「改憲を」19県議会、自民主導 意見書・請願、「日本会議」提唱
今朝(2014/08/01)の朝日新聞の1面を見て、驚いた。何と、県議会が改憲の請願を可決しているのだという。カミさんがいつも「記事が長過ぎる!」と言うが、この記事の動きは注視しておきたい。
「「改憲を」19県議会、自民主導 意見書・請願、「日本会議」提唱
国会へ憲法改正の早期実現を求める意見書や請願が今年に入り19県議会で可決、採択されたことがわかった。こうした意見書、請願はいずれも初めて。新憲法の制定を掲げる運動団体「日本会議」が昨秋から国民運動として提唱し、自民党本部の要請を受けた同党 会派が各議会で採決を主導した。
意見書は地方議会で全会一致ではなく、主に多数決で決まり、法的拘束力はないが、地方から住民の意思として政府や国会の政策に反映するよう迫り、世論を喚起する狙いがある。
東アジア情勢が厳しくなるなか、条文に家族観を反映させ、大規模災害などにも対応するため「新たな時代にふさわしい憲法」が必要とする内容。文言の違いはあるが、内容は似ている。
日本会議は昨年11月の全国代表者大会で、全国の都道府県議会などで憲法改正の意見書の可決を促す運動方針を表明。大会に参加した石川県議が、日本会議の案文をもとに作成し、今年2月の同県議会で初めて可決された。これを受けて自民党本部は3月、「大規模な国民運動が不可欠」として、都道府県連に意見書の可決を促す文書を配布。その際、石川県の意見書を参考にするよう添付した。3月には6県議会で、6、7月には11県議会で可決。兵庫県議会は請願を採択した。他の議会でも秋以降に提出する動きがあり、さらに広がりそうだ。
日本会議は、憲法改正によって日本の真の独立をめざすと主張。日本会議を支える国会議員懇談会の特別顧問である安倍晋三首相の政権下で、党幹部らへの働きかけを強めている。
日本会議広報担当の村主真人氏は「憲法は生活に関わる身近な問題で、地域での意識づくりが大事だ。私たちの意思を国会へ届けていきたい」と話した。
一方、憲法解釈を変更し集団的自衛権を行使できるようにすることに慎重姿勢や反対を訴える意見書も今年に入って約200の市町村で可決された。岩手、長野、岐阜、沖縄の4県議会でも可決されたが、ほかの26県議会では請願とあわせ否決、不採択とされている。(池尻和生、渡辺哲哉)
地方から改憲の声、演出 日本会議が案文、議員ら呼応
今年に入り、早期に改憲を実現するよう求める地方議会の動きが目立ってきた。議決までの過程をたどると、安倍政権の足元で勢いづく改憲勢力の姿が見えてくる。
国会論戦のようだった。7月11日、安倍晋三首相のおひざ元である山口県議会。
「憲法をどう改正するのか具体的な議論を進める段階に入ってきている」
議題は、自民系会派の議員らが提出した憲法改正を促す意見書案。自民党の友田有(たもつ)議員団会長はこう、正当性を強調した。
反対派の議員らは「憲法解釈を変更する閣議決定はアジアに新たな緊張をつくり出す。いま憲法改正を議論すればさらなる緊張が高まる」と声を上げた。
意見書は過半数を占める自民系会派などの賛成で可決。一方で集団的自衛権の行使容認に反対する請願は、不採択となった。
こうした動きのきっかけは、昨年11月13日に決まった日本会議の運動方針だ。東京で開かれた日本会議全国代表者大会。「憲法改正への国民運動を一層強化し、国民投票で適正に判断できるよう、国民の啓発に努めなければならない」。国会議員や地方議員ら約800人を前に、会長の三好達元最高裁長官があいさつした。
「全国に志を同じくする人が多数いる、そんな連帯意識を代表者大会で感じ取った」。運動の発火点は2月の石川県議会。その中心的な役割を担った中村勲県議はこう振り返る。大会に参加した後、日本会議が作成した案文を参考に意見書づくりを進めたという。
■自民、国会発議めざしムード作り
