各社は、北欧の寒い所にサーバセンターを移して冷却電力の削減を図っている。

これらの試算が面白い。特に洗浄便座がそれほどの電力量に相当するとは・・・

「科学と人間」は毎回30分の番組だが、普通は何気なく聞いており、そのうちに、これは面白い、となると、再度聞き直したりしている。このシリーズも今までの13回を、そのうちに全部聞き直してみようかと、mp3を保存しておくことにした。

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