「徴兵制、まさか…ね?」
終戦記念日が近くなり、毎年恒例だが戦争の話題が多い。
(今日は、徴兵制の勉強!? コピペで長いが、勉強なので・・・)
今朝の朝日新聞にこんな記事があった。
「徴兵制、まさか…ね? 政界・ネット、議論広がる
あり得る、あり得ない――「徴兵制」をめぐる発言や議論が広がっている。安倍晋三首相は自ら繰り返し、否定している。
■政治に不信感、「派兵」に敏感
「徴兵制につながるというとんちんかんな批判がある。徴兵制が憲法違反だということは私が再三、国会で答弁している」。5日、自民党本部で開かれた地方組織の幹部を集めた会合。安倍首相は集団的自衛権の行使を認めた閣議決定に触れる中で、徴兵制について自ら否定した。首相は最近、こうした発言を繰り返している。
専門家の間では、高度化した現代の戦争では訓練を受けていない一般市民を徴兵しても意味がなく、徴兵制はあり得ないとの見方がある。政治的にも極めて難しいとみられる。
だが、首相が徴兵制を再三否定する背景には、最近、与野党の政治家らが徴兵制について発言し、ネットなどでも関心を高めていることがあるとみられる。
*
「自衛隊員が何十人と亡くなることが起きた時、今のように自衛隊員が集まるか。集団的自衛権を積極行使すると徴兵制にいかざるを得ない」。民主党の枝野幸男元官房長官は5月18日、さいたま市での講演で語った。安倍首相が同15日の記者会見で集団的自衛権の行使容認の検討を明らかにした3日後だ。
ツイッターなどで話題になり、発言を伝えた朝日新聞デジタルの記事には、賛否合わせて4千を超えるツイッターのリツイート(転載)があり、政治家の発言では飛び抜けて多かった。この後も、自民党幹事長経験者らが徴兵制の可能性に言及した=表。
また、メディアでも雑誌「週刊プレイボーイ」が7月28日号で徴兵制を特集し、産経新聞は2日付朝刊の連載記事で「あり得ない徴兵制」とする記事を掲載。朝日新聞は6月25日付朝刊で「将来、徴兵制を敷かざるを得ない」とする元防衛官僚で新潟県加茂市長小池清彦氏のインタビューのほか、投稿欄「声」でも関連の投稿を掲載した。
*
市民向け憲法勉強会を主宰する太田啓子弁護士(横浜弁護士会)は「集団的自衛権が連日報じられ、『戦地』『派兵』などの言葉に人々が敏感になっているのではないか」と考える。
「徴兵制になるのか」「子どもが戦地に行くのか」。勉強会では、母親から毎回のようにこんな質問があがる。太田さんは「現実的ではないと思います」と答えるが、「東日本大震災以降、政治への不信感が強まり、その言葉が容易に信じられなくなっている」と考えている。
一方、元内閣法制局長官の阪田雅裕さんは、背景に憲法解釈の変更を閣議決定で行った政権の手法があると考えている。
内閣官房は集団的自衛権の行使容認の閣議決定後、ホームページで「(徴兵制の採用は)全くの誤解。徴兵制は憲法上認められません」と否定した。憲法18条は「奴隷的拘束及び苦役からの自由」を掲げ、徴兵制が認められない根拠とされる。だが、阪田さんは「歴代内閣が積み重ねてきた憲法9条の解釈変更がこれほど簡単にできるのなら、議論に厚みのない憲法18条の解釈を変えるのもわけないだろう」とみる。
政権中枢にある政治家の過去の発言も、この見方を補強する。いま自民党幹事長の石破茂氏は02年5月、衆院憲法調査会小委員会でこう述べた。「徴兵制が憲法違反であるということには、意に反した奴隷的な苦役だと思わないので、どうしても賛成しかねる」
*
別の観点もある。
一つは少子化だ。自民党の野田聖子総務会長は月刊誌「世界」6月号で「少子化が進み、(自衛隊員の)担い手がいなくなろうとしている」と指摘。ネット上では少子化で自衛隊の志望者が減れば、将来は徴兵制になるのではないかとの議論もみられる。太田さんの勉強会に参加した40代の母親の一人は、ママ友同士で「子どもが兵隊に取られちゃうのかな」という会話を交わしたと明かす。
もう一つは安定した職場としての自衛隊に貧困層から入隊希望者が増える「経済的徴兵制」への指摘だ。
ジャーナリストの堤未果さんは著書「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波新書)で貧困家庭やワーキングプアの若者が、軍が提示する学費補助や医療保険などに誘われて入隊する実態をリポートした。日本でも格差拡大が指摘される。堤さんは「今のまま貧困やワーキングプアが広がれば、徴兵制にせずとも日本は同じ道をたどるだろう」と話す。
「徴兵制」に現実性は乏しい。しかし、安全保障論や憲法論と同時に、少子化や格差の拡大など社会が抱えるさまざまな課題も、徴兵制をめぐる発言や議論の背景にありそうだ。(渡辺哲哉)」(2014/08/12付「朝日新聞」p4より)
「集団的自衛権、必然的に徴兵制に」~枝野幸男・民主党憲法総合調査会長
自分の国を自分たちで守ることについてはモチベーションがあるので、個別的自衛権を行使するための軍隊は志願兵制度でも十分成り立つ。しかし中東の戦争に巻き込まれ、自衛隊の方が何十人と亡くなるということが起きた時に、今のようにちゃんと自衛隊員が集まってくれるのか真剣に考えないといけない。世界の警察をやるような軍隊をつくるには、志願制では困難というのが世界の常識だ。従って集団的自衛権を積極行使するようになれば、必然的に徴兵制にいかざるを得ないと思う。(さいたま市のオープンミーティングで)」(2014/05/18付「朝日新聞」より)