はじめは自民党本部と呼応したわけではなかった。が、本部もすぐにこの動きに乗る。石川が意見書を可決した後、日本会議国会議員懇談会の副会長を務める高市早苗政調会長は、「憲法について(都道府県連に)お願いできませんか」と党の担当者に依頼した。党本部は3月13日付で要請書を都道府県連に配布し、石川の意見書も添付した。
日本会議は安倍首相の長年の「政策的ブレーン」でもある。首相の反東京裁判史観や教育、安全保障などの主張は、日本会議が掲げる政策と重なり合う。幹部の一人はこう打ち明ける。「我々の活動を中心的に実践してきた一人が安倍首相だ」。衆院では自民党をはじめ改憲勢力が発議に必要な3分の2を超え、参院でもそれに迫る。こうした政治状況は戦後初めてだ。
自民党は4月から全国各地で党の憲法改正草案を党員らに説明する会合を頻繁に開いている。その場で船田元・憲法改正推進本部長らは、2年後の16年夏の参院選前までに国会発議を行いたいと強調する。
日本会議熊本の多久善郎理事長は、今回は過去の運動に増して意味は大きい、と主張する。「意見書を通じ、議員や支援者の方にこの問題の理解を深めていただく。仲間が千人いるなら千人が本気にならないと、国民投票は勝利できない」
日本会議が仕掛けているのは意見書運動にとどまらない。来春の統一地方選を見据え、改憲への大規模集会を各地で開く予定だ。朝日新聞が入手した内部資料には、意見書や請願の書き方、運動への質問に答える「Q&A」などの資料も盛り込まれている。憲法改正の意義を説明するDVDや、ポケットティッシュもつくった。
「戦後、ずっと改憲を叫び続け、ようやく最大、最高のチャンスに巡り合った。こんな時代に巡り合ったのは幸せなんです」。6月16日、宮城県議会における自民党会派の勉強会。講師役の百地章日大教授はこう呼びかけた。
日本会議はこの秋、全国3分の2を超える都道府県議会で、意見書の可決を目指している。
■護憲派、危機感強める
護憲派は、危機感を募らせている。
憲法9条を守ろうと、2004年に設立された「九条の会」は各地で約7500になった。約200の市町村議会で集団的自衛権の行使容認への慎重・反対を求める意見書が可決した。
今後は、運動をさらに強める考えだ。集団的自衛権の行使を認める閣議決定で「9条は骨抜きにされた」とし、改憲も現実味を帯びていると感じるからだ。同会は設立以来初めて統一の行動方針を決め、まず10月を「行動月間」とし、各地でデモや集会を開催。11月には東京で大規模集会も予定する。「我々も正念場。会の生命線をかけた運動です」(事務局長)
また、民主、社民系などの地方議員らは6月、「自治体議員立憲ネットワーク」を設立。集団的自衛権の容認に反対する署名活動や地方議会での意見書運動も進める方針だ。(池尻和生、渡辺哲哉)
■ 「真正保守」掲げる 安倍首相と重なる思想
日本会議は、「真正保守の政治を実現する」(同会HP)ことをめざす国民運動組織。元号法制化を推進した作曲家黛敏郎氏(故人)らの活動を源流に、1997年、歴史・伝統の尊重 や新憲法制定を掲げた「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」が統合して設立。「右派」「保守系」とされる団体では国内最大級の組織だ。
会長は三好達・元最高裁長官。役員名簿には神社本庁や宗教団体の幹部、大学の名誉教授らが名を連ねる。事務局によると、個人会員は約3万5千人。全国47の都道府県本部のほか、地域に約230支部がある。「誇りある国づくり」を合言葉に、皇室敬慕の奉祝運動、愛国心の育成、靖国神社の公式参拝などの運動を展開。なかでも新憲法制定に向けた憲法改正は「日本会議の悲願」(幹部)とする中心的政策だ。
また、日本会議を支えるため設立された超党派の「国会議員懇談会」には289人が参加。安倍首相と思想的に近く、集団的自衛権の行使を認める閣議決定の際にも、支持する見解を出した。役員名簿(4月現在)によると、安倍政権の閣僚では計8人が役員。民主党、日本維新の会、次世代の党などの国会議員も参加している。地方議員連盟には約1700人が参加し、ネットワークを広げている。」(2014/08/01付「朝日新聞」p1、p6より)
