「空き家率、最高の13.5%」~7割が「何もせず」
先日の朝日新聞にこんな記事があった。
「空き家率、最高の13.5% 820万戸、都市圏も上昇 総務省調査
全国の空き家が820万戸にのぼり、総住宅戸数に占める割合が13.5%で過去最高となったことが29日、総務省の住宅.土地統計調査で明らかになった。人口減少や高齢者の施設への入所などが、空き家率を押し上げている。
調査は1948年以来、5年ごとに実施。今回は昨年10月時点の総住宅数、空き家数などを調べた。 全国の空き家率は前回調査時の13.1%から0.4ポイント上昇した。もっとも高いのは山梨県(22.0%)、次いで長野県(19.8%)、和歌山県(18.1%)。人口減少や高齢化が進む地方が上位を占めた。
人口が増加かほぼ横ばいの大都市圏でも空き家率は上昇傾向にある。東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県のうち埼玉(10.9%)、神奈川(11.2%)は前回より上昇。大阪府(14.8%)は全国平均を上回り、愛知県(12.3%)も前回より1.3ポイント上昇した。
一人暮らし高齢者も過去最多を更新し、552万世帯にのぼった。持ち家率が8割を超える団塊の世代も多くが65歳を超え、「空き家予備軍」が拡大している。(田中聡子、武井宏之)」(2014/07/30付「朝日新聞」より)
総務省発表の詳細は(ここ)にあるが、1割以上が空き家とは・・・
一方、一一部の自治体では、対策も進んでいるらしい。
「健全でない日本の空き家率 7割が「何もせず」
不動産コンサルタント・長嶋修
総務省が7月29日に公表した「2013年住宅・土地統計調査」(速報集計)によれば、13年 10月1日時点での総住宅数は6063万戸と、5年前に比べ305万戸増加した。そして、約820万戸の空き家を我が国は抱えていることが明らかになった。日本全体を賃貸住宅経営に例えれば、その空き家率は過去最高の13.5%と、決して健全な状態とはいえない。この調査は5年ごとに行われるが、前回(08年)調査より空き家は63万戸増加。今後は、本格的な世帯数減少の局面に入ることを踏まえれば、今後のこのトレンドは加速することが予想できる。
■空き家対策に乗り出す自治体が増加
こうした事態を受けて、地方はもちろん、埼玉県所沢市などの郊外ベッドタウン、さらには東京23区の足立区においても税金を投入して空き家対策が行われ始めた。
「空き家バンク」といったデータベースをつくり、空き家が目に留まる工夫を施す、空き家を資源と捉えて空き家活用を促進するなどの方策に着手する自治体も年々増加している。
埼玉県所沢市では10年10月、「所沢市空き家等の適正管理に関する条例」を施行、老朽化で倒壊危険がある、景観や衛生を損なうとみられる空き家に対する市の勧告に従わない場合には氏名公表するなどして、ある程度の効果を得た。
■解体費用を助成する自治体も
この条例をきっかけに、全国約1700の基礎自治体のうち、200程度で空き家対策条例の制定が相次いでいる。東京都足立区では、区の勧告に従って住宅の解体を行う場合には解体費用の9割、上限100万円までを助成する制度を打ち出している。 ところで、空き家を放置している所有者はいったい、どういった意向を持っているのか。コンサルティング会社の価値総合研究所(東京・千代田)が13年11月に実施した「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート」によれば、空き家の所有者のうち、売却や賃貸などを検討しているのは24.0%にすぎず、71.0%の人は特に何もせず所有しているだけということがわかる。
その中で、空き家を管理すらせず放置しているという人は12.8%。ある程度推測はできたものの、やはり衝撃的だ。その内訳は、一戸建てが74.1%と大半で、立地は農山漁村地域や郊外より市街地や市街地周辺のほうが60.3%と多い。
■行政が建物を解体できる法案制定
こうした事態を受けて自民党は「空き家対策推進特別措置法案」を今秋にも国会に提出する見込み。老朽化で倒壊危険がある、景観や衛生を損なうとみられる空き家を「特定空き家」に指定、所有者に対し建物修繕や除却、木の伐採などを指導・助言、ひいては勧告・命令できるとしている。そして命令に従わない場合は50万円以下の過料を科し、行政が行政代執行により建物を解体することもできる。
また相続後の不動産登記が正しく行われていないケースでは所有者を探し当てることも難しかったが、固定資産税情報を内部利用できるとすることで所有者の特定を促す。
ただ本法案の効果はあくまで未知数である。秋田市ではすでに、命令に従わない所有者に代わり、行政が建物の撤去などを行い、その費用を所有者に請求しているが、代執行の費用を回収できないケースが多い。12年3月に秋田県大仙市で行われた代執行の解体費用180万円弱はまだ回収のめどは立っていないもようだ。
■税制改正も視野に
また政府は税制改正も視野に入れている。現在、住宅が立つ土地は固定資産税が6分の1に低減されているため、わざわざコストを掛けて解体をし、そのうえ固定資産税が6倍に上がる、というようなことをしたがらない所有者が多いのだ。これを根本的に見直し、倒壊危険や景観阻害などの外部不経済があると認められる空き家についてはこの軽減措置を、15年の税制によって外し、逆に所有者が自ら解体を行った場合には、軽減措置を継続する方針だ。
このように空き家対策は徐々に進められつつあるが、こうしたいわゆる「空き家対策」だけ行うのでは不十分だ。空き家が大量発生するという「結果」に対処するのではなく、その原因に迫る必要がある。」(2014/08/06付「日経新聞」より)
少子高齢化の時代、どの家も1軒くらいは親戚などで空き家の心当たりがあるのでは??
先日、「3軒分の実家の遺品を30万円で整理した話」(ここ)という記事を書いた。
実家の両親が亡くなったあと、空き家になった家や家財の処理は、結構大変なもの・・・。
結果、上の記事にもあるように、「わざわざコストを掛けて解体をし、そのうえ固定資産税が6倍に上がる」という理由から、誰も住まなくなっても、そのまま家を放置することが多い。
結果として、あらゆる所に、“お化け屋敷”が出現する。大通りに面している家でも、荒れ果てた家の庭から樹木が道路にはみ出している家も見かけるので、相続などの問題があるのかも知れない。
そう言えば、駅から会社への通勤路に、やはりお化け屋敷がある。朽ちかけた家は外面をツタで覆われ、家全体が緑一色。その隣の空き地は、背丈ほどある雑草群。毎年草は刈られているが、それでも1年経つと草ボウボウ・・・。これでは、年に一度の草刈りも大変だ。
ここは道路が狭いために、幾ら23区内といえども、家を建てることが出来ないので売れないらしい。戦災で焼けた隣の地域は、道路が整備され、新しい家やビルが立ち並ぶが、焼けなかったこれらの地域は、戦前のスラムのような古い家々が並び、朽ちていくだけ。たまに家を立て直すところだけは、法により敷地の一部を道路に供出しているが、幅が広くなった道路は一部だけで、全部つながるのは遠い将来のこと・・・。
そう言えば、前に「日本人口減少の恐怖~90年後、今の5~7割減?」(ここ)という記事を書いた。もう5年も前だ。
今の空き家率は1割強だが、90年後は、7割に達するかも知れない、という。これも少子高齢化社会の落とし子。
まあその頃には、先だって生まれた孫も良いトシ90歳。ま、いいか・・・
古いとは言え、余る住宅・・・。一方、母子家庭などの生活困窮者は、小さなアパートの家賃で食べることにも汲々・・・。
このギャップを埋める手立ては無いものだろうか・・・。
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