下記は先月の記事だが、印象に残った記事だ。
「(インタビュー)老兵は闘う 元官房長官・野中広務さん
――安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定しました。自民、公明両党も了承しました。
「内閣の解釈で憲法の基本を変えるなんて本末転倒でしょう。絶対にやってはいけない。この問題の深刻さがようやく浸透してきて、この夏、地元に戻った国会議員は有権者の考えを肌で感じ取るはず。地方から大変な批判が出てくると思いますよ。それを、秋以降の国会論戦や個別法案の審議にどう生かせるか。このままでは来春の統一地方選や次の衆院選で自民党は公明党とともに、必ず鉄槌(てっつい)をくらう。現役の政治家の良識に訴えることが、私に残された仕事だと思うとるんです」
――自主憲法制定は自民党の党是です。手続きさえ踏めば、憲法は改正してもいいという考えですか。
「憲法を常に見直す態度は変えてはならない。ただ、すべての条文を同じように扱うべきではない。9条があり、武力行使をしてこなかったから、戦後70年近く平和でおれた。9条は変えてはならないと思う」・・・
――かつての自民党は、宏池会(現・岸田派)に代表されるハト派が、タカ派的な勢力とバランスを保ってきました。今は、首相や内閣に注文や批判をすることはほとんどありません。
「自民党の多様性が失われてしまったんです。政治改革の名のもと、選挙制度を中選挙区制から小選挙区制に変えてしまったから。僕は守旧派というレッテルを貼られたけれども大反対した。党本部が選挙区の調整やカネの配分に大きな権限を持ち、派閥の存在が薄れた。党総裁である首相の意向に従う議員ばかりになり、党内の左右のバランスは崩れたんです」
・・・・
「偶発的な接触から、いつ戦争が起きるかわからない。その可能性を除去しておかないといけない。自衛隊は戦争にいかない前提で入隊した人たちが多いから、実際に行けといわれたら辞める人も多いはず。その次に何がおきるか。国防軍ですよ。いずれ必ず徴兵制がやってくる」
・・・・
――集団的自衛権の行使容認を含め、安倍政権は戦後日本のありようを大きく見直そうとしています。
「戦争がどれだけ深い傷痕を国内外に残したか、もっと謙虚にあの時代を検証してほしい。『戦後レジームからの脱却』いうてね、歴史を消してしまうようなやり方は間違っている。それは国際社会への復帰につながった東京裁判も否定する。だから安倍さんはA級戦犯が祀(まつ)られている靖国神社に参るんですよ」
「政権批判をするたび『売国奴』などといわれ、家族を含めて大変な目におうてきた。けど、僕がいわなければ誰がいう? 戦争が繰り返されたら、我々世代のつらい経験は『無』になってしまう。あの戦争で亡くなった人々の無念さを伝えなければ、死んでも死にきれない」・・・・」(2014/07/18付「朝日新聞」p15より)
いつものように、朝日新聞の記事なのだが、「徴兵制」という言葉が、現代の日本で、話題になること自体が異様な光景・・・。首相が何と言おうが、国民が「徴兵制」を懸念する引き金を引いたのは、現政権なのだ。
「徴兵制」という非常に分かり易く、刺激的な言葉が、いとも簡単に使われているのもどうかと思うが、かと言って100%有り得ない、と強く否定することも出来ない気がする。
まあ、「徴兵制」という言葉に踊らされるのではなく、自分自身で、その背景を認識することも必要かな・・・と思って、長く引用した。
| 0
コメント
私には子供のころから不思議に思っていることがあります。それは何故一握りの人間が、大勢の人間に兵士になって人を殺させたり、殺されることを強要するこが出来るのかということです。命令されるとなぜ従ってしまうのか。こんな不合理な事が当たり前になってしまうのか不思議でなりません。国家の命令を出すのは同じ人間です。国のためなら喜んで死ぬという人が今でもいますが、国家は人を殺すものではなく、人を幸せに生かす義務があると思うのです。それができない人は上に立つ資格がないと思うのです。世界中で人殺しをさせている人間を動物園の檻の中に閉じ込めて置いて「地球上で一番危険で獰猛な野獣」という名札を付けたら皆、見に来るだろうと思います。そんな日が早く来ないかなと待っています。
【エムズの片割れより】
まったく同感です。
良く言われているのが、子どもへの教育と、近所の非国民呼ばわりの恐怖!?
今の日本人は、だいぶん冷めているので、70年前と違って、そう熱狂することはないのかな・・・とも思いますが・・・
投稿: 白萩 | 2014年8月13日 (水) 22:06
昨夜、上の投稿をしたあと、NHKの「狂気の戦場ペリリュー島」を見ました。
人間が人間でなくなる戦場の惨状を初めて観ました。多数のフィルムがよく残っていたと思います。殺されて倒れている兵士の家族がこれを見たら、もう2度と子供を戦場には送りたくはないでしょう。憎しみと狂気の恐ろしさ、もう一度皆が見る時間帯に、これを再放送してほしいと思います。特に若い人に観て貰いたいですね。
【エムズの片割れより】
自分も何とか見ました。まさに殺し合いの実況中継のようですね。戦場の殺し合いが、リアルに撮られていて・・・。
戦争を体験していない我々以降の世代は、戦場の殺し合いの現実に、こんな番組を通して目を向けたいものですね。
投稿: 白萩 | 2014年8月14日 (木) 09:29