「日本会議」について、wikiにはこうある。
「公式ホームページでは「美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を行っている民間団体」と自称している。」
「海外報道~その主張から、この団体を「右翼団体」や「日本最大級の国粋主義者団体」と評する意見が海外のマスコミにも一部ある。アメリカのニューヨーク・タイムズはこの団体を「ナショナリスト組織」とし、イギリスのエコノミストは「伝統的価値」への復帰と旧日本軍の悪行への「謝罪外交」の否定を主張する「ナショナリスト・シンクタンク」と報道したことがある。」(wikiのここより)
上の「集団的自衛権を行使できるようにすることに慎重姿勢や反対を訴える意見書も・・・26県議会では請願とあわせ否決、不採択とされている」という部分について調べてみると、産経新聞に、こんな記事が見つかった。
「閣議決定、地方の「支持」鮮明 「反対・慎重」意見書案38議会が否決 可決5を圧倒 早期改憲要求17
集団的自衛権の行使を容認する政府の閣議決定に対し、47都道府県議会と20政令市議会のうち、今年に入って38議会が閣議決定に反対・慎重な対応を求める意見書案や請願を否決、不採択としていたことが14日、分かった。意見書の可決は5議会にとどまり、半数 以上の議会で政府への支持が表明された格好だ。早期の憲法改正を求める意見書も18議会で可決された。
各地方議会のホームページの議事録などを基に今年に入ってから今月14日までの採択状況を調べた。その結果、行使容認の閣議決定に関し、反対・慎重な対応を求める意見書案を否決したのは25議会。同様の意見書案の採択を求める請願・陳情を不採択や不了承としたのは13議会だった。
意見書案の大半は共産党議員らが提出しており、自民党議員らの反対で否決となったケースが多い。福島県議会は行使容認反対の意見書案を否決した一方、行使容認を支持した上で「国民への十分な説明」を求める意見書を可決。北海道議会は3月に続き7月も反対の意見書案を否決している。札幌市議会は昨年12月には反対の意見書を可決したが、今年5月は否決とした。
逆に、明確に行使容認反対の意見書を可決したのは岩手県議会のみで、長野、岐阜、沖縄の3県議会と新潟市議会は慎重な対応を求める内容だった。岐阜県議会では自民党議員が提案者となって可決された。
一方、憲法改正の早期実現を求める意見書を可決したのは18議会に上った。日本を取り巻く安全保障環境の変化などに対応した新しい憲法を求める内容で、提案されながら否決したのは堺市議会のみだった。
集団的自衛権の行使容認に反対・慎重な地方議会については、一部のメディアが今月1日の閣議決定前に盛んに取り上げ、「地方議会で異論相次ぐ」(6月30日放送のNHKニュース)、「地方黙っていない」(毎日新聞6月28日付朝刊)と報じていた。ただ否決した議会の数には触れていなかった。」(2014/07/15付「産経新聞」(ここ)より)
相変わらず、どちらも各紙の政治スタンスが、文脈に如実に表れていて面白い。
それにしても、「戦後、ずっと改憲を叫び続け、ようやく最大、最高のチャンスに巡り合った。こんな時代に巡り合ったのは幸せなんです」という言葉は、何ともリアル・・・
しかし結果として、国民が選んだ多数議員が「改憲」への道をひた走っている・・・。
何度も言うが、自分は政治的イデオロギーなどは無い。いわゆるノンポリ。でも「人を殺してはいけない」「戦争をしてはいけない」・・・。ただそう思っているだけ・・・。
しかし、「茶色の朝」(ここ)が日本でも着々と近付いているようだ。
それに対して、我々が持っている手段は、選挙の1票だけ。その使い方によって、子どもたちの未来が変わってしまう・・・。
この所、ニュースで持ちきりの長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件。加害者の「人を殺してみたかった」という言葉が、国中を恐怖に陥れている。
それと同じ国民の感性で、“戦争が出来る国”にひた走っている政治の動きを、何とか止められないものだろうか・・・。
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コメント
エムズさま、何回も訪問いたしておりますが、コメントは二回目です。
政治家が劣化していることは確かですが、国民も感情コントロールが劣化していると思います。
もっとも世界中でですが。
こういうときに、平静でいることが大切なのでしょう。
わが町も、突然の放射線廃棄物最終処分場の候補に突然の指定で、大変なことになっています。
平静に行動しなくてはと考えているところです。
【エムズの片割れより】
我が家では、自分がNHKニュースを見ていると、カミさんがうるさくて、とても平静ではありません。不愉快なニュースは見たくないと言うのですが、ニュースはどれも不愉快なものばかりで・・・
投稿: YABU | 2014年8月 1日 (金) 22:56
「我々が持っている手段は、選挙の1票だけ。その使い方によって、子どもたちの未来が変わってしまう・・・。」
私はいつの選挙も「自民党が議席をとらないように」投票してきましたが、およそ実を結んだことがありません。
しかし、今度こそ本気で自民党の議席を、どのレベルでも減らさねばならないと思います。
【エムズの片割れより】
その通りですが、応援に値する野党が見つかりません。それに自民党総裁選の対抗馬が石破氏では、もっと悪くなるかも・・・!?
悩ましい日本です。
投稿: Tamakist | 2014年8月 2日 (土) 11:03
いつも、楽しみに 読ませていただいております。いつも思うことですが、青い文字の部分は、手入力されているのでしょうか?
それとも、コピペの特別な方法が、あるとか?
お仕事もされているようなので、長い文章は、さぞ大変だろうと、不思議に思うのですが、余計なお世話なのでしょうか?本文についてのコメントでなくてすみません。
【エムズの片割れより】
もちろんコピペです。朝日と日経のデジタル版の・・・。雑誌類はCANONのスキャナーで読み取って、そのJPG画像をPanaの「読取革命」でテキストに変換しています。これが結構な精度で、ほとんど無修正で青い文字に化けます。
自分の記事=黒文字が非常に少ないのがバレてしまいますね・・・。
だいたい夜の9~10時がblogの時間なのですが、新聞記事でネタがある時は、土日などに貯めておきます。
でも最近は、記事はネタ切れ気味ですが、音楽が貯まっています・・・
まあ頭のボケ防止なのですが、無理をせずに・・・。
投稿: ktsuhiko | 2014年8月 3日 (日) 19:54
早速の回答ありがとうございます。
ところで、ついでで申し訳ありませんが、じつは、わたしがエムズの片割れさまを、しったのはかれこれ6年ほどまえになります。カテゴリーを問わずすべての内容に共感できる部分をみつけて、こころの安寧を感じてきました。ただ、コメントは、これがはじめてです。というのは、ほかの方々が、私の考えと同じようなことを、コメントして見えるようなので、あえて、傍観者に徹してきたしだいです。わたしの本当の理解者である、すうにんの友には、わたしの考えや、趣味を知りたければ、まず、このエムズの片割れ様のブログを読ませていただくように紹介させていただいている次第です。
今後とも、長くお付き合いのほど、お願いいたします。ちなみに、わたしは、1946年の戌年生まれです。
【エムズの片割れより】
畏れ多いお言葉で・・
6年前ですか・・・。このblogは2006年6月スタートですので、最も古くからの“お客さま”のようで・・・。
私はイノシシですので、一つ年下のようですね。今後ともよろしくお願いします。
投稿: katsuhiko | 2014年8月 3日 (日) 21